全管連など熊本のマンション調査
4・14の熊本地震で被災した熊本市内の被災マンションを4月30日から5月2日まで、全管連の山本育三会長、川上湛永事務局長、元マンション学会会長の折田泰宏弁護士で、地元の熊本県マンション管理組合連合会の平江澄雄会長の案内で、一日、調査した。マンションの多くは、雑壁(非構造壁)に、x条のせん断亀裂が入る被害がみられるほか、敷地地盤の沈下、などが共通にみられたのが特徴だ。
(全管連事務局長・川上湛永)
メデイアにも報道された西区の7階建てマンション。車庫になっている1階部分が、弓なりにゆがみ、1階がほぼつぶれていた。中に、乗用車が7台ほど。開放廊下側の柱は、コンクリートがはじけ、鉄筋がむき出しになっている。ベランダ側は、住民が2,3人住戸から家財を取出していた。寺本幸絵さん(26)は、「七カ月前に、部屋を買ってリフォームした。こんな被害にあうとは」と言葉少なだ。1歳の赤ちゃんを抱えて、懸命に片づけをしていた。「みなし仮設住宅にはいりたいけど」と言葉少なだ。別の女性は、「14日は、何ともなかったが、本震の16日に1階が崩壊した。40戸のマンションだが、まだ一度も管理組合の集会を開けないです」、と戸惑いを隠せない。1階が柱だけで、耐震壁が少ない、ピロティ形式の典型的被害だが、1度は耐えたが2回目の震度7で、倒壊したとみられる。
中央区本山町の14階建てマンションは、1号棟と2号棟をつなぐエキスパンションジョイントが離れ、施工業者が応急措置で、木で覆っていた。「いち早く、この措置をとってくれたのはありがたいが、本格的な復旧には時間がかかるでしょうね」と住民は困惑の表情。ここでも、x条のせん断亀裂が、開放廊下側に走る。12階まで、ほぼ同じ個所の壁に亀裂が入る。
180戸の大規模マンションで、部屋の中の家財が倒れ、大型のタンスが、何本も1階のゴミ置き場に集められていた。市の大型ごみの収集が、間にあわず、大型ごみは、増える一方のようだ。 1階の自転車置き場も、壁に30センチほどの穴が、数か所空いている。
近くの90戸のマンション。ここでは、貯水槽が幸い、破壊しなかった。管理組合では、貯水槽から30メートル離れた1階の壁に、3つの蛇口を取り付け、臨時の水汲み場を設けていた。
やはり中央区の7階建て、88戸のマシンション。ここでも、開放廊下の壁に、亀裂が入っていたが、住民によると、16日の余震(本震)で、壁に亀裂が入ったという。1階の住戸を内部に案内していただいたが、ほとんど無傷。「冷蔵庫が移動したくらいです、1階だからでしょうか」と住民。ただ、本震で、玄関ドアが閉まらなくなった、という。ここのマンションでは、建物と敷地に段差ができていた。地盤が沈下した。ほかのマンションでも、地盤の沈下が、見られた。12日に、調査予定という、改修業者の掲示が見えた。
全管連では、5月2日、地元の熊本日日新聞社に、調査の概要を説明にうかがった。南阿蘇村や益城町の、大規模の土砂崩れや、住宅の崩壊の報道に追われ、マンション被災の取材は、これから本格的に取り組む、という社側の説明だった。山本会長が、阪神淡路の大震災のマンション被災の状況と似ている、と例をあげ説明した。
この概要説明の記事は、5月4日付の、同紙に掲載された。