2022年 1月12日 |
マンションにおける法の支配と管理組合内民主主義 そして持続可能なマンションをめざして |
松坂法律事務所 弁護士 松坂 徹也 |
・ 2020年12月 9日発信 北海道旭川支部のセミナー報告
・ 2020年 7月 2日発信 参議院 国土交通委員会 まとめ
・ 2020年 4月19日発信 理事以外の出席はひとり 新型コロナ感染広がる中でのマンション管理組合通常総会
・ 2020年 4月18日発信 被災マンション復旧技術維持センター創設の提案
・ 2020年 3月12日発信 マンション管理組合総会 延期も視野に入れ準備を 新型コロナ感染広がる中
・ 2019年11月 6日発信 高齢独居者の孤独死について
・ 2019年10月 3日発信 熊本市に初めてマンション管理支援班が誕生
例年、北海道から委託を受けて、マンション管理講習会を行なってきましたが、今年はコロナ禍で中止になりました。 そこで、旭川支部では、経費節減しながら独自でセミナーを開催しました。
11月22日(日)午後1時30分から4時30分まで、市民文会館の198人定員の大会議室で、十分間隔をとり、29人の参加で行ないました。 開会あいさつは、水島支部長から各マンションに配達されている「マンション管理通信10月増刊号」に掲載された自らの記事について説明がありました。 前半は、東京から招いた三菱地所の子会社「イノベリオス株式会社」の自主管理を助けるマンション会計のアプリの説明。 後半は、あるマンションの問題提起に基づき意見交換をしました。 自主管理を助けるアプリでは、理事長と会計担当者にスマホかパソコンがあれば、管理費・修繕積立金・駐車場代・水道料・灯油代などを区分所有者や賃借人から収納(各戸振替手数料110円負担と管理組合で月額3,000円負担)し、備品購入や修繕支払を行い、月次報告と年間決算書の作成を月額35,000円(200戸以上は50,000円)で代行するというものです。 会場からは、基幹業務を担うので管理会社になるのではないか?(回答は代行サービスするだけで基幹業務は管理組合が行うので管理会社ではない。) 各戸の銀行口座は指定されるのか?(回答はどの銀行・信金・郵便局でもよい) などの質問が出されました。 次に、築45年、7階建て、52室、60歳以上が7割、一人暮らしが6割、区分所有者が交替しても高齢者が多く、来年は3回目の大規模修繕をひかえているマンションの理事長から、高齢者・相続放棄・滞納・大規模修繕などについて資料を添えて問題提起がありました。 会場からの質問・意見の主なものは、次のとおりでした。 1.これまで孤独死はなかったのか? 孤独死とは言えないが、食事を配送センターから取っていた80歳代の一人暮らしの人が前日の弁当がそのままだったので、部屋を確認するとベッドの横で倒れていた。弟さんが相続したが、不動産屋は一応事故物件扱いだと言っていた。1年間売れずにいた。 2.別のマンション理事長から、施設に入所している配偶者がいる人が孤独死していた事例があったとの発言。 3.これまで長期滞納が4件あったとのことだが、どのような内容だったのか? ①所有者は東京在住、書留郵便も戻る、滞納129万円、支払督促を理事長が自分でおこない、債務名義を取得し競売、特定承継人から回収した。 ②300万円滞納のまま所有者死亡、相続人は放棄、相続財産管理人をたて、売却できたが、弁護人報酬・滞納固定資産税・手数料などで、特定承継人への請求権を放棄したため実質回収ゼロだった。 ③130万円の滞納、室内はゴミ屋敷状態、固定資産税も滞納。管理組合役員の知人が購入、所有者・購入者・市役所と交渉し、固定資産税・管理組合の債権は5年時効分を除いて回収することで合意した。管理組合回収額は50万円。 ④これまで管理費等は賃借人が支払っていた。1年半前に賃借人は退去し行方不明、区分所有者へ請求したが、賃借人が支払わない場合は区分所有者に支払う義務があることを認識しておらず、18万円をやっと回収した。 4.別のマンションの理事長から、滞納の自らの回収経験として、少額訴訟を申し立て最後は和解して2件回収した。油断すると滞納が発生する。分割払いなど相談にのると説得しコミュニケ―ションを取りながら諦めずに対応するのが肝心と思う。 5.別のマンションの組合員から、高齢者対応のマンションで共同浴場の清掃が夜9時からあるので、住み込みの管理員を探しているがいないとの悩み。 6.別のマンションの理事長から、緊急連絡先名簿を作成し、希望者からは鍵を預かっている。それでもポストに色々なものが溜まりだしたら、注意するようにしている。宅配便のところでボヤが出たこともあった。 などの発言が相次ぎ、お互いに認識を深めあった意見交換会でした。 旭川市建築部高野哲也次長が、コロナで大変な中、しかも雨模様の中、熱心に 聴講され、質問や意見もたくさん出されたことに感謝するとの閉会あいさつが ありました。 |
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(全管連副会長 水島能裕) |
「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」、「マンションの建替え等の 円滑化に関する法律の一部を改正する法律」の改正案は2020年6月17日に閉会した通常国会で、全会一致で可決されました。 以下は、各党の質問に対する、住宅局長の答弁の主旨を、重複を整理し、「ございます調」を「である調」に改めるなどしてまとめたものです。 議事録の中に、マンションが今おかれている状況が見えてくると思います。 A4版で55ページのものを要約しましたので、ご活用ください。 なお、大臣の答弁は、発言最後に(国交大臣)と表示し枠で囲いました。 |
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(参議院ホームページから 文責:全管連副会長 水島 能裕) | |
答弁者 国土交通大臣 赤羽 一嘉 国土交通省 住宅局長 眞鍋 純 |
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1.市が「マンション管理適正化推進計画」で指導・援助 | |
任意ではあるが、地方公共団体(市役所)の業務として、新たに管理適正化に関する目標や施策の内容等を定めた「マンション管理適正化推進計画」の策定をお願いする。
適正化法改正案は、「マンション管理適正化推進計画」を策定した地方公共団体(市役所)が助言、指導、勧告を行うことを通じて自主的な管理の適正化を促していく。 具体的には、管理規約の策定や見直し、管理者(理事長)の設置、集会(総会)の開催などを提案し、指導する。また、必要に応じて補助制度などの支援策の活用を促す。 2020度の予算において、先導的なマンションの長寿命化やあるいは建て替えの推進、それについてのモデル的な補助をしたい。事例も収集して、今後横展開を図っていきたい。 指導、勧告は強制力のある制度ではなく、罰則もない。しかしながら、公的な立場からの指摘なので、管理組合及び個々の区分所有者にとっては管理の改善を促す一定の効果があると考えている。 市役所の「マンション管理適正化推進計画」の策定が、今回任意にとどまっているのは、地方部の多くの地方公共団体にとってはマンション政策のニーズが必ずしも高くない場合も想定される、あるいはマンション政策に関する新たな事務を行う体制の整備に一定の時間を要するためである。 その指導とか助言は、管理組合の管理者(理事長)等に対し、具体的にどのように行っていくのかといえば、例えば、管理組合の運営について、管理組合の実態がない、管理規約が存在しない、管理者(理事長)などが定められていない、総会、集会が開催されていないというような事態が生じている場合に、この管理組合、区分所有者に対し、管理適正化に向けた指導を行う。 今想定している内容を列記すると、管理規約の策定、見直しを勧める、管理者の設置を勧める、あるいは集会の開催を提案するとともに、必要に応じて補助制度の活用を促していくという取り組みが想定される。 公共団体(市役所)は、日頃から、こういった指導、助言の実効性を高めるために、加えて、マンション管理士などの外部専門家の派遣とかセミナーや相談会の開催などを行っている。 |
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2.個々のマンションの「管理計画認定制度」 | |
具体的な認定基準については、例えば ①長期の修繕計画を策定していること、これに基づく ②適切な修繕積立金が設定されていること、 ③管理組合の総会などが適切に開催されていることなどを想定している。 この認定を取得したマンションにつき、市場において評価を受ける、マンションの売却や購入を予定している者だけではなく、マンションに継続して居住する区分所有者にとってもメリットがあると考えている。 メリットについて関連する業界団体の協力も得ながら、関係者に広く周知するとともに、認定取得のインセンティブについて今後検討して制度の普及を図っていく。 推進計画を策定した地方公共団体(市役所)において、適正な管理を行っているマンションは、しっかり評価する。 個々の管理組合の「マンション管理計画の認定」を行う、これも任意。 また、管理の適正化を図る必要があるマンション管理組合等に対する指導、助言等を創設する。 管理計画の具体的な認定基準については、今後、国土交通省令などで定めることにしているが、例えば長期の修繕計画を策定していること、これに基づく適切な修繕積立金が設定されていること、管理組合の総会などが適切に開催されていることなどを現在想定している。 このうち、修繕積立金の設定の適正性につきましては、地方公共団体による審査の負担などにも配慮して、申請書類から客観的に判別可能になるような簡便な内容にしたい。 また、認定事務については、これは公共団体(市役所)が認定するということになるので、ガイドラインを策定し、具体的な修繕積立金の額の水準などの詳細な基準については、マンションの管理の専門家あるいは認定審査を行う公共団体等の意見も踏まえまして今後検討する。 管理計画の認定あるいは更新の事務の一部を、「指定認定事務支援法人」に事務の一部を委託ができるということになっている。これは具体的には、全ての都道府県にある各地のマンション管理士会などの活用が想定される。 基本的には、事務を委託した地方公共団体(市役所)において、その法人が適切に仕事をしているかどうかということをチェックすることになる。公共団体と意見交換をしながら、ガイドラインなどでその方法を示していきたい。 第九十二条の二に「マンション管理適正化推進センター」というのがあり、その推進センターに技術的援助の協力をするという新たな項目が新設された。これまでも「公益財団法人のマンション管理センター」がマンション適正化推進センターとして指定されている。 今回、マンションの管理適正化と再生円滑化を総合的に推進していくため、建て替えなどの合意形成における管理の重要性を踏まえ、この協力義務を「マンション管理適正化推進センター」に課すことになった。 一方、もう一つの法律であるマンション建替え等円滑化法においては、同じような技術の支援を提供を要請するのは、UR(都市再生機構)となっており、元々、市街地の整備改善を伴うマンションの建て替えやUR団地の建て替えに携わる中で培われてきた様々なノウハウがURにはある。このノウハウを生かして、除却の必要性が高く、かつ管理組合のみでは検討、調整が難しいと考えられるマンションについて、例えば借家権や抵当権を有する権利者との調整、建て替え事業における事業計画、権利変換計画の策定などの事業実施に向けたコーディネートをマンションの管理組合などからの委託に基づき実施することとした。 整理すると、マンション管理適正化推進センターは公共団体による技術的支援の補完としてお手伝いをする、URは管理組合などからの直接委託を受けて建て替え事業などのお手伝いをする役割分担をした。 |
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3.建替え円滑化法の改正…敷地売却 | |
建替え円滑化法は、25年前の阪神・淡路大震災から始まった。それまでは区分所有法と民法でやっていたので、区分所有者の全員の同意がないと再建ができない。
2014年のときは、耐震性の不足のマンションに対象にマンションの五分の四の賛成で、敷地売却制度を導入、容積率の緩和制度も創設を行った。(国交大臣) 世帯主の年齢が65歳以上となるものが約半数、49.2%。50代の世帯主が約四分の一、24.3%ある一方、39歳以下は約7%、世帯主の年齢は高齢化している。さらに、永住意識のある区分所有者が6割を超えている。 2013年度の住宅・土地統計調査によると、1980年以前(築40年以上)に完成したマンションには、約45%で少なくとも一戸以上の空き家がある。 マンション全体の約三分の一、200万戸が複数棟から成り敷地を共有化するいわゆる団地型。老朽化した団地型のマンションの建て替えや敷地売却をより円滑に行えるよう、団地建物所有者及び議決権の五分の四以上の多数決により、組合による権利変換などの仕組みを活用して敷地を分割する。 不在区分所有者に対し、郵送のみによる対応をするのではなく、定期的な訪問あるいは電話による依頼を行うことなどを通じて積極的なコミュニケーションを図ることを推奨している。 所在不明者は、実務上、反対者に含めて取り扱われている。所在不明者、この取扱いについては非常に大きな問題、必要に応じ検討を進めてまいりたい。 一方で、まずは適正な維持管理、計画的な修繕に取り組んでいき、できる限り長寿命化していきたいが、やむを得ず再生を図る必要がある場合も想定されることから、今回の改正法案により、敷地売却制度の対象を拡充あるいは容積率の緩和制度の対象を拡充して、なるべく除却、建て替えをしやすくした。 なお、敷地売却制度については、マンションを除却して、その後にマンションを建てるというケースだけではなく、例えば戸建て住宅用地にするとか、医療、福祉、介護の施設、商業施設用途に転換するというような出口も考えられる。 こうした場合でも区分所有者に対しては適切な対価が分配されるということになる。2025年にマンション建て替え件数が累計で500件という目標を立てている。 空き家の特別措置法において、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある空き家、特定空き家等については市区町村による必要な措置の命令等を可能としている。 老朽化してきたマンションの処分をどうするか、これまで以上に難しくなってくる、複雑化してくる。 適切な管理を行って、なるべく丁寧に長く使えることを、取りあえずこの法改正でお願いをしながら、抜本的には、関係省庁とも連携して、この大きな問題をどう取り組んでいくのかというのは検討していかなければいけない。(国交大臣) 要除却認定はあくまでもマンションの管理者などからの申請に基づいて特定行政庁で基準への適合性を判断して行う。 具体的にその管理の状況を把握するということになると、例えば通報や相談による把握とかアンケート調査による把握などということが想定されるけれども、そうした方法について、国交省としては、ガイドラインで示しておきたい、また、公共団体(市役所)が先導的にそうした取組をするという場合に、2020年度に措置している予算措置なども設けて、その支援をしていきたい。 いずれにせよ、公共団体が実態の状況をきちんと把握して対策を打つことが非常に重要だと考えているので、ノウハウや財政的な支援をしていきたい。 