姿消す熊本地震の象徴、第2京町台ハイツ 4月末、解体工事完了

2018.04.20 防災の取り組み

階建てのマンションが大きく傾き、全壊した熊本市中央区の第2京町台ハイツ(44戸)は、昨年10月公費解体が適用され、解体工事が進められていたが、4月末、解体工事が完了する予定だ。

マンションの解体工事はほぼ最終段階になったが、部屋の中の家財道具ごと解体せざるを得ず、工期はやや遅れている。搬出したコンクリート、鉄筋などのほか、半分は家財道具だった。冷蔵庫、テレビ、パソコン、ピアノ、布団、タンス、化粧台、などだ。マンションのエレベーター、通路が損傷し、立ち入れなくなったことから。家財は一切持ち出せなかった、と管理組合解散後に設立した社団法人地権者の会の松本一・代表理事(82)。松本さんは、「このマンションに15年ほど住んだが、通路がなくなったので荷物は出せなかったのが残念だ。テレビなどは買い替えたばかりだった、住民みんなそうでした」と話す。近隣には病院、商店も整っていて、熊本大学付属小中学校もあって文教地区でもあった。

残された敷地は1220㎡で、地権者の会は売却の方針。不動産大手など30社ほどから引き合いがある、という、ただ、10年以上管理費などの滞納者がいて、権利関係の整理で4件ほどの裁判が予想されており、裁判が決着しないと、売却もスムースにいかないのではと松本さんは、懸念する。

第2京町台ハイツは、2年前の熊本地震本震の4月16日に被災した。住民によると、14日の前震ではほとんど被害はなかったという。以来、建物が大きく傾き、階段、廊下などもゆがみ、駐車場に5.6台の車が閉じ込められるなどで、熊本地震の被害を象徴とする建物として、見学者が押しかけ、観光地化していた。

(全管連会長 川上湛永)

2018年2月解体作業中 大和ライフネクスト(株)提供
2016年4月14日 熊本大震災発生時の写真