熊本地震2年 遅れる被災マンション復旧

2018.04.17 防災の取り組み

熊本地震は、4月16日、震度7の本震発生から2年を迎えた。益城町など木造家屋の倒壊などで267人が犠牲になり、仮設住宅などにはなお、3万8千人が身を寄せる。
熊本県マンション管理組合連合会(熊管連)によると、市内754棟のマンションのうち、半壊以上が201棟、そのうち60%は復旧工事に着手しているが、433棟の一部損マンションの改修は2割程度で、ほとんど復旧工事に着手していない。工事費用の調達、工事業者不足などが原因で、これら、取り残されたマンションが、今後の課題だ。
16日、熊本市は、救援活動などに尽力した200団体・個人に大西市長が感謝状を贈呈した。熊管連にも贈呈された。
熊管連は、16年5月に全管連、マンション学会、マンションン問題研究会などの共催で、被災マンションを対象に、2日間に亘り相談会を開いたが、これが支援活動のスタートとなった。以後、被災マンション管理組合を対象に、改修工法、地震保険のありかた、税務問題、復旧工事現場の見学会など被災マンションに寄り添いながら、精力的に開催してきた。また、被災直後から損傷を受けたマンションの改修に詳しい福岡大学の古賀一八教授に専門の立場から、熊管連の支援・復旧活動に積極的に加わっていただいた。

一部損マンションの復旧

外見からは大きな被害は受けていないが、廊下の壁、専有部室内のひび割れ、外壁タイルの部分剥落などが目立つマンションが熊本地震の特徴といわれる。地震保険に入っていても、一部損は5%の保険金しか下りないため、改修費用の足しにならない。一方、大規模修繕の積立金を取り崩すか、借入で費用調達の選択肢があるが、先送りして数年後の大規模修繕に合わせて補修するとしたところもある。工事単価が下がり、職人不足解消が期待できる2020東京オリンピック後まで待つというマンションと様々だが、「専有部の改修を含め、管理組合には、深刻な問題だ。室内はじめ、傷だらけの生活を何年我慢するかでもある。どうサポートするか考えてゆきたい」と堀会長。
熊本地震のマンション被災は、東日本大震災で被災した仙台市の被災より深刻な面もあるとみる調査機関のデータもあるほどで、復旧から取り残された被災マンションをどうするか、大きな課題だ。

復旧等、工事の進め方について話し合う熊管連のセミナー =平成30年3月24日 熊本市内で

(全管連会長 川上湛永)