今回の法案で、102条、マンションの除却の必要性に係る認定について特定行政庁は拡充している五つの項目に該当するときにはその旨を認定する。 「特定要除却認定マンション」とは除却の必要性のある旨の認定、「要除却認定」といっているが、その対象となるマンションとして、従来、耐震性が不足するマンションだけだった。 今回、この従来あった①耐震性不足のマンションに加えて、次の四つの類型を追加した。 ②外壁の剥離及び落下により被害の生じるおそれのあるマンション、 ③火災時に大きな被害が生じるおそれのあるマンション、 ④排水などの配管設備の劣化により著しく衛生上有害となるおそれのあるマンション、 ⑤高齢者などの移動上又は施設の利用上の安全性の向上を図る必要があるマンション。 合わせて五つの類型が誕生した。この五つの類型のいずれで要除却認定を受けたとしても、本法に基づく容積率緩和特例の対象にすることが可能。 また、この五つの類型のうち、 ①耐震性不足、②外壁等の剥離、落下、さらに③火災等の危険性が高いマンション、この三つについては特別の位置付けとして、著しく危険の状態にある、必要性、緊急性がより高いと考えられることから、マンションの敷地売却事業及び今回創設する敷地分割事業の対象にすると、位置付けている。 五分の四の同意について、例えば三分の二とか四分の三とか、そうした数字に緩和することについては、敷地分割あるいは売却、建て替えを希望する者にとっては決議を得やすくなるという側面がある一方で、反対者の財産権の保護などの課題があるため、慎重に対応すべきものと考えている。 この敷地売却決議に反対していても、決議後に事業に同意、参加することになった区分所有者に対しては、買受人、つまりディベロッパーが、買受人が区分所有者などの要請に応じた代替建築物の提供、あっせんを行うことを義務付けている。また、その実施状況を地方公共団体において監督するということにしている。 例えば、高齢者などの区分所有者が住宅の取得を行う場合には、住宅金融支援機構によりリバースモーゲージ型の融資などの活用も考えられる。 ただし、敷地売却事業の最初にこの決議に反対し、最終的にその同意を得られなかった方に対しては、このあっせんは行わない。ただし、敷地売却に参加しない区分所有者に対しても、敷地売却組合が時価による売渡し請求を行って相応の手当てを行うことにしているので、経済的に大きな損失はないものと考えている。 ただし、敷地売却事業の最初にこの決議に反対されていた方ということになり、最終的にその同意を得られなかった方に対しては、このあっせんは行わないということになる。ただし、敷地売却に参加しない区分所有者に対しても、敷地売却組合が時価による売渡し請求を行って相応の手当てを行うことにしているので、経済的に大きな損失はないものと考えている。 しかしながら、こういった建て替えや売却を進める上で、何よりも重要なのは、事業内容について十分な説明を行い、できる限り多くの権利者の理解を得ながら事業を進めるということだと考えられるので、国としてしっかりとしたガイドラインを示して、できるだけ納得いただき事業に参加をいただけるように、丁寧な運用をすることが重要だと考えている。 改正法の施行からまだ5年しか経過をしていないものの、マンション敷地売却制度につき買受け計画の認定が10件、また容積率緩和制度に係る許可が3件。要除却認定の実績は2020年4月現在で24件となっている。 今回は、老朽化も対象にして少し広げていこうとしている。 全国のマンションは約655万戸。地域別に見ますと、首都圏の一都三県、東京、神奈川、埼玉、千葉で全体の約5割、近畿圏の二府一県、大阪、兵庫、京都で、全体の約2割と、大都市圏への集中が顕著。 旧耐震基準(1981年5月31日以前)で建築されたものが約104万戸(15.9%)ある。築40年を超えるものが、2023年末には約134万戸(約2割)、15年先の2038年には二倍の263万戸。 1970年以前に建築されたマンションのうち、居住者が60歳以上のみの世帯が5割を超えている。 高齢化が進行すると、高齢者の転居あるいは相続などにより空き住戸化あるいは賃貸化が進む傾向が強くなる。こうしたマンションでは、管理組合の役員の担い手が不足する、管理組合の総会の運営そのものが困難になる運営面での課題がまず発生し、これにより大規模修繕や建て替えなどに必要な管理組合の決議ができないとか、維持修繕に必要な修繕積立金を確保できないというような維持管理面での課題が増加してくる。 このような状態が長期化いたしますと、居住者や近隣住民などに危害が生じるマンションが発生するというような事態も起こり得ると考えている。 |
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4.建替え円滑化法の改正…建替え | |
今回の法改正は、より適切な管理が進む可能性が高い法案だと理解をしているが、建て替えについては、この手法ではまずは成果が上がらない、この16年間にマンションの建て替えの実績が累計で244件、戸数で19200戸、2019年の4月時点だが、こういう実態がある。少なくとも2014年の改正マンション建替え法以来5年間だけを見ていくと32件の建て替え、一年平均では6件少々の建て替えだ。後になればなるほどこの建て替えの件数も減ってきている。特にこのマンション建替え法に基づくものに絞ったら5年間で21件、一年平均は4件のベース、非常に少ない。しかも全マンションの三分の一しか十分な修繕積立金を持っていない。(議員の意見)
従来から、マンションの改修や建て替えについては、 ①優良建築物等整備事業といった補助制度により地方公共団体と連携して支援をしているほか、 ②税制の優遇措置とか、 ③住宅金融支援機構による建て替えや改修についての低利の融資、専門家による管理組合からの相談体制の整備への補助などについて国としても支援を行ってきた。 2020年度予算では、敷地売却や団地型マンションの敷地分割の円滑のために、これらの事業を行う組合について、その非収益事業所得に係る法人税を非課税にする。 加えて、要除却認定を受けた老朽化したあるいは耐震性のないマンションについて容積率の緩和制度の拡充なども今回の法案に盛り込んでいる。 マンション建て替えにおける区分所有者の負担額は増加傾向にある。2001年以前に建て替えが竣工は、平均400万円未満、2012年~2016年まで、この5年間に竣工したマンションでは平均1100万円を超えている。 また、利用容積率についても、建て替え前後の利用容積率を比較してみたところ、その比率はずっと低下傾向。最近では、容積率の余裕が少なくなって建て替えに伴う費用負担が増加傾向にある。 建て替えは、一般的には保留床あるいは余剰敷地の売却などによって建て替え費用の負担軽減を図ることが多いが、その金額が増える傾向にある。 優良建築物等整備事業というような公共団体を通じての補助金により、その採算性の向上について支援をしてきている。 なお、建て替え対象となるマンションは築後40年程度経過しているものが平均。住宅金融支援機構のフラット35では、これまでの住宅ローンと建て替え後の住宅ローンの両方のローンが借りることは可能と考えている。 建替えの際、マンションを明け渡さない者に対し、建て替え組合からの明渡し請求を受けた者はその期限までにマンションを明け渡さなければならないというのが法律上の規定。しかし、明渡し請求の際に定められた期限を終了した後も占有を継続する方がいた場合には、残念ではあるが、明渡しを求める訴えを建て替え組合が提起して、民事執行により明渡しをさせるということになる。 なお、建て替えやマンションの敷地売却に関しては、日本弁護士連合会と連携して、弁護士や建築士などの法的、技術的な専門家による相談体制を構築し、2018年度までに72件の相談があった。 マンションの建て替えあるいはその敷地売却に向けた合意形成についてそのマニュアルを作成しており、その中で標準的、基本的なプロセスを示している。 具体的には、区分所有者の意思により設置された勉強会などにおいて、先行事例の収集など基礎的な検討を行っていただく。その上で、管理組合において、専門家の協力の下、建て替えか、あるいは修繕、改修かの検討を行った上で、建て替え構想の策定、建て替え計画の具体化に向けた建て替え推進決議などを行っていただく。これらの検討結果を踏まえて具体的な建て替え計画を策定した上で、法律に基づく建て替え決議を行うといったプロセスが考えられる。 敷地売却についてもほぼ同じと考えている。このプロセスをマニュアル上明記して、説明会あるいは講習会、セミナー等で周知している。 この建て替えの決議に賛成しても、その後の組合の設立あるいは事業計画に反対される方、また、さらにはその十分な資力がない方に、住まいは保障されるのかどうかという場合、マンション建て替え組合が時価による売渡し請求を行って相応の手当てを行うこととしている。 マンションの建て替え決議に反対していても、決議後に事業に同意、参加することとなった区分所有者の方には、従前の権利に応じた建て替え後のマンションの床を取得することも当然可能となる。 しかしながら、こういった建て替えや売却を進める上で何よりも重要なのは、事業内容について十分な説明を行い、できる限り多くの権利者の理解を得ながら事業を進めるということだ。国としてしっかりとしたガイドラインを示して、できるだけ納得いただき事業に参加をいただけるように、丁寧な運用をすることが重要だと考えている。 |
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5.マンションの寿命 | |
マンションの適正寿命、これをどんなふうに考えるべきなのか。新築段階での設計上の工夫や施工の品質に加え、管理段階での外壁、屋根の防水工事、あるいは配管の更新、交換など維持修繕の頻度、あるいはその品質に大きく左右をされる。このため、一概にマンションの適正寿命を示すことは困難だが、例えば日本建築学会がまとめた指針では、百年を標準とする設計仕様が提示されている。
一部、二百年を想定する仕様なども提示されている。適正・適切な施工や維持管理が行われていれば、長期にわたって安全な状態を保つことは十分に技術的には可能であるというふうに見ている。 同じマンションに住む、ある意味同居人同士でいざこざを起こしたくないとか、なかなか社会的に難しい人が入っていたりとか、そうした意味で様々な問題が起こって、やや管理組合自体が崩壊しているみたいなところもあって、そこについて放置しておいてはいけないということで、今回、地方自治体の関与もお願いしなければいけない。その意味で、国による基本方針をまず策定をして、その下に地方公共団体による計画制度や指導、助言の創設をする。 柱としては、まず、管理適正化推進に関する基本的な事項として考えて、こちらが想定していることは、国、地方公共団体、管理組合等の役割分担及び相互の連携の必要性を書く、もう一つは、管理適正化に関する目標としては、これは長期修繕計画の策定割合を盛り込むと。そして、普及啓発に関する事項としては、国による各種ガイドライン等の周知及び適時適切な見直し、百年、本当は建物としては二百年ぐらい躯体としてはもって、それぞれがスーパーリフォームをして新築のような形で住めるというものが恐らくこれからのあるべき姿なのではないかと思う。(国交大臣) |
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6.マンションの大規模修繕 | |
大規模修繕を行うに当たり、責任施工方式と設計監理方式の二つが中心と一般的には考えられている。 中心となるのは足場と防水と塗装であって、建築というよりも、やっぱりマネジメント業務をどこまで適切に親切にやっていくのかというところに重きを置く必要がある。その点からすると、責任施工方式、設計監理方式というのは、それぞれもちろんメリット、デメリットがあるが、必要な工事の提案をしてもらうプロポーザル方式、それと併せて、専門業者の方からその当該マンションに合った最適の技術提案を受けて管理組合が主導的に業者を決定していくという、総合落札方式を組み合わせる方法などが望ましい形の一つとしてあり得るのではないかと思っている。
ある統計によると、責任施工方式と設計監理方式、この二つの方式でマンションの大規模修繕工事の約8割が発注されているというようなデータもある。特に、専門工事業者が連携している地域においては、プロポーザル方式などの発注方式も採用されている例が最近増えてきている。今後、マニュアルの見直しについて、実際の様々な発注事例を収集する中で検討を進めていく。 |
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7.マンション管理士 | |
マンション管理士というのが2001年にその資格制度が創設され、2019年度末時点で25660人が登録されている。 2019年度に行われたマンション管理士試験における受験者数は12021名、合格率は8.2%、合格者の平均年齢は46.2歳となっている。 それぞれの推移は、年度によりばらつきがあるが、受験者数は年々微減しており、合格率は7%から9%台で推移。合格者の平均年齢は、大体ここ数年40歳代後半で、最近6年間は若干低下する傾向にある。 マンション管理士の資格取得者の約55%が会社員。中でも、マンション管理業や不動産業に従事する会社員が全体の約35%となっている。 マンション管理士として実際に活動を行っている、又は行ったことのある割合は2割程度で、内訳として本業として行っている方が5.4%、副業として行っている方が7.7%などとなっている。 マンション管理士の具体的な業務内容としては、管理組合の規約の制定あるいは変更に関する業務、管理組合の顧問の業務、大規模修繕に係る様々な業務、長期修繕計画や積立金の見直しに関する業務などとなっていて、管理組合の管理のサポート役を担っていると考えている。 外部専門家が管理組合の理事長などに就く、いわゆる外部役員を選任しているケースは4%程度。今回の法案とマンション管理士との結び付き、連携、これについて模索していきたい。既にマンション管理士団体とは様々な形で意見交換はしている。 地方自治体では、例えばマンション管理士の資格も取ってもらうとか、また、マンションという大きな地域のある意味では自治会の会長みたいな役割を、誰がリーダーシップを取るかということは地方自治体、結構現場が強いと思うが、しっかり国としても丁寧に相談をしながら、掛け声だけでは終わらないような形でしっかりとフォローしていきたいと思っている。(国交大臣) |
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8.マンションの認知症対応 | |
認知症を患っている方も今後増えていくと思うが、成年後見人が選任されている場合には、成年後見人は本人に代わって、例えば建て替え等の賛否についての意思表示をすることができる。 これに対して、認知症等が進み、日常的に判断能力が欠けているにもかかわらず成年後見人が選任されていない場合については、本人やあるいは本人から代理権を授与された家族などが建て替え等の賛否について意思表示をしたとしても、本人に意思能力がないことを理由に無効になるものと考えられる。このため、このような場合には成年後見人が選任される必要があると考えられる。 (議員からは)マンションのためだけに成年後見人の認定を受ける方がどれぐらいいるかとの疑問が出される。 |
