熊本市に初めてマンション管理支援班が誕生
3年前の4月に震度7の大地震に見舞われ、多くのマンションが被害を受けた熊本市にこのほど、マンション施策を担当するマンション管理支援班が住宅部住宅政策課に新設された。
熊本県マンション管理組合連合会(堀邦夫会長)が、昨年8月、マンション施策を担当する部署の開設を大西一史市長に要望していた。具体的な取り組みとして市職員が3年間の計画で分譲マンションに出向き、管理組合理事長に必要情報を提供、適正管理の必要性の気づきを促すなど3事業を新規に進める。
同市の新規3事業はほかに、標準管理規約を整備する際、マンション管理士等専門家を活用する場合、5年間、助成する。管理規約の新規作成、または改正に要した費用の2分の1以内で10万円を上限とする。規約改正には区分所有者が集まり議論する必要があることから、管理意識やコミュニティ向上に寄与する、ととらえている。
3点目は耐震化の助成事業で、耐震診断や耐震改修にかかる費用の助成を7年間の予定で実施する。同市には旧耐震のマンションが90棟確認されており、今後、大地震が発生した場合に、被害の軽減につながるとみている。
大西市長に直接要望
熊管連は、行政への働きかけを3年前から行っており、平成30年9月には、マンション勉強会として、高木一臣市議の同席のもと、市建設局長、中央区まちづくりセンター所長に堀会長らが面会、マンション名を冠した受付窓口の設置、マンション実態調査の要請などを行った。また同年8月17日には、大西一史市長に堀会長らが面会、被災マンションの復旧状況を報告したあと、熊管連が作成した地震対応箱作成の取り組みなどを報告するとともに、マンション名を冠した専門部署の設置を要望した。
>堀会長は、「マンションを冠した部署の開設は、うれしい。市内には、3万5千戸もの分譲マンションがある。市民もマンションを冠した部署の開設で、問い合わせや要望を出しやすくなる」と歓迎する。
熊本市のマンショ実態調査から
平成29年度に熊本市は、熊本県マンション管理組合連合会、熊本県マンション管理士会の協力で、分譲マンションへのアンケート調査により、市内の分譲マンションの実態調査を実施した。
調査結果によると、市内の分譲マンションは754棟、34,933戸(いずれも推計)。 戸数では、全世帯の1割を占める。市内中心部に立地する比率が高く、中央区が21,796戸(62.4%)、東区6,660戸(19.1%)、西区3,512戸(10.1%)。築年数は全体に若く、30年超えのマンションは143棟で、2割弱。そのうち、1981年5月以前に着工した旧耐震基準のマンションは90棟で全体の1割。棟数では単棟型が90% 。築年数では、21~30年が32%、11~20年26% 、31~40年は5%。耐震診断では、旧耐震基準のマンションで、実施済は17%で、未実施は74%だった。
さらに耐震改修では、旧耐震基準マンションで実施済みと回答したマンションは4%, 未実施と回答のマンションが87%と高い比率を占めた。
(全管連会長 川上湛永)