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9.石綿使用のマンション | |
石綿が使用されている場合には、都道府県に届け出た上で、作業基準を遵守して石綿の使用実態に応じた飛散防止措置をとり、石綿の除去作業を行う。 石綿の除去費用は、使用面積にもよるが、最も費用の掛かる吹き付け石綿について2007年1月~12月までの1年間の施工実績195件を社団法人建築業協会が集計、分析した調査結果では、300㎡以下の場合には1㎡当たり2万円から8万5千円程度掛かるとされている。 |
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10.マンションの長寿命化(国交大臣・各議員の意見) | |
老齢基礎年金は年額で月約6万5千円、年金暮らしの単身高齢者の方で、仮に家賃3万円ということになれば、残る生活費は月3万5千円ということになる。大都市では超高層マンションが林立するということが今も起こっている。 しかし、空き家も増加をしている、そして今回問題になっているような老朽化したマンションなどがある。懸念されるのは、野方図なマンション建設とか、こういうことから生じる課題が顕在化をして、そのことに手を着けざるを得なくなった。高齢者の方も増えてきたので、そういった方も安心して住み続けられる住まいが必要だと強調したい。 今回の法案全体について、マンションの管理組合からの申請がないと、高経年のマンション、建て替えなどの必要があるマンション、どれだけあるのかということが把握できないのではないだろうかというふうに思う。 個別のマンションを見れば、管理組合がないというところも当然あるわけで、そこには今回の法改正をもってしても行政は関与することができない。マンションの高経年の実態把握、そういうマンションがどれだけあるかの実態把握、これが結局自治体任せになってしまうのではないだろうかということを思う。 住宅困窮の実態把握、やっぱりこれ急いで行う必要があると思うし、その実態に合わせたふさわしい仕組みづくりが必要だ。 四十年超のマンションが適正に管理されること、また再生、いわゆる建て替えの促進がしっかりなされていくことを目的にしたものだというふうに私は理解した。 今回の法改正で建て替えが突然前に進むというようなことを期待しているわけではなくて、建て替えざるを得ない、建て替えようという合意があったときに、そのルールが決まっていない、また使い勝手が悪いということの法改正だというふうな認識でいる。(国交大臣) 建て替えが進むということに関してはある意味では焼け石に水かなと、この法律では。思考回路を変えないといけないんじゃないか。 私は、この思考回路を変える手だてというのは、先ほどから話が出ております、まさに寿命を延ばす、こちらの方に力点を置くことで円満に解決していく、こうした手法を、回路を変えていかないといけないんではないかというふうに思っているが、大臣の考えについてお伺いしたい。 良質なストックを増やしてそれを長寿命化していく。マンションは建て替えを前提に購入している人というのはほとんどいないと思う。他方で、自然災害でマンションがある日突然解体してしまったと、その再建のルールがなかったことに阪神・淡路大震災のときは大変こじれて二十年ぐらい掛かったという例がたくさんあった、そうしたことについては法的な制度をしていかなければいけないということです。(国交大臣) いわゆる敷地売却事業、いわゆる除却の話。容積率緩和制度の許可実績。非常に案件が少ない。地方自治体にお願いをしながら、こつこつとやっていただいている現場の皆さんの御苦労は御苦労として多とするにしても、なかなか実績が上がらない。 これは、まさにこの思考回路が同じようなパターンで、空き家のときと同じで、実際どんどん増えている。四十年超、これが二倍以上に十年後には増える、しかし処理をするのは僅かに本当に四千戸というような話になってしまう。30年後はどうなるんだといったら、まさしくほとんどこの建て替えの促進に関しての内容は先へ全然進まない。 こういう実態が、別に今に始まったわけじゃない、五年前もそうだった。あるいは2014年にもこうした何らかの形で対策を講じている。にもかかわらず、同じような成果しか上げていないのに、また同じような思考で問題を解決しようというふうにされるのか、どうして頭のいい人がそろっているのに同じようなことをやっているのかと、不思議で私にはならない。やっぱりアプローチの仕方を変えていかないと問題は解決しないと思う。 まずはしっかり管理をしていただいて長寿命化を目指す、そのために適切な維持管理や修繕をしていただくというのが基本、ただし、老朽化して危険な状態になってしまったものについては何らかの出口を用意する必要があるということだと思います。それが、一つが建て替えであり、一つが売却ということだと思います。それが進まなくて困るマンションが今後増えるのではないかという懸念から今回の法律改正を提案しているところです。(国交大臣) 本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定。 |
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11.各派共同提案による附帯決議 | |
一 本法に基づく管理計画認定制度や団地における敷地分割制度等の活用が図られるよう、十分な準備期間を置き、地方公共団体やマンション管理組合等の関係者に対する制度の周知を徹底すること。 二 管理組合に対する修繕工事の発注方法や修繕工事の実態、外部専門家の活用方法等についての情報発信を行うとともに、団地における敷地分割及びマンションの敷地売却の手続並びに長期修繕計画の作成や適正な修繕積立金の積立て等に資するガイドラインの作成、充実に向けた検討を行うこと。 三 地方公共団体によるマンション管理適正化推進計画の作成の促進を図るとともに、地域のマンションの実情に即し、実効性のある内容となるよう必要な支援や助言を行うこと。また、管理が適正に行われていないマンションに対する地方公共団体の積極的な関与が促進されるよう、マンションの管理状態を把握するための指針の作成や地方公共団体による管理組合への専門家の派遣の取組等に対する支援を行うこと。 四 管理計画認定制度の創設を踏まえ、マンションの修繕その他の管理方法や資金計画等の認定について、制度を運用する地方公共団体が公正で円滑な認定を行うことができるよう、明確で判断しやすい基準やガイドラインを示すなどの支援を行うこと。 五 都道府県知事等が管理計画認定制度に係る事務を指定認定事務支援法人に対し委託する場合において、適正な認定が確保されるよう指導・監督すること。 六 適切な管理を行うマンションが適正に評価されるよう、マンションの管理状態に関する情報の見える化の促進とともに、管理組合の運営を担う外部専門家の育成等に対する支援や管理会社の質の向上に向けた環境整備を行うこと。 七 欧米のように、日本においても長く住み続けられるマンションにしていくことが国民の暮らしを安定・充実させるとの観点から、長期間使用できる丈夫なマンションを建設するとともに、マンションのリフォーム・リノベーションを推進するなど、建設後も長期にわたり使用できるよう、マンションの長寿命化のための環境整備を行うこと。 八 これまでのマンションの建替え及び敷地売却事業の実績及び政策の効果を検証し、建替え等に係る区分所有者の費用負担の軽減及びインセンティブの更なる充実に向けた検討など、引き続きマンション再生の促進策を検討すること。 右決議する。 附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定。 午前10時開会~午後12時32分散会 |
新型コロナウイルスの感染が広がっているが、神奈川県厚木市の鳶尾第2住宅管理組合
(250戸)の通常総会が4月19日、開かれた。事前に議案書と出欠と議案に対する意思表示が確認できる議決権行使書を配布、議案に対する質問は事前に書面で求め、総会では論議なしたとしたことで、例年3時間かかる総会は、40分で閉会した。
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(全管連会長 川上湛永) | |
総会は9時半開始だが、新旧理事22人は、30分前に集合、玄関ドア、窓などの開口部すべてを開けた。 総会では、議案に対する質問は事前に書面で質問状を求めたほか、体調の悪い住民の参加は見合わせるとしたことなどで、総会前日、新旧理事以外は一人だけの参加ということが分かった。 議案は2019年度活動報告、収支決算、監査報告、損害保険契約の更改、旧役員解任、新役員の選任の承認など6議案が審議されたが、質疑応答がないためそれぞれ4分前後 で可決となった。 永田康幸理事長は、「コロナウイルスの感染を徹底的に防御するという観点から、簡素化をはかった。 総会は本来論議の機会だが、例外的な措置。高齢者の比率の高い団地だけにやむを得ない。 今年だけの措置にしたいと念じている」と話している。 |
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新旧理事以外の参加は一人で開かれた鳶尾第2住宅の通常総会 |
1.被災マンション復旧技術伝承の問題点 4年前の4月16日に震度7の地震に見舞われた熊本地震。14,16日と続いた地震で、市内755棟のマンションが被災した。地震らしい地震を経験しない熊本市内の755棟のマンションは、巨大地震に86%が被災した。全壊19、半壊201、一部損壊433棟に及んだ。 地震後、早いところでは半年後から復旧工事が始まった。地元にある熊本県マンション管理組合連合会(熊管連)では、被災後1か月後に、被災マンション相談会を開き、全管連、マンション学会、全国マンション問題研究会、マンション計画修繕施工協会など関連団体が協力した。熊管連では相談会を契機に、被災マンション管理組合を対象に、きめ細かい相談、復旧方法のセミナーなどを精力的に開き、被災マンションを支援してきた。 しかし、震災直後からの建築費の高騰、資材不足、職人不足が続き、とくに職人不足は顕著で、北海道、東北、関東などからかき集められ,手間代も一日3~5万円にもなった。 それより問題は、半損、一部損壊したマンションの改修で、損壊した廊下の壁、外壁、エレベーターホールの壁など、改修したはずの壁などが設計通りに直らない、という現象が多く見られた。 当時、福岡大学の古賀一八教授(2019年3月退官))は、福管連に協力して、2年余、ほぼ、毎週熊本に駆けつけ、復旧工事を指導するなどに精力的に動いた。古賀元教授は、25年前の阪神淡路大震災時に、長谷川工務店研究所員として、神戸、芦屋など被災地を中心に300棟を超えるマンションの建替え、改修に携わった。 熊本地震で、古賀元教授は図面通りに直らない改修現場に立ち、基本的な改修技術が施工会社に伝承されていないことを指摘する。阪神淡路大震災時に現役だった職人はほとんど定年で退職した。古賀元教授によると、阪神淡路大震災の数年前、国が実験用の5階建てマンションを建て、それを破壊しては改修ずる研究を重ね、古賀元教授もそれに参加、その時に残された技術シートを所有しているが、肝心の職人の技術は伝承されていないのが最大の問題と指摘する。 1. 伝承されない復旧技術 技術の伝承といっても課題が多く、ほとんどの職人は現場を離れると、その技術を残す余裕がなく、新しい現場、また別の現場へと回る。大震災が頻繁に発生するわけではないことから、現場での技術は忘れられることになる。古賀元教授は、熊本地震でマンション改修に活躍した職人が現役でいる熊本、福岡など九州地区の施工業者にまず協力を仰ぎ、改修技術を残す手立てを講じ、官民で改修技術を残すセンターを設けることが先決と訴える。30年以内に7割の確率で発生すると政府が予測する首都直下型地震、東南海トラフ地震。甚大な被害が予測されるだけに、古賀元教授は、早急な立ち上げが望まれる、と指摘する。センターは、改修技術シートの作成、保存、現場作業の講習、新規技術の研発開発など多岐にわたるが、官民の共同作業が望まれる。 2. 東北、阪神淡路の事例も材料に こうした技術の伝承について、日本マンション学会行政課題研究委員会は、昨秋に古賀元教授を招き、実情をヒアリングした。9年前の東北大震災、25年前の阪神淡路大震災での同様の事例を探り、管理組合をはじめ、当時の施工会社、技術者を探し出し、事例を集める考えだ。 建替え技術は、新築とほぼ同様で臨めるが、半壊、一部損壊など『直して住む』マンションの方が圧倒的に多いはず。そこでの改修技術をきちんと残す努力を見直したいし、地球資源の節約の視点からも大きな意味がある、と同研究委員会。 一方、熊管連の堀邦夫会長は、3年前自らのマンションの大きくひび割れた壁の改修工事で、接着剤のエポキシ樹脂が中途半端に入っていたことでやり直し工事を繰り替えした経験から、「ほかにも失敗した事例を熊管連ではつかんでいる、大震災では半損、一部損壊のマンションが圧倒的に多くなる。それを的確になおす技術をもたないと本当の意味で復旧といえない」と指摘する。 |
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(全管連会長 川上湛永) |
新型コロナウイルスの感染が拡大しているが、4月~6月に集中するマンション管理組合の通常総会開催をめぐって管理組合に戸惑いが広がっている。「予定通りに開催する」から、コロナウイルス感染の広がりを警戒しながら一定時期まで延期、または、議決権行使書、委任状を活用して体調不良の方の出席を控えてもらい総会を開く、などの選択肢が考えられる。マンションにとって年に一度の通常総会は予決算、理事の選任、大規模修繕など重要な議案を決議する機会だけに、万全な感染防止策を講じつつ、延期してでも総会を開きたい。 |
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(全管連理事会) | |
通常総会は、マンション標準管理規約で「理事長は通常総会を毎年1回、新会計年度開始以後2ケ月以内に招集しなければならない」とされている。すでに2、3月に総会を開催したところもあるが、大半のマンションは分譲時期が年度末だったところが多く、5,6月が総会開催のピークとなる。 全管連理事会で、いくつかの選択肢を検討した結果、新型コロナウイルスの感染が今後も広がる状況下では「理事会で、総会の延期を決議し、延期された総会で事後決議をする旨を通知し、意見のある組合員は総会前にも理事会への意見表明をお願いする」とした。コロナウイルスの感染予防策を万全にして臨むことにし、体調の悪い方の出席は遠慮してもらう措置をとる。 また、総会に出なくても意思表示する手段として議決権行使書、または委任状の提出を呼び掛ける。事前に配布する議案書も丁寧でわかりやすい内容とする工夫をする。 一方、延期で総会開催が新会計年度開始以後2ケ月を超える場合、理事長など理事の選任が当然議題になるが、任期の一時延長を事後承認事項にするほか、会計支出も事後承認事項にするなどの措置をとる。 すでに3月初めに総会を開いた管理組合によると、出席者は例年の3分の1、議決権行使書の提出が大幅に増えたという。 なお、2016年4月14、16日に発生した熊本地震では、マンションの全壊、半壊などで多くの管理組合が総会を延期したものの、総会は開いた(堀邦夫・熊本県マンション管理組合連合会会長)。 「マンション管理会社の感染症等流行時対応ガイドライン」 一般社団法人マンション管理業協会 |
この問題で、NPO法人中部管協の顧問弁護士 高桑 美奈弁護士に聞いた。 | |
1 緊急連絡先の届出 例えば、賃貸マンションや、介護施設、病院等では、事前に緊急連絡先等を確保することがあります。 適当な緊急連絡先がいない方は、身元保証会社と契約し、料金を支払って緊急連絡先を確保する場合もあります。 しかし、分譲マンションは、一戸建てと同様、通常このようなやり方をしていません。 これを機に、規約を変更して、緊急連絡先を登録するように定めるのは1つの方法だと思いますが、プライバシーの問題や、そもそも緊急連絡先がない方もあると思いますので,賛同が得られるのは難しいかも知れません。 2 立ち入りについてのルール作り 今回のケースですが、まず、1番の問題は、亡くなったことに気付くのに時間がかかった点です。 今回のケースでは、生協から購入したトドック便が2ケースも玄関前に置かれたままで、40リットルの燃やせるゴミ袋が階段ホールに置いたままという状態で、おかしいと思って警察官に立ち合いを求めていますよね。この時に、自宅に入っていれば、1週間早く発見できたということですね。早く、気づけば臭気などの問題も酷くならなかった可能性はあります。 ただ、他人の専用部分に入ることに抵抗があったのだと思いますし、何もなかった場合にトラブルになるのを恐れる気持ちもあるでしょう。 そこで、どのような場合には、自宅に入って確認しても良いか、この機会に管理組合で話し合いをされてはいかがでしょうか。 特に、高齢独居の入居者が多いのであれば、希望者を対象として、いざと言う時に誰に連絡をして欲しいのかを、管理組合で把握して記録しておくということもあり得るでしょうし、その方が安心という方もあると思います。 各区分所有者全員が統一しなくても(例えば、お若い方が反対されても)、希望者から、この段階で開けても良いということが示されれば、理事や理事長としても、希望者のお宅には立ち入りがしやすいと思います。 3 日頃のつきあい 結局、日頃、同じマンションに住んでいる者同士、声をかけあっておくのも必要ということだと思います。 4 安否確認サービス利用 とはいえ、あまり近所づきあいをしたくないという方もありますから、安否確認サービスについて勉強会をしたりするのもよいかもしれません。 |
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高齢独居区分所有者の孤独死 | (全管連副会長 水島能裕) |
今年の6月初めころ、ある区分所有者から、隣が出したゴミの臭いが酷いと理事長に電話が入りました。玄関の入り口には、生協のトドック便2個のケースがありました。40ℓの燃やせるゴミ袋1個が階段ホールに置いたままでしたので、一応近くの交番に連絡し、警察官立会いの下に、ゴミステーションに移しました。 玄関ドアには、新聞が2~3部差し込んであり、病弱な方だったので入院されたのかと思い、ドアは開けないままその場は収めました。 それから7日くらい経って、また隣の方より、「酷い臭いがする、夜はいつも電気がついているから部屋にいるのではないか?」と連絡がありました。 副理事長と一緒に確認をと思い、ドアノブを回すとドアは開きました。嫌な予感がしましたが、部屋に入ってみましたら、テレビと電気は点けたままでした。入居者は居間の応接セットのテーブルの下に顔を椅子の方に向けて死亡していました。パジャマを着たまま、顔色は濃い茶色に変色していました。 すぐに警察に連絡、最初に救急車が到着しましたが、「死亡しているので運べない」とのことでした。まもなく警察官が数名来られ、事情を聴かれました。 その後は、警察におまかせ、遺体は警察で安置している様子でした。暑い時期でもあり、ホールに臭いが漂っていたため、玄関ドアにテープを張り、ホールに臭いが来ないように処置をしました。また各階ホールの臭いを少しでも抑えようと消臭剤を配置しました。 3週間ぐらいして、警察から連絡があり、東京に娘さんがいることが判明しました。娘さんと連絡を取ったところ、数日後娘さんは、数十年前に離婚した母親とその再婚した旦那さんとの3人で来られました。理事長が面談し、事情を説明しました。その結果、一切の財産はいらない、相続財産は放棄したい、全て管理組合にお任せしたいとのことでした。 北海道マンション管理組合連合会旭川支部に相談、その後一緒に提携弁護士さんに相談し、弁護士から競売に出しても買い手が誰もいないときには、管理組合法人が買い取ることの確認があったうえで、相続財産管理人になってもらう前提で、まずは相続人の調査を15万円の着手金でお願いしました。 このような件は、3等親までの方を探し出し、全員の相続放棄がなければ相続財産管理人も選任できず、競売も成立しないとのことでした。娘さんの相続放棄は確認が取れたそうですが、まだ2人の男の子がいるようなので、現在調査中で、まだまだ時間がかかりそうです。 私どものマンションには、高齢者・病弱者・独居老人が多くおります。70歳以上の区分所有者が40%、そのうち、一人暮らしの70歳以上は20%です。 当管理組合も今後の対策を検討しなければと役員会で頭を抱える状態です。これらの方々が生前中に解決する方法がないものでしょうか? |
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孤独死の背景と防止策 | |
1.孤独死が急増 「自宅内で死亡した事実が死後判明に至ったひとり暮らしの人」を孤独死と位置付け、2015年4月から2019年3月までの4年間で孤独死した人は計3392人。うち男性が8割以上を占め、女性よりも孤立しやすい。 現役世代も男性で37%、女性で41%おり、必ずしも高齢者に限った問題ではない。発見までにかかった日数は平均で17日、中には90日以上たっていた事例もある。 孤独死があった部屋は残置物の処理などに費用がかかるだけでなく、その後で入居者を探すのも難しくなる。家主(相続人のいないマンションの部屋では管理組合)が受ける損害は原状回復や家賃保証などで約90万円だったという。 社会的孤立は死亡リスクを約1.5倍高める。外出して他者と交流したり、地域で見守るシステムをつくったりすることが重要とされている。 2.相続財産管理人も急増 相続財産管理人は1898年(121年前)に始まった歴史のある制度だが、2000年代に入って選任数が急増しており、2000年の7639人から、2017年の2万1130人へと約2.7倍に増加した。「相続人不存在」で国庫に引き継がれる金額も増加傾向にあり、2017年度は約525億円に上った。 |
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背景には単身高齢者の増加や50歳時未婚率の上昇があるとみられる。内閣府によると、15年時点で65歳以上の一人暮らしは約592万人。40年には896万人に増えると予想されている。
国立社会保障・人口問題研究所によると、2015年の50歳時未婚率は、男性が23.37%、女性が14.06%。男性の4人に1人、女性は7人に1人が「独り身」だ。 3.孤独死を防ぐサービス 今は「孤独死保険」や、各種見守りサービスもある。電気使用量の変化で居住者の「いつもと違う」状況を検知する「見守り電気」、事前に指定した曜日・時間に電話がかかって安否を確認する「見守りコール」など低価格のシステムもある。ただ終活支援のサービスが多様化する一方で、高齢のおひとり様の増加に、まだ対策が追いついていない。 生前契約では、NPO法人の「りすシステム」(東京・千代田)や「きずなの会」(名古屋市)などが有名だ。死後事務に加えて身元保証や生活支援・葬送支援など様々なサービスを引き受ける。内容を充実させれば金額はかさむ。プランによっては100万円を超える場合もある。どちらかといえば資金に余裕がある人向けといえる。 新規参入も増えている。「フェリーチェ結う」(東京・豊島)も昨年8月に事業を始めた。病院に入院する際の保証人業務や安否確認、葬儀や納骨などのエンディングサポートを主体に基本料金は92万円(税別)となっている。「当初はシングル女性向けだったが、今は男性にも対応している。 終活関連サイトを運営する「株式会社鎌倉新書」(元は仏具業界向け出版社だったが、今は終活サービス提供。年商17億円)もおひとり様向けに葬儀・墓・死後事務の手続きをサポートする「いい生前契約」と名付けたサービスを2019年6月から始めた。49万8000円(税別)で、火葬のみの葬儀(直葬)と、保険証や免許証の返納といった死後の手続き、納骨までをパッケージにして提供する。対象は50~80代のおひとり様とその予備軍。同社の提携会社で直葬を執り行い、すでに墓を持っている人は指定場所に納骨、墓がない人は同社が運営するサイトと提携している霊園の合祀(ごうし)墓に納める。 鎌倉新書は2019年5月に60代以上の単身者らと夫婦のみで暮らす500人以上を対象に実態を調査した。いずれひとりで最期を迎えることに対して不安を感じる人は、全体の半数近くを占め、その理由に挙がった「託す人がいない」「孤独死」「専門知識がない」を三大不安要素とした。不安があるがまだ準備ができていない項目では、死亡届などの役所への提出や公共料金の解約手続きといった「死後事務」が87%に達し、最も多かった。「いい生前契約」では葬式や墓だけでなく、死後事務も加えたのはこうした背景があったからだろう。サービスを担当する執行役員の田中哲平さんは「おひとり様と接点のある事業者や終活支援を考える自治体とも組んでいきたい」と話す。 4.自治体によるサービス 神奈川県横須賀市では、引き取り手がいない遺骨の増加し、2000年以前は年間10柱程度だったが、右肩上がりに増えて2014年度には60柱になった。しかも大半は身元がはっきりした遺骨だ。通常なら家族がいて火葬し納骨するが、身寄りがないか、いても疎遠ならば、そうした手続きをする人がいない。多くは高齢のおひとり様だ。通常は市が火葬して納骨堂に安置するが、それだと市の負担がどんどん増えてしまう。納骨堂もいっぱいになった。 そこで始めたのが「エンディングプラン・サポート事業」だ。「低所得(月収18万円まで)」「低資産(預貯金225万円以下など)」「頼れる親族がいない」などを条件に、緊急連絡先や延命治療の要不要、葬儀や納骨などの希望を聞き取って登録する。そのうえで葬儀会社を紹介し、25万円払って生前契約を結んでもらう。地元の10社の葬儀会社が協力を申し出た。2019年3月末までに40人が登録し、9人はすでに葬儀・納骨を済ませたという。 「事業を始めると経済的に余裕があるお年寄りから『自分は登録できないのか』と連絡があった。引き取り手のない遺骨は何も低所得者だけとは限らない。葬儀や納骨は民間の業者と自由に契約してもらい、その結果や情報だけ市に登録してもらえばよいと気付いた」 そしてもう一つの「終活情報登録伝達事業(通称=わたしの終活登録)」が2018年から始まった。緊急連絡先に加えて、エンディングノートや遺言の保管場所、墓の所在地などの11項目から自由に登録してもらい、病院や警察などから問い合わせがあれば市が回答する。2018年11月に初めて登録者が亡くなった。姪(めい)から連絡があり、登録情報を伝えたところ、親族は全員火葬に間に合い、遺書も指定された場所から出てきたという。登録は現在120件程度だが、横須賀市では、問い合わせは多いと今後の登録者の増加を期待する。 高齢の「おひとり様」が増えている。2018年の「国民生活基礎調査」(厚生労働省)によると、65歳以上の人がいる世帯では単独世帯が27.4%に上り、これまでで最も多くなった。高齢の夫婦だけという「おひとり様」予備軍を加えると全体の6割近くに達する。終活支援に取り組む自治体が増えているのは、こうした世帯構造の変化が背景にある。高齢の単独世帯は孤独死や引き取り手のいない遺骨になりかねない。神奈川県では横須賀市のほか、大和市が実施するほか、千葉市や東京都中野区なども手掛ける。 5.使用しづらい成年後見制度と家族信託 認知症対策として任意後見制度があるが、任意後見制度は、被相続人が元気なうちに財産を管理する後見人を選定しておく制度で、実際に機能するのは判断能力が低下してからになる。 しかし、成年後見制度は、案外負担と制約が多く、毎年家庭裁判所への報告義務があったり、資産(財産)の積極的な活用や生前贈与などの相続税対策がしにくい。財産は裁判所の監督下に置かれ財産保全が求められ、現実的には活用しづらい面もある。 そこで、最近注目されているのが家族信託だ。信託契約の時点で受託者による資産の管理と運用が始まるので、資産の管理や運用状況を被相続人が見届けられるメリットがある。そのため、自分が元気な内に、資産が承継できるという安心感がある。 ただ、受託者には身上監護権がないため、老人ホームなどの施設への入居の際は本人に代わって契約手続きができない。その点、任意後見制度には身上監護権が認められているので、場合によっては任意後見制度との併用をしていくことも必要になる。 家族信託を適用できる事例としては、父親が判断能力を失えば不動産を売ることができなくなり、預金を下ろすことも困難になる。父親は資産を運用して利益を得たり、相続税の納税資金をつくるために不動産の一部を処分したいと考えているが、将来自分が重病や認知症になった場合にそれができなくなる不安を感じている。 父親が元気なうちに息子などを受託者として契約を結んでおけば、もし父が判断力の低下がみられた場合でも、息子が父親の生活費などを代わりに支出できるし、契約内容によっては納税資金のために不動産を処分するということも可能になる。 父親が長男に信託した場合、財産の名義は長男に移るが贈与にはならず、父親が利益を得ることになるため、今まで通り父親が確定申告を行う。この状態では信託する前と書面上は何かが変わったわけではないが、大きなメリットがある。 家族信託で名義を変えておくと、賃貸契約などのすべてに対応することができる。家族信託で「自分が亡くなったら受益者は妻に変更する」としておくことで、受益者の変更に遺言書も遺産分割協議書も必要がなくなり、手間が省ける。 しかし、家族信託は、財産を適切に管理・処分できて、かつ信頼できる家族(親族)がいるかどうかが大きなポイントとなる。また、受託者に財産の名義が変わるということは、委託者に判断能力があるうちから利用できるというメリットではあるが、自分の財産が自分名義でなくなることに抵抗感を持つ人もいるだろう。信頼して任せたのに管理がずさんにされると、他の相続人の中から不満の声が上がり、トラブルになる可能性もある。 そこで、手続きはやはり、家族信託を多く手掛けた弁護士などに委託したほうが確実だ。そうすれば、それなりの費用もかかる。ある程度の財産がある場合に利用できる制度といえる。 6.遺言を残し信頼できる人(他人も可)に託す 相続人がいないか、いても遠く離れた甥や姪で、ほとんど交際がない場合など自分の死後を託すには迷惑を掛けることになると思う場合などは、どうしたらよいだろうか。 そこで、私が一番お勧めするのが、信頼できる人に自分の死後を託す方法だ。 自分が最も信頼する人か、マンション管理組合に、事前に同意を得て、死後の手続き一切を委託する方法が最も確実で、費用が多くかからない。 「預貯金は〇〇に△△円、残りの預貯金は全額◇◇に遺贈する。死後の手続き一切と遺品の処分を〇〇に委託する」、さらにマンションの区分所有者であれば、「所有するマンションを管理組合に遺贈する」と書いて、「日付」と「自分が署名」した自筆遺言書を作り、「押印をしたうえで」封筒に入れ封をして冷蔵庫に磁石で張り付けておく。 遺言書を発見した委託を受けた人か管理組合は、遺言書について家庭裁判所の検認を受けてから、実行に移ることになる。 そうすれば、親族や管理組合に迷惑を掛けず、多くの費用も要せずに、死後の心配をせずに安心して暮らすことができる。 マンションの専有部分を管理組合に遺贈することを明記しておけば、管理組合が相続財産管理人を選任しなくともよい。管理組合の手間がおおいに省ける。 そのためには、マンション管理組合を総会の4分の3以上の特別決議で、法人化しておくことが必要となる。法人化は一時下火となり、全国で十数%の割合でしかないが、今後は管理組合が専有部分を取得する機会が増えることを考えると、法人化が必要とされる時代がきている。 もし、信頼できる人がいなければ、先に引用した自治体や民間のサービスを利用することになる。どちらにしても、できるだけ費用をかけずに、安心できる方法を生前に用意することが必須となる。 旭川市内のマンションでは、高齢で一人住まいの入居者を集めて、ファイナンシャルプランナーや司法書士の方を講師に、死後に備えて生前にしておくべきことの講習会を開いているマンションもある。対象となる人のほとんどの方が集まり、大変好評だった。 |
3年前の4月に震度7の大地震に見舞われ、多くのマンションが被害を受けた熊本市にこのほど、マンション施策を担当するマンション管理支援班が住宅部住宅政策課に新設された。 熊本県マンション管理組合連合会(堀邦夫会長)が、昨年8月、マンション施策を担当する部署の開設を大西一史市長に要望していた。具体的な取り組みとして市職員が3年間の計画で分譲マンションに出向き、管理組合理事長に必要情報を提供、適正管理の必要性の気づきを促すなど3事業を新規に進める。 同市の新規3事業はほかに、標準管理規約を整備する際、マンション管理士等専門家を活用する場合、5年間、助成する。管理規約の新規作成、または改正に要した費用の2分の1以内で10万円を上限とする。規約改正には区分所有者が集まり議論する必要があることから、管理意識やコミュニティ向上に寄与する、ととらえている。 3点目は耐震化の助成事業で、耐震診断や耐震改修にかかる費用の助成を7年間の予定で実施する。同市には旧耐震のマンションが90棟確認されており、今後、大地震が発生した場合に、被害の軽減につながるとみている。 大西市長に直接要望 熊管連は、行政への働きかけを3年前から行っており、平成30年9月には、マンション勉強会として、高木一臣市議の同席のもと、市建設局長、中央区まちづくりセンター所長に堀会長らが面会、マンション名を冠した受付窓口の設置、マンション実態調査の要請などを行った。また同年8月17日には、大西一史市長に堀会長らが面会、被災マンションの復旧状況を報告したあと、熊管連が作成した地震対応箱作成の取り組みなどを報告するとともに、マンション名を冠した専門部署の設置を要望した。 堀会長は、「マンションを冠した部署の開設は、うれしい。市内には、3万5千戸もの分譲マンションがある。市民もマンションを冠した部署の開設で、問い合わせや要望を出しやすくなる」と歓迎する。 熊本市のマンショ実態調査から 平成29年度に熊本市は、熊本県マンション管理組合連合会、熊本県マンション管理士会の協力で、分譲マンションへのアンケート調査により、市内の分譲マンションの実態調査を実施した。 調査結果によると、市内の分譲マンションは754棟、34,933戸(いずれも推計)。 戸数では、全世帯の1割を占める。市内中心部に立地する比率が高く、中央区が21,796戸(62.4%)、東区6.660戸(19.1%)、西区3.512戸(10.1%)。築年数は全体に若く、30年超えのマンションは143棟で、2割弱。そのうち、1981年5月以前に着工した旧耐震基準のマンションは90棟で全体の1割。棟数では単棟型が90% 。築年数では、21~30年が32%、11~20年26% 、31~40年は5%。 耐震診断では、旧耐震基準のマンションで、実施済は17%で、未実施は74%だった。 さらに耐震改修では、旧耐震基準マンションで実施済みと回答したマンションは4%, 未実施と回答のマンションが87%と高い比率を占めた。 |
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![]() 大西一史市長にマンション専門部署の開設を要望する熊管連の理事=熊本市役所で |
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(全管連会長 川上湛永) |
マンションの大規模修繕について、次の本を読みました。 『管理組合理事は知らないとヤバイ… マンションの大規模修繕でダマされない方法』 一級建築士 建山晃著:彩図社:B6版200ページ:2019年4月3日発行: 1,600円+税 築25年目5階建て150戸の中古マンションを購入し、3年目に理事長を「押し付けられてしまった」建設会社勤務の1級建築士で63歳の技術者の体験です。 |
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資金は無駄な修繕排除で大事な修繕に集中せよ 購入前の築24年目に2回目の大規模修繕を終え、その後の1年検査に新米の理事として立ち会った際、 ① メーカーが最長32年は保証している一番信頼のある工法を用いた屋上防水を24年目でやり替えたのに、水たまりとなっている屋上。 ② 元々の50ミリの排水管に、修繕時に30ミリの排水管を入れたため排水ドレーンが水を飲み込めず、落ち葉が集積しないよう料理用のステンレスの金物網が被せられ、風で飛ばないようレンガが置かれている形状 を見たのがきっかけで、この本を書くことになったとのことです。 「大切なお金を無駄な管理費や修繕で使い果たしてしまい、大事な修繕ができなくなっている。」 「本書の目的は、自分たちのマンションの価値を守ること」 「専門家でなくてもできる工事監理方法を書いた」ので参考にしてほしいと書き出しています。 修繕には「施工要領書」と「工事写真」が必須 大規模修繕を行う際には、 ① 監理技術者としての資格を証明する一級建築士登録証明書と監理技術者登録証のコピーを添付した「施工要領書」を必ず出させる ② 塗料であれば材料搬入時の写真と工事後の塗料の空き缶の写真、高圧洗浄で あれば洗浄中のメーターの数字の写真、というように何を使いどのように作業したか確認できる「写真」を必ず添付させる と指摘しています。 エレベーターは30年以上もつ 私のところには、20年目で部品供給ができなくなるとして、エレベーターの取替を勧める文書がメーカーから届き、取り換えるべきか否か迷っているとの相談が最近多く寄せられています。この本のエレベーター部分の記述は、私をおおいに納得させるものでした。 私のマンションは築46年目に入った4階建てなので、エレベーターはありません。しかし、現役のときに管財の仕事をしており、会社社屋のエレベーター管理をしていた体験があります。 「以前エレベーター整備をしていた人に聞いたところ、機械はきちんと(年1回の)法定点検すれば、30年、40年は間違いなく動くそうである。部品についても何とかするとのことだ。」「つまり、(20年)25年で取り替えというのは怪しい話なのではないかということだ。」「せめて更新時期を(20年)25年ではなく33年に延ばすことで、100年間で4回(5回)の更新を3回にできないだろうか。」(カッコ内は水島) 「大切なのは業者の意見をうのみにして結論を出すのではなく、自分たちで考え検討し、結論を出すことである」 エレベーターの保守契約は年1回の法定点検で 著者のマンションでは、「5年前にエレベーターを新しくし、同時にエレベーターの保守点検業務も、新たに契約した。その内容は次の通りである。 ① フルメンテナンス契約 ② 年間4回の保守点検業務、5機で年240万円 ③ 点検業者はエレベーターメーカーの関連会社 これらは、私が理事長として契約したので、大いに反省している。新築の建物であれば、少なくとも最初の1年間は建物の全てが保証対象となり、故障すれば無償で直すのは当然だ。エレベータ―にも同じことが言える。少なくとも最初の1年間は点検業務など不要だったのではないか。」 「私は調査することにした。結果としては5年間で約1000万円のお金が無駄に使われたのではないかと確信した。」 「5年間で部品交換は0回、故障で何か作業したこともなかった。」 「点検業務は5年間で1200万円。痛恨の極みである。少なくとも5年間の点検費用は年1回の40万円程度におさめ、5年間で200万円というのが妥当だったろう。」 これは無駄な管理費節約の問題です。 国内エレベータ―の新設は3分の2に減少 2019年9月30日付け日本経済新聞の記事の一部を引用します。 「古いエレベーターを巡り、設備の更新が増える『2020年問題』が起きている。新設の多かった1990年代の設備が取り換え時期を迎えているほか、電機大手が2020年以降に旧型部品の供給を相次ぎ止める。更新を商機とみる保守専業会社と競争が激しくなる。 |
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三菱電機や日立製作所、東芝などが設けた国内のエレベーターは約100万台とされる。老朽化が進み、日立の関秀明執行役専務は『バブル以降(水島注:33~28年前)に建てたビルで更新期を迎えている』と話す。」 この記事では、メーカーも30年前後経過のエレベーターの取り換え時期が来ると述べていて、実際には20年交換など考えていないことがわかります。 しかもマンションは商業用ビルと異なりエレベーターの使用頻度がごく限定的です。 更新を勧めてきたメーカーに、エレベーターの使用頻度を表す計測器をつけさせ、いかに使用頻度が少ないかを実証したマンションもあります。 それでも、マンション管理組合は素人だと侮って、20年で取替を推奨する文書を送付しているのではないでしょうか。 この15年間で新設約3.5万台が約2.3万台へと3分の2に減っており、更新で技術者が足りないと言いながら、メーカーの苦境も示されています。 排水管の洗浄と更新は不要 エレベーターのほかに、排水管について「1980年以降のマンションは更新も洗浄もしなくていい」の項目も“我が意を得たり”です。 自慢にもなりませんが、1974年9月1日竣工の私のマンションは、排水管については、更新も洗浄もしていません。 稀に排水漏れが起きるのは専有部分の台所の排水口で、内部に油が付着して台所排水が床に浸みだしてきた程度です。ホームセンターで買ってきた千円程度の器具を押し込んで解消されました。 知識を身につけ、侮られない管理組合に 「大規模修繕工事に集まる詐欺師の実態」の項目は、一昨年から問題になっている、格安で受けながら裏でバックマージンを受け取るコンサルタント(設計事務所)について、「マンション修繕工事の話が出たら、建築士を連れて詐欺師とペテン師が来ると思え」と警鐘を鳴らしています。 私たちは、マンション管理組合という消費者の立場で、厳しく見極める目が必要です。詐欺師は、いかにも「自分はクリーンです」という顔であらわれます。 岩波新書の『生きのびるマンション』(山岡淳一郎著:2019年8月22日)は、全体としてよい本なのですが、第2章「大規模修繕の闇と光」では、闇の部分への切り込みが不十分というのが私の感想です。 翔設計(子会社含め東京・横浜・名古屋・大阪・広島、社員112名)の貴船美彦氏が本書で「マンション改修には基準がまったくない。建築確認も必要ない。そうすると何でもありなんですよ。」と語っています。 ここにマンション大規模修繕の闇の温床があると思います。 素人集団ということで管理組合を騙す手法は許せません。私たち管理組合も素人を自認して“専門家”に任せると安心だということでは済まされません。 私の住んでいる北海道では、管理組合連合会が大規模修繕勉強会を少人数のゼミ方式でおこない、理事さんたちが研鑽を重ねています。 詳しくは、ぜひ本書を読んでいただきたいと思います。「目からうろこ」の事例がたくさん書かれています。 ただし、一番最後にある「町内会からの脱会」の2ページだけは、私は賛同しかねます。 |
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(全管連副会長 水島能裕) |
【 福岡市中央区社会福祉協議会との協働による、『都市における マンション孤立死防止モデル事業』の紹介 !!! ( 2014~ 】 | |
近年、都市におけるマンション居住者は、近隣関係が希薄になりがちであり、地元の町内会等に未加入となる傾向にあります。 このため、マンション管理組合の機能に注目するところでありますが、建物の保守管理に偏るところも多く、今後「孤立死」の発生する可能性が高くなっている状況にあります。 そこで、見守りのノウハウのある社会福祉協議会と、NPO法人福岡マンション管理組合連合会とが協働することによって、マンション内における「孤立死」防止対策を確立するために、今年度(2014年度)からモデル事業を実施することとなりました。 現在、中央区内の3マンションをモデルとし、防災訓練と見守りの組み合わせやマップ作り、顔の見える関係づくりのための集いの場作りなど、マンションの方々と検討しているところです。 その後、福管連は「福岡市地域アドバイザー」登録を行い、地域主催のセミナー等の講師として担当理事を派遣し、地域とマンションの共存に向けた取り組みの支援を行っています。 NPO法人 福岡マンション管理組合連合会(通称:福管連) 昭和62年発足。全国トップの687管理組合が参加する管理組合団体。相談活動、セミナー研修会の開催、管理組合運営の支援などの活動を行っている。 | |
認知症の方は、このようなことを望んでいる! 内閣府2017年発表データでは、2025年には認知症患者の予測数が700万人前後になると発表しています。 高齢者の5人に1人まで達する可能性が( 大 )であります。高齢者の4人に1人が認知症又はその予備軍と言われています。一口に「認知症」と言っても様々な種類があります。 年相応だとか精神的におかしいなど誤った認識をしてはいませんか? 私たちは、認知症を正しく理解し、本人や家族の方が望むのであれば、支援の手を差し延べる心の準備をしておきたいものです。 認知症は脳の病気の一つであり、治療薬も開発されつつあります。 平成18年10月16日~17日、京都において日本で初めての認知症の方の「本人会議」が開催されました。 全国から初期の認知症と診断された方7人が集まり、意見交換が行われました。 そうして、認知症の方が望んでいることを、次のように「認知症本人会議アピール」として取りまとめ発表されました。(NHK福祉ネットワークより) 認知症 本人会議アピール 本人同士で話し合う場を作りたい ① 仲間と出会い、話したい。助け合って進みたい。 ② わたしたちのいろいろな体験を情報交換したい。 ③ 仲間の役に立ち、励まし合いたい。 認知症であることをわかってください ④ 認知症のために何が起っているか、どんな気持ちで暮らしているかわかってほしい。 ⑤ 認知症を早く診断し、これからのことを一緒にささえてほしい。 ⑥ いい薬の開発にお金をかけ、優先度の高い薬が早く必要です。 わたしたちのこころを聴いてください ⑦ わたしはわたしとして生きて行きたい。 ⑧ わたしなりの楽しみがある。 ⑨ どんな支えが必要か、まずは、わたしたちにきいてほしい。 ⑩ 少しの支えがあれば、できることがたくさんあります。 ⑪ できないことで、だめだと決めつけないで。 自分たちの意向を施策に反映してほしい ⑫ あたり前に暮らせるサービスを。 ⑬ 自分たちの力を活かして働きつづけ、収入を得る機会がほしい。 ⑭ 家族を楽にしてほしい。 家 族 へ ⑮ わたしたちなりに、家族を支えたいことをわかってほしい。 ⑯ 家族に感謝していることを伝えたい。 仲間たちへ ⑰ 暗く深刻にならずに、割り切って、ユーモアを持ちましょう。 昨今のマンション事情 NPO法人 福岡マンション管理組合連合会では、昨今のマンション事情を考慮し、居住者の高齢化問題(福祉対策)とマンションの減災対策を行う為の「出前講座」を実施しています。 NPO法人 福管連では、1年に2回 管理組合への無料派遣を実施しています。 【無料派遣/年2回】1回分は、総会又は理事会へのマンション管理士等の支援派遣であり、2回分は、「出前講座」として、理事会役員向けや組合員向けのテーマを設定しています。 例えば大規模改修工事の進め方・正しい総会の開き方・新役員入門・理事会運営のポイント・福祉対策(高齢者の見守り)・防災&防犯等減災対策(防災訓練支援とAED取り扱い訓練含む。)等々多種多彩な出前講座があります。是非、活用してください。 ◇集合住宅の高経年化に伴い「高齢者」が多数を占める傾向 ➀ 身体上のハンディキャップのある居住者の増加 ② 認知症を発症し、集合住宅内徘徊、共用部分排泄、異臭問題等居住者間のトラブルへと発生する問題 (認知症は、若年層にも発症する。) ③ 高齢者のみ世帯(老々介護)・高齢者独居世帯の増加 ④ 居住者の死亡(含む孤立死=孤独死)(高齢者ばかりとは、限らない。) ⑤ 区分所有者死亡に伴う、相続・継承問題による長期かつ高額滞納問題。相続後の空室化・賃貸化の問題 以上のような問題に管理組合(理事会)は、どう対応すべきか? 又、地域との連携を図るためにどのような考え方で活動していったら良いか? ◇ 助け合いとは? 助ける人と助けられる人から成り立ちます! ➀ お互いの顔が見える関係づくり ② その人に「助けて」と言いやすくなる環境をつくりましょう。 ③ 『助けられ上手』 「いざ!」という時に頼りになるのは、ご近所さんです。 ◇ 助け上手に ! 助けられ上手に !! ➀ 頑なに援助を拒む人をどうしたら ! 地域の活動(イベント)参加へのステップUPを図る ② 住民の関心の高い話題や地域で活発ないろいろな活動を発展させて訪問活動の企画を考えましょう。 ③ 抵抗感の少ない高齢者訪問活動を増やし、見守りへの理解を深めて行きましよう。 ④ 見守り活動実施後情報交換しましょう。 ⑤ 認知症発症を「かくす」のではなく、周りの理解を示せる環境整備が必要です。 ⑥ 「介護車輌等」や「緊急駆けつけ医師の駐車スペースの確保」は、管理組合喫緊の課題です。 【区分所有者(居住者)名簿管理】 * プライバシーを遵守した個人情報の整備 * 事例 1 安心カードの導入による「緊急時即時対応の強化」 65才以上の高齢者、障がいをお持ちの人、若年層でも独居の方を対象として 「 緊急時・連絡カード 」 を配布し運用 ※ 【安心情報キット】(保険証・免許証等々 コピーを入れておきましょう。) 〇 氏名・生年月日・性別・住所・血液型 〇 身体の状態 〇 世帯状況 〇 緊急連絡先 = 身元引受人・緊急連絡先(優先順位順) 〇 特記事項 = 常備薬と保管場所・お薬手帳・介護保険サービス機関、 障がい福祉サービス機関、かかりつけ医師、在宅医療 契約医師、介護施設(デイサービス等々) etc 〇 支援予定者 = 複数名~マンションフロアに限定しない。 (見守りを希望する方がおられれば記入してください。) 〇 財産管理や身上看護について 家族信託・後見人(任意・法定)・尊厳死宣言書コピー (延命治療意思表示~終末期医療希望等) ■ 以上の内容を記入されましたら、理事長に提出してください。 ■ 緊急連絡先(身元引受人を含む。)のみ台帳に記載し、返却します。 ■ 返却された「安心カード」は、安心キットに入れて「冷蔵庫」に保管してください。 ■ 安心キットの保管しているマーク「グリーンのハート形のマーク」を玄関 扉内側と冷蔵庫に貼ってください。 ■ 緊急時、消防隊員は、このマークを見て「冷蔵庫を開けてキット」を確認し、迅速な救命にあたります。 |
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事例 1 総会議案上程 ( サンプル ) l 第〇号議案 身元引受人制度の導入と緊急連絡先の整備について 皆さまご承知のとおり、最近の各居室が「単身化」「高齢化」「空室化」の傾向が強くなってきています。そのような居室における入居者の「身元引受人制度の導入」をしたいと考えます。緊急時の連絡先の登録(個人情報保護の観点から目的外使用は、いたしません。)により、「ご病気やその他の災害時・緊急時対応の優先登録者(できれば2名~3名)」をお願いいたします。 先般、福岡市民講座が開催されました。在宅医療を担当されている医師より懇切丁寧なお話しがありました。 1. あなたはどんなふうに人生を終えたいですか? 2. 人生の終焉は自宅ですか? 病院ですか? 3. 在宅医療の勧め ・・・かかりつけ医師を持つ・在宅医療医師を持つ (管理組合として把握する。) 「安心キット・安心カード?」は、ひとり暮らし高齢者や障がいのある方などを対象に、緊急時や災害時などに、もしもの時に備えるために「緊急時の連絡先」や「かかりつけの病院」などの情報を記載したカードを筒状の専用容器(キット)に入れて冷蔵庫に保管しておくものです。 |
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※ 安心キットに保管している「安心カード」は、毎年チェックして【変更箇所】を訂正しましょう。 ※ 訂正した内容は、必ず、管理組合【理事長に報告・連絡】してください。 ※ いざ!という時に役に立たなくては、意味がありません。 |
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事例 2 緊急連絡先の複数登録の実施と身元引受人制度の導入検討 組合員等において独居等介護が必要となった場合、或いは、判断能力が著しく低下した場合に、管理組合が利害関係人として立ち会うケースが多くなってくることが想定される。孤立死・管理費等の滞納・日常生活上近隣住戸へのトラブルの発生 etc通常は、個人で対応すべき案件であっても「管理組合が無関心ではおれない事由」が発生する。 自立型生活が出来なくなった場合を想定して、緊急連絡先(身元引受人を含む。)の整備を行うこととした。 |
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■ 管理規約改正 ( 例 ) 第〇〇条(組合員、占有者及び身元引受人の届出義務) 〇〇〇〇〇〇マンションの組合員の資格は、区分所有者になったときに取得し、区分所有者でなくなったときに喪失する。 2 区分所有者が次の各号に該当する場合は、速やかに当該各号に定める書式により理事長に届出なければならない。ただし、届出書式の内容が他の書式と重複する場合は、いずれか一方の届出で足りる。 (一部省略)・・・・・第〇号書式 身元引受人届 (変更も含む。)・・・・・ 事例 3 名簿整理上、区分所有者(賃借人希望者も含む。)等で身体上の不安があって「専有部分鍵預かり」を希望される居室の対応として、管理組合が規約で定めて「鍵保管制度の導入」を実施 [制度の内容] 一 専有部分の鍵預かり制度の導入 二 管理室に鍵管理ボックスを設置 三 鍵管理ボックスは、ICカード配布有資格者のみ開閉可能(基本5枚) 四 管理室は、機械警備を導入し セキュリティを強化(管理員等不在時の不正使用防止) 五 独居&弱者救済への管理組合の英断 六 鍵を預かっても「100%命を守れない場合がある旨了解を得る誓約書と緊急連絡先の複数登録を条件とする。又、その中でも優先的に「 身元引受人」の登録を義務 * ライフラインがダウンしても管理が可能! |
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事例 3 の総会議案上程 ( サンプル ) l 第〇号議案 鍵預りシステム導入による居住者緊急時迅速対応の実施について (鍵管理ボックスを管理室に設置し、緊急時に対応) (同上:設置エリア無人時~防犯エリアとする。) 皆さまご承知のとおり、4月12日消防車緊急対応をお願いする事案が発生しました。 該当するお部屋がご不在であったため、ベランダ側ガラスを割って入室させていただくこととなりました。 万が一、お部屋で居住者が倒れておられたら、本当に一刻を争うこととなったと思われます。 当マンションは、高齢化と単身化、更に空室化が進んでおります。 当マンション全体の問題として下記システムの導入を提案します。ご審議願います。 ① 専有部分の鍵を管理室に設置する「鍵管理ボックス」で保管する。 ② 管理室は、無人時警備エリアとする。(防犯の強化・無断持ち出しの厳禁) ③ 鍵管理ボックスは、ICカードを付与された者しか取り扱えない。 基本的にICカード配布者は、理事長・副理事長・防火管理者・予備管理室保管(金庫保管)・警備会社の5枚とする。ICカード保管者には、管理室鍵及びセキュリティカードを貸与する。(貸与管理台帳の整備と保管) ④ 鍵管理ボックス取扱者の履歴は、時系列で警備会社が管理する。 ⑤ 高齢者等の緊急を第三者(外部)に知らせる方法について 一 鍵を預かった居室には、「無線式・ワイヤレス警報装置」を設置する。 二 送信機と受信機で定価¥4,500-は個人負担とする。(若干値引できます。) 受信機は、玄関周りの壁に設置。( 壁に設置の承認についても審議 ) 送信機は、居室内持ち歩き可。居住者にペンダント方式で常時身につけて貰う。 最大50メートル送信可能。 【送信機と受信機=リーベックス(株)ワイヤレスチャイム】 今後、更に、高齢化は進みます。認知症となられた方々への対応は、今後ますます重要性が増大していくものと思います。 施工業者 : 〇〇〇(AEDを設置している業者です。) 費 用 : |
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【ご注意】 鍵管理ボックス等々については、インターネット等で 確認されてください。 | |
導入時期 : 本総会で承認後工事日程調整し導入 ※ ➀ 本制度(システム)を導入したからといって、管理組合が100%命を守れるというものでは、ありません。より迅速な対応を可能にし、迅速な対応を図ることを目指しているものです。(この点をご理解いただく確認書を提出していただきます。) ② 預けて頂くカギは、基本的に希望者の「 かぎ / 」をお預かりします。 ご希望されない方の鍵は、お預かりいたしません。 ③ 予算について ・・・・・・福祉対策費として組合費(又は管理費)より支出。 |
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専有部分(居室内の異常を外部に知らせる) ◇ 音と光で知らせる「見守りお助けコール」 ◇ 一人暮らしの方が、体調不良、押し売りなど緊急に助けてほしい時、室内に置いたこのボタンを押せば、玄関外に設置されたベルが緊急コールを発し、LEDが点滅します。それを聞きつけた人が駆けつけて支援。 「送信機と受信機」が1セット ◇ 送信機 ~ 一人暮らしの方の手が届く範囲に置く ~ 突発的な身体異変時にボタンを押す ~ 受信機でブザーとLEDライト点滅 ◇ 受信機 ~ 玄関先のインターホン付近に設置 ~ 送信機から50~100m距離OK |
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受信機(玄関ドア表札の所に設置) | |
事例 4 認知症を発症した人に常時身に着けていただけるアイテムの紹介 個人負担となりますが、家族も管理組合も助かるアイテムとして !!! ( 家族への通報も可能。 ) ◇ 常時着用できる「身元証明アイテム」のいろいろ |
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※認知症の方を介護している人「介護中」のマークです。周囲の方のご理解をお願いします。 | |
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(NPO法人 福岡マンション管理組合連合会 理事 松井 宏行 ) |
2018年9月6日の北海道胆振東部地震で、全道が大停電し、マンションでは、「水が出ない、エレベーターが動かない」で大変な思いをしました。 それから約1年がたちますが、各マンションでは、できるだけ安い費用で、災害対策しようと懸命です。 エレベーターの閉じ込めを防ぐ 地震時・停電時に、最寄りの階に停止する装置は2009年から義務化されましたが、後付けは、1基17~18万円で可能です。設置後試乗してみましたが、いったん真っ暗になり、5秒後くらいに再び点灯し、エレベーターはゆっくりと近い階に移動しました。制御装置に新たなセンサーとバッテリーの設置で、後付けができます。エレベーター全体を取り替えなくてもよい場合があります。 災害時の給水 ・大規模団地で、管理棟が別棟となっており、そこだけの水道直結化をおこないました。170万円かかりました。自家用発電機の設置電気工事では300万円がかかりました。 停電ではなく純粋の断水だけの時に、地下の受水槽から1階の管理人室と散水栓だけに水を上げる装置の設置だけですと20万円です。 ・バイパスで取り付けた折り曲げ自在のホースによる水道直結化工事をおこないました。停電の非常時に手動で切り替えますと、水は11階まで電気ポンプがなくとも圧力だけで上がりました。費用は30~40万円でした。一度に大量の水を使わない限り、トイレや炊事程度の水は十分可能でした。 災害時の要支援者とサポーターの関係 災害時に支援を必要とする「要支援者」とそれを助ける「サポーター」の集いを年1回おこなっています。さらに要支援者からアンケートもとっています。要支援者の病名などを知らせるのは個人情報上まずいとの意見もありますが、命のほうが大事だと思います。 |
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(北海道マンション管理組合連合会 行政委員会 委員長 水島能裕) |
全管連では、4月から6月にかけ、マンション駐車場の空き状況を把握するため、各連合会(20連合会)を対象にアンケート調査を実施、このほどその結果がまとまった。首都圏などでは高齢化などで車離れ現象が加速、駐車場の空きが問題になっていると想定しての調査だったが、空きが増えているは全体の35%だった。その一方で、大都市郊外、地方圏を中心に駐車場が足らない、と回答したマンションが61%と2極化していた。ただし、空きが増加と答えた管理組合では、大規模修繕工事費に、ほとんどが駐車場収入を繰り入れていることからさらに空きが増えれば、深刻な状況に追い込まれる恐れもある。全管連として、広域的(全国)を対象に、駐車場の使用実態を調査したのは初めて。 | |
(全管連会長 川上湛永) | |
全管連は20連合会から構成されているが、アンケート回収された管理組合は、 全体で499組合。連合会ごとの回収数は以下の通り。 ・東北マンション管理組合連合会(東北) 65 ・日本住宅管理組合協議会(日住協)39 ・かながわマンション管理組合ネットワーク(神管ネット)96 ・マンション管理支援の関住協(関西)34 福岡マンション管理組合連合会(福岡) 252 ・鹿児島マンション管理組合連合会(鹿児島)8 ・沖縄県マンション管理組合連合会(沖縄)5 上記以外の団体は、回収が7月にずれ込んだこともあり、結果として含まれていない。 | |
平面駐車場、機械式駐車場、平面・機械式併用駐車場 ・平面駐車場 84% ・機械式駐車場 5% ・併用10% 概ね1980年以前の郊外型住宅団地は、平面駐車場のみ。 1980年以降は、建設時に戸数規模により駐車台数が自治体ごとに条例化された結果、主に都心部(敷地に余裕がない)は機械式が導入されている。 駐車場の空き状況 空きがほとんどなく、「駐車場不足が続いている」が61%あつた。 徐々に「空きが増えている」35%も現状における課題と捉える必要がある。 ・空きがほとんどなく、基本的に駐車場不足が続いている 61% ・徐々に空きが増えている 35% ・近年、急速に空きが増えている 3% 空きがほとんどないとの回答にも、世帯当たりの台数制限の緩和など、空き対策が取られていることがわかる。 世帯当たりの台数によると ・2台まで 46% ・3台以上もOK 22% 区分所有者家族以外の使用 ・賃貸入居者 59% ・外部にも 3% 記述内容では ・来客用2台 ・来客及び業者に 敷地使用料として貸出し 空きが増えているマンションの対応策 対策中9%しかなく、特に対策を講じていないが59%もある。 ・特に対策を講じていない 59% ・平面駐車場を他の用途に転用した 7% ・機械式駐車場を埋め戻した 2(実数) ・機械式を埋め戻し平面駐車場にした 4(実数) ・機械式駐車場の稼働を停止した 5(実数) ・収入減の対策として使用料を値上げした 7(実数) ・収入減の対策として外部貸出しを行った 9(実数) ・1住戸に1区画を割り振り、使用の有無を問わず使用料を徴収している 3(実数) ・対策検討中 9% 記述内容 ・パレット数を減らし1台当たりの高さを確保することを検討中 ・外部貸出しコンテナハウスとしての使用 ・長期の空きによる減収を防ぐため使用料を値下げした ・5基中1基をハイルーフに検討中、1基停止まではできない ・4段式の解体と利用法を今後検討する など 機械式駐車場の課題が浮き彫りになっている。 空きの原因として、「高齢化」「車離れ」といわれているが、調査結果からみると、車の形状(幅・長さ・高さ)と区画の大きさがあっていないことがわかる。 特に機械式について、近年、「軽自動車」といっても車高が高くなっているため 機械式の上段以外に駐車できなくなっている。また、平面駐車においても、建設当初、台数を確保するため、幅が2.2 メートルあまりしかない場合もあるとみられる。 駐車場の会計処理 駐車場収入は、管理組合の収入元のひとつである。集まったお金をどのような会計として扱われているのか。一般的には「修繕積立金会計」に組み入れるのが理想とされている。 複数回答ではあるが、「修繕積立金会計」に入れるが22%.一旦「管理会計」に入れ、余剰金を「修繕積立金会計」に繰り入れが32%であり、半数以上が「修繕積立金」の原資としての扱いとなっている。 また、単独の「駐車場会計」を設けているが14%であり、機械式駐車場が対象となっていると思われる。 全額を「管理会計」に入れているが 35%あり、「修繕積立金」による大規模修繕工事への影響が相当あるのではないかと懸念される ・全額を「管理会計」に入れて処理している 35%。 ・一旦、全額を「管理会計」に入れ、余剰金を「修繕積立金会計」に繰り入れている32% ・単独の「駐車場会計」を設けている 14% ・全額を「修繕積立金会計」に入れて処理している 22% 管理組合収入のうち、駐車場収入が1年間でどの程度あるのか。戸数規模により異なるが、500万円以上が34%、1000万円以上が19%あった。 主に郊外型住宅団地と思われる。500万円以下が62%であり、そのうちの100万 円以下が18%を占めている。 ・~50万円 9% ・51~100万円 9% ・101~200万円 16% ・201~500万円 28% ・500万円~1000万円 15% ・1000万円~ 19% 戸数規模に準じた額と思われるが、都市部の100戸以下が200万~500万円、 その中でも特に50戸以下の小規模な管理組合は、今後の管理不全に陥らない対策が必要ではないか。 駐車場の1台当たりの月額使用料は、一律の場合、5001円~10、000円が 64%を占めており、10、000円以上も21%である。 ・~2000円 4% ・2001~5000円 19% ・5001~7500円 32% ・7501~10000円 32% ・10001円~ 21% 利便性、周辺の駐車場料金などを勘案して設定されているのが読み取れる。 機械式駐車場の実態 機械式駐車場がある76管理組合について、実態を項目ごとにとらえる。 機械式の種類は、複数回答81でありそれぞれの組み合わせがあるが 3段式が多い。 ・2段式 39% 日住協75% 関西50% 神管ネット43% 福岡37% 東北27% 沖縄1(実数) ・3段式 59% 神管ネット87% 関西66% 東北59% 福岡50% 日住協25% ・4段式 3% 3(実数) ・その他 10(実数) 記述 東北6(実数) 福岡4(実数) タワー式と記述しているのがある。 収納台数は、30台以下が50%と半数を占めており、30~50台が21%と なっているが、地域別でみると郊外型住宅団地か都市部か、住戸規模などによる地 域の構成が反映されているようである。 ・~30台 50% 福岡60% 関西50% 神管ネット46% 東北33% 日住協15% 沖縄1(実数) ・31~50台 23% 東北38% 福岡21% 日住協20% 神管ネット20% ・51~100台 11% 関西16% 福岡14% 神管ネット13% 東北9% ・101台~ 14% 関西33% 2(実数) 神管ネット20% 3(実数) 日住協20% 1(実数) 東北19% 4(実数) 福岡3% 1(実数) 使用率100%(空きがない)は僅か17%であり、3/4以下が33%となっ ている。地域格差は見られない。 ・1~49% 2% 東北1(実数) 神管ネット1(実数) ・50~74% 31% 東北1(実数) 神管ネット1(実数) ・75~99% 46% 神管ネット53% 福岡50% 関西50% 東北47% ・100% 17% 福岡25% 関西16% 東北4(実数) 神管ネット1(実数) 長期保全計画については、約半数がパレットの更新を含めたものがある反面 計画はないが15%ある。地域差は見られない。 ・パレットの更新を含めて長期保全計画がある 54% ・部品交換のみの計画がある 22% ・独自の長期計画はない 15% ・その他 7% 記述なし 東北3(実数) 神管ネット2(実数) 関西1(実数) 保守点検は、すべて(68実数)されており、年4回が63%、年6回が23%で大半を占めている。メーカー・機種の違いにより異なるのではないか。 ・年3回 2% ・年4回 63% ・年6回 23% ・年12回 10% 保守点検の費用(1パレット当たりの年額)は、地域・機種によりバラツキがある。1台(1パレット)当たり年間の平均額は ・関西 20340円 ・沖縄 20000円 ・福岡 15291円 ・東北 14774円 ・神管ネット 13808円 ・日住協 12223円 使用状況の問題点は、規格制限で入庫できないことが多くを占め、また、豪雨災害としてピットの水没がある。 ・規格上の制限があり、入庫できない車が増えている 60%(地域差なし) ・豪雨の時にピットが水没した経験がある 9%(関西20% 福岡18%) ・規格制限で入庫できない車が外部で駐車している 44%(地域差なし) ・その他 18% (実数:東北7 福岡2 神管ネット2)記述なし 慢性的な駐車場不足の対応 今回の調査で、「駐車場不足が続いている」が61%もあったことは想定外だっ た。そのうえ、8割も「対策を講じていない」があり、住民からの 苦情?など、管理組合運営に影響を及ぼすのではと懸念される。特に地域差は見られない。 ・特に対策を講じていない 82% ・駐車場を増やす工事を実施した 7% ・利用者の再抽選などを実施した 10% ・その他 記述 10% 上記のほか、近隣の駐車場を利用するが多く、また、近隣の地主と委託契約をするなどがある。 駐車場の管理に関する意見 記述 「駐車場が不足している」と「空きがある」とでは当然のことながら、意見が分かれている。 駐車場が不足している管理組合で、特に困っているは ・駐車マナーが悪いのが多い。不(違)法駐車、空きスペースがあるため 勝手に駐車している、不要状態の車を置いたままなど。 ・駐車料の滞納者が多い。 ・一家に2~3台持つ家が増えている ・周辺に駐車場の確保ができない ・取り付け道路に一部制約があり、運営に困っている ・隣地、地域の影響として、樹木の葉や樹液がフロントガラスに付着。 ・海岸に近い横須賀なので塩害に困っている。 ・雨天の時、敷地内に障害者、高齢者の乗り降りほか、引っ越し、荷物下ろし、宅配者の利用のため、玄関入口横に屋根付き停車スペースの設置 ・大型バイク用、来客用がない 駐車場に空きがある管理組合で、特に困っている ・管理組合収入が減る ・機械式駐車場に関することが多い。規制サイズがあり入庫できない、老朽化による補修費の増加、将来の駐車場建て替えの未検討など 業界団体等への要望は、すべてが機械式駐車場についてであり、以下に集約 される。 ・部品の共通化や修繕費の標準化について、業者に対する改善を求める ・機械式の情報入手が困難 メンテ、修繕は業者の言いなり ・更新、修繕時期の判断根拠の明確化 「駐車場不足」の対応策は 以下に集約される。 ・受付順、抽選など 「空きがある」の対応策は、機械式の改良などに補助制度の要望、外部貸出しをした場合の課税対象外に集約される ・空き駐車場の増大で修繕積立金への繰り入れが減る問題は、今後、重大課題としてとらえている。国が修繕積立金への補助制度として検討すべきだ ・機械式は維持費がかかるため行政の補助金を望む ・車利用の形態も大きく変更してきているので、規制についての柔軟な対応をお願いしたい ・シェアカー事業者への駐車場貸出しを増やし可能であればシェアカー運営を委託したい ・外部貸出しで、収入の半分が税金である ・外部貸出しは課税対象外にしてもらいたい ・駐車場を外部貸出しした場合に、収入に対する課税が発生するのであれば、計画収入が減ずることになる。その場合の、特別優遇措置が欲しいところである ・空き区画の外部貸出しの際税金免除 ・法人税等が無ければ空き区画の貸し出しを検討したい ・マンション建て替えの際の駐車場設置規制は建てる側に任せてほしい ・電気自動車充電設備への補助 ☆ 駐車場アンケートから読み取る居住者の変化,高齢化と駐車場利用の変遷 今回、東京郊外では260台整備した団地の駐車場が半分も空いて、管理組合が 頭を抱えているという話を聞き、全管連傘下の全国の連合会の駐車場の現状調査を企画した。想定に反して全国レベルでは、駐車場不足が現在進行形という現 状であった。都市郊外では通勤、買い物などで車を手放せないということと、高齢化の進行で、医療機関への往復で必要、という現実も反映している。 ここ10数年、従来の乗用車から軽自動車への買い替えも急速に進む。 軽自動車でも車いすが入る車高の高いタイプを求める要望も高く、車種によっては注文しても、購入まで4か月待ちという例もあると聞く。 高経年マンションでは、認知症患者などのために介護施設の車両に空き駐車 場を無料開放する例がでるなど駐車場の利用実態に確実に変化が出てきている。 一方、大都市部で、空き駐車場が拡大していくと、バブルのころ一部自治体 でマンションに一定台数以上の駐車場の付置を義務付けた条例の見直しも求められよう。 |
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空きも目立つようになった団地の駐車場。この団地では 14台分が空いている。=横浜市青葉区で |
マンションにおける高圧一括受電導入について、札幌市のマンション管理組合(544戸)が総会で専有部での導入を決議した件をめぐる一連の訴訟で、3月8日最高裁は1,2審の判決を退ける逆転判決を下した。一括受電は導入すれば、3,4割の電気料金の値下げとなるメリットが期待できるとされ、全国のマンションで導入の動きがある。この判決をめぐっては、法律家、実務家、マンション管理組合などの間で、いまだに議論が続いている。北海道マンション管理組合連合会の副会長の水島能裕さんに、現地の受け止め方をもふくめ情報をまとめてもらった。なお、水島さんは、元北海道電力社員でもある。 | |
(全管連会長 川上湛永) | |
1.裁判にいたった経緯と結果 専有部分の高圧一括受電の決議に反対した二人に対し、別の区分所有者一人が「安くなったはずの電気代が二人の反対で安くならなかった」として損害賠償を求めた裁判で、札幌地裁・高裁は損害賠償を認めたのですが、2019年3月5日に最高裁が逆転判決で認めませんでした。 このマンションは、北海道マンション管理組合連合会の会員で、他の組合の模範となる運営をおこなっている札幌市の民間で分譲した5棟544戸の団地型マンションです。 管理組合では、もともと共用部分は高圧一括受電をしていましたが、専有 部分についても、北海道電力から管理組合が一括受電した上で各戸に電力を提供する方式への変更を4分の3以上の賛成多数の特別決議をしました。 北海道電力の当初の対応は、横浜地裁2010年11月29日判決の区分 所有法第59条(共同の利益に反する行為)が定める競売請求が認容されているケースも念頭においていたのか、2人くらいの反対者では、専有部分への高圧一括受電に支障がないかのようなものだったとのことです。 横浜地裁の判決は、区分所有者が「継続的に非協力的な姿勢」であり、排水 管改修工事では、居室内への立入を拒否し、必要な他の工事でも協力を拒否したこともあり、それが高圧一括受電拒否にもつながったので、専有部分の競売が認められました。 しかし、今回は反対した二人が北海道電力に対して、専有部分への一括高圧 受電では、全員の同意が必要ではないかとの申し入れをし、北海道電力は態度 を変え、全員同意が必要との立場に変更しました。5棟のうち反対者の2人は、 同じ棟の区分所有者なので、その1棟を除いて、4棟で専有部分の高圧一括受 電をしてはどうかとの話もありましたが、そうなると5棟共用の管理棟など もあり、電気工事が必要となるため、断念し、総会で取り消しの決議をしまし た。 最高裁の判決が出ても、そのマンション内では一切話題にもならず、静かに以前と同じ雰囲気が続いているそうです。マンション内では、原告・被告どちらにも応援するような動きはなく、いまだに2人の区分所有者がそもそも反対した本音のところは、他の住人にはわからないとのことでした。 2.高圧一括受電に対する電力会社の対応 そのうえで、高圧一括受電については、二つに分けて考えるべきだと思います。 一つは、共用部分の高圧一括受電は、東京電力の場合、今までと何も変わらず高圧化できる契約を用意しています。従いまして、変圧器やメーターを買い取る必要もありません。これは、私は普通決議でできると思いますが念のため、特別決議をして決めるとよいと思います。 ただ、共用部分を高圧一括受電にすると、建物の需給地点が一か所に統合されるとして、東京電力は専有部分について東京電力以外から買うことを認めていません。電力自由化になって、マンション住人を囲い込む狙いもあると思われます。 このような契約メニューは北海道電力にはありません。その代わり、北海道電力や中国電力では、それまでは高圧一括受電にすると、電力会社は変圧器をはずして引き上げていたのですが、電力会社の変圧器(15年償却)などを簿価でマンションに売却する制度を作っています。 3.専有部分の高圧一括受電のメリット 二つには、専有部分も一括高圧化する場合は、民法の原則にのっとって、全員の合意がいるとの解釈で、電力会社は全員の同意を求めています。 一審(札幌地裁平成29年5月24日)判決の中で、高圧一括受電に反対する理由として「点検のため停電が発生するので」とされていますが、毎月の点検では停電の必要はなく、停電は年1回1時間程度のものです。生活に支障があるほどではないと思います。これらの点を丁寧に説明するなどして理解を得ることが大事だと思います。 高圧化すると電気料金の値下がり率は、3~4割と大きなものです。しかし、仲介会社を入れると5%~10%程度の値下がりにしかなりません。2割以上を仲介会社が、定期点検の費用、検針・集金の手数料などとして差し引くからです。 4.専有部分工事の組合実施に全員同意が全て必要ではない。 これまでも専有部分も高圧一括受電にする場合は、どこのマンションも全員の同意を取り付けるのに苦労しながら進めてきました。この判決により、今までの進め方が変わることはないと思います。また、この判決を、配水管の専有部分の工事を管理組合がしようとするときに、適用させてはなりません。 今回は建物の維持管理の問題ではなく、経済的利益が主な争点でした。 配水管の場合は、1戸の反対があっても、そこの住戸だけ除いて工事することもできますが、しかし建物の維持管理上、水漏れの危険を放置することは建物全体に影響を及ぼします。何とか同意が得られるよう意を尽くすことが前提ですが、どうしても同意が得られない場合は、多数決で決める必要があることも出てくると思います。 |
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(全管連副会長 水島能裕) | |
平成30年(受)第234号 損害賠償等請求事件 平成31年3月5日 第三小法廷判決 | |
主 文 | |
原判決を破棄し,第1審判決を取り消す。 被上告人の請求をいずれも棄却する。 訴訟の総費用は被上告人の負担とする。 | |
理 由 上告代理人平田直継の上告受理申立て理由(ただし,排除されたものを除く。) について 1 原審が適法に確定した事実関係等の概要は,次のとおりである。 (1) 上告人ら及び被上告人は,いずれも札幌市内の区分所有建物5棟から成る 総戸数544戸のマンション(以下「本件マンション」という。)の団地建物所有者である。 (2) 本件マンションにおいて,団地建物所有者又は専有部分の占有者(以下, これらを併せて「団地建物所有者等」という。)は,個別に北海道電力株式会社 (以下「電力会社」という。)との間で専有部分において使用する電力の供給契約(以下「個別契約」という。)を締結し,団地共用部分である電気設備を通じて電力の供給を受けている。 (3) 平成26年8月に開催された本件マンションの団地管理組合法人(以下 「本件団地管理組合法人」という。)の通常総会において,専有部分の電気料金を削減するため,本件団地管理組合法人が一括して電力会社との間で高圧電力の供給契約を締結し,団地建物所有者等が本件団地管理組合法人との間で専有部分において使用する電力の供給契約を締結して電力の供給を受ける方式(以下「本件高圧受電方式」という。)への変更をする旨の決議がされた。 本件高圧受電方式への変更をするためには,個別契約を締結している団地建物所有者等の全員がその解約をすることが必要とされている。 (4) 平成27年1月に開催された本件団地管理組合法人の臨時総会において, 本件高圧受電方式への変更をするため,電力の供給に用いられる電気設備に関する団地共用部分につき建物の区分所有等に関する法律(以下「法」という。)65条に基づく規約を変更し,上記規約の細則として「電気供給規則」(以下「本件細則」という。)を設定する旨の決議(以下,上記(3)の決議と併せて「本件決議」という。)がされた。本件細則は,本件高圧受電方式以外の方法で電力の供給を受けてはならないことなどを定めており,本件決議は,本件細則を設定することなどにより団地建物所有者等に個別契約の解約申入れを義務付けるものであった。 (5) 本件団地管理組合法人は,平成27年2月,本件決議に基づき,個別契約 を締結している団地建物所有者等に対し,その解約申入れ等を内容とする書面を提出するよう求め,上告人ら以外の上記団地建物所有者等は,遅くとも同年7月までに上記書面を提出した。しかし,本件決議に反対していた上告人らは,上記書面を提出せず,その専有部分についての個別契約の解約申入れをしない。 2 本件は,被上告人が,上告人らがその専有部分についての個別契約の解約申 入れをすべきという本件決議又は本件細則に基づく義務に反して上記解約申入れをしないことにより,本件高圧受電方式への変更がされず,被上告人の専有部分の電気料金が削減されないという損害を被ったと主張して,上告人らに対し,不法行為に基づく損害賠償を求める事案である。 3 原審は,前記事実関係等の下において,要旨次のとおり判断して,被上告人 の請求を認容すべきものとした。 本件マンションにおいて電力は団地共用部分である電気設備を通じて専有部分に供給されており,本件決議は団地共用部分の変更又はその管理に関する事項を決するなどして本件高圧受電方式への変更をすることとしたものであって,その変更をするためには個別契約の解約が必要である。したがって,上記変更をするために団地建物所有者等に個別契約の解約申入れを義務付けるなどした本件決議は,法66条において準用する法17条1項又は18条1項の決議として効力を有するから,上告人らがその専有部分についての個別契約の解約申入れをしないことは,本件決議に基づく義務に反するものであり,被上告人に対する不法行為を構成する。 4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次 のとおりである。 (1) 前記事実関係等によれば,本件高圧受電方式への変更をすることとした本 件決議には,団地共用部分の変更又はその管理に関する事項を決する部分があるものの,本件決議のうち,団地建物所有者等に個別契約の解約申入れを義務付ける部分は,専有部分の使用に関する事項を決するものであって,団地共用部分の変更又はその管理に関する事項を決するものではない。したがって,本件決議の上記部分は,法66条において準用する法17条1項又は18条1項の決議として効力を有するものとはいえない。このことは,本件高圧受電方式への変更をするために個別契約の解約が必要であるとしても異なるものではない。 (2) そして,本件細則が,本件高圧受電方式への変更をするために団地建物所 有者等に個別契約の解約申入れを義務付ける部分を含むとしても,その部分は,法66条において準用する法30条1項の「団地建物所有者相互間の事項」を定めたものではなく,同項の規約として効力を有するものとはいえない。なぜなら,団地建物所有者等がその専有部分において使用する電力の供給契約を解約するか否かは,それのみでは直ちに他の団地建物所有者等による専有部分の使用又は団地共用部分等の管理に影響を及ぼすものではないし,また,本件高圧受電方式への変更は専有部分の電気料金を削減しようとするものにすぎず,この変更がされないことにより,専有部分の使用に支障が生じ,又は団地共用部分等の適正な管理が妨げられることとなる事情はうかがわれないからである。 また,その他上告人らにその専有部分についての個別契約の解約申入れをする義務が本件決議又は本件細則に基づき生ずるような事情はうかがわれない。 (3) 以上によれば,上告人らは,本件決議又は本件細則に基づき上記義務を負 うものではなく,上告人らが上記解約申入れをしないことは,被上告人に対する不法行為を構成するものとはいえない。 5 これと異なる原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違 反がある。論旨はこの趣旨をいうものとして理由があり,原判決は破棄を免れな い。そして,以上に説示したところによれば,被上告人の請求はいずれも理由がないから,第1審判決を取り消し,同請求をいずれも棄却すべきである。 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官 岡部喜代子 裁判官 山崎敏充 裁判官 戸倉三郎 裁判官 林 景一 裁判官 宮崎裕子) |
国交省はマンション管理組合、区分所有者のマンション管理の実態を把握するため約5年に一度、アンケート調査を実施しているが、平成30年度の結果を4月26日に発表した。永住意識は前回調査の52.4%から、62.8%になり、過去最高となった。また、居住者の高齢化も進み、70歳以上の割合は22.2%となり、昭和54年以前のマンションにおける70歳以上の割合は47.2%となった。一方、平成25年度と30年度を比較すると空室のあるマンションの割合は減少しており、37.3%となっている。 国交省の報道発表 マンションへの永住意識 過去最高(6割超)に ~平成30年度マンション総合調査結果(とりまとめ)~ | |
(全管連会長 川上湛永) |
東京都は2月13日、「東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例案」をまとめ、公表した。20日開会の都議会に上程する。マンションの管理不全を予防することが狙いで、管理組合に管理状況の届け出を義務付ける。理事会が設けられていない、定期的な大規模修繕が実施されていないなど管理不全マンションの広がりは全国共通の問題になっているだけに、管理状況の届け出制度は、他の自治体、管理組合にも影響を与えそうだ。条例案では届け出のインターバルについては触れていないが、条例制定後、規則で定める。条例案は都議会で成立すれば3月中に公布、施行されるが、届け出制度については、管理組合側の準備期間なども配慮、来年4月1日から施行される。 条例案は、21条からなり、第3条で都は特別区、市町村と緊密に連携し、区市町村が行う施策に対し必要な支援を、としている。また、第9条で管理組合の運営体制の整備として、管理組合はマンション管理の主体として、運営体制の整備を行うとして、管理者をおき、管理規約を定め、毎年1回総会を開き、議事録を作成、さらに管理費、修繕積立金の額、徴収方法を定める、としている。また、13条では、マンションの維持保全の状況に応じ、一定の年数ごとに計画的に修繕を実施するとしている。 管理状況の届け出については、15条から18条に規定されている。マンションの管理組合は、その管理状況に関し、マンションの適正な管理の促進に必要なものとして都規則で定める事項を都知事に届ける、としている。管理状況に関する事項について届け出を要するマンションの管理組合から正当な理由なく届け出がない場合には、管理組合または区分所有者等に対して、マンションに立ち入り、または職員等に調査させることができるとしている。また、届け出を要する管理組合から正当な理由が無く届け出がないときは、条例の施行に必要な限度において、当該管理組合に対して、必要な措置を講ずるよう指導し、勧告することができるとして、踏みこんだ措置をとることも規定されている。 都は、この条例策定に当たって、18年3月から11月にかけ、6回の学識者、マンション管理組合団体、管理業、マンション管理士などで、マンションの適正管理促進に関する検討会を開き、論議を重ねてきた。また、9月にはマンションの適正な管理の促進に関する制度の基本的な枠組み案をまとめ、パブリックコメントを実施した。 都の調査によれば、都内には管理不全の兆候のあるマンションが相当数確認されている。管理組合がない、したがって理事もいない、いても理事会も開かれていない、管理費、修繕積立金もない、計画修繕を一度も実施していない―などで、こうした管理不全マンションを放置できない、ということが条例案制定の契機になった。 |
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⇒東京都ポータルサイトの条例案はこちら | |
(全管連会長 川上湛永) |
民泊の宿泊者数で、都道府県別で東京都に次ぐ全国2位の北海道の民泊動向などを、新聞報道などをもとに、最新の民泊と宿泊業の動向を探ってみました。 北海道新聞の2018年12月13日付けから 旭川市中心部に簡易宿所 旭川市の建設会社が、市の中心部に簡易宿所のホテルを開業する。築51年のビルを約3億円かけて改修し、広さ7平方メートルの部屋51室を設けた。個人旅行の外国人観光客やビジネス客をターゲットに集客を図る。 シャワーやトイレは男女別の共用だが、宿泊費は最低価格で1泊2千円台(1室2人利用の場合)と低く抑えた。 北海道新聞2018年12月10日付けから 札幌で民泊廃業 防火設備の負担重く 札幌では5カ月間に39施設が廃業した。千件を超す登録がある民泊全国最多の札幌市で、民泊の廃業が相次いでいる。民泊が解禁された6月以降のわずか5カ月間に39件が廃業し、全国の約2割を占めた。営業開始までに必要な防火設備を備えられず、「消防法令適合通知書」が取得できずに営業を諦めるケースが多いようだ。 廃業が相次ぐ背景には、営業開始までに必要になる消防法令適合通知書がある。民泊営業には、消防法令に基づき、火災警報機や停電時も点灯する避難誘導灯などを設備することが義務づけられており、設置すると適合通知書が交付される。札幌市は、適合通知書が無くても届け出を受理しているため、いったん登録されたものの、防火設備が設置できずに廃業に至っているようだ。 北海道新聞2018年11月18日から 札幌の施設7割消防手続き不備 札幌市の民泊の届け出件数は1312件(11月2日現在)。都道府県や政令指定都市など民泊の監督権限のある全国100自治体の中で最多で、全体の1割を占めている。 理由について市内の民泊関係者は「札幌は観光客数に比べホテルが少ない」「住宅の家賃が道外と比べ安く、マンションなどを活用しても民泊事業で利益を上げやすい」ことを挙げる。さらに「他の自治体に比べ、札幌市の届け出手続きは緩い」と指摘する人も。民泊解禁後に市内で開かれた一部の民泊セミナーで「国のガイドラインで民泊営業時に必要となる消防法令適合通知書が札幌市の場合、例外的に不要」と説明した主催者もいた。 札幌市は消防署の通知書がなくても民泊の事前受け付けを開始。その際、「民泊事業者の登録と営業は別物で、民泊業者として登録されたからといって、民泊を営業できるわけではないと説明した」(札幌市経済観光局)という。 ただ、届け出時の通知書への対応は、自治体で対応が異なる。京都市は条例で届け出段階での通知書の提出を定めた。他の自治体も条例化はしないまでも、「法的根拠はないが、国のガイドラインに通知書の添付が盛り込まれている」(名古屋市)、「命にかかわるもので、民泊新法の登録と宿泊施設の営業は切り離して考えるべきではない」(仙台市)として事実上、登録時の提出を義務づけ。 届け出を受ける際の対応で札幌市に不備はない。しかし、法令適合通知書を「後でいい」との対応はある面で柔軟性があるが、別な面で無責任でもある。ある届け出を済ませた人は「営業が約2カ月も遅れた」と不満を漏らす。 札幌市消防局によると、市に届け出のあった民泊のうち、約74%の975件で通知書が未提出で、そのうち約87%の847件で不適合が見つかった。通知書が提出されていない施設に消防局は立ち入り検査を行っている。 札幌市中央区で民泊を営む50代男性は「宿泊施設が防火設備を備えるのは当たり前。素人の事業者が多い現状を踏まえ、複雑な制度について行政はきちんと指導すべきだ。火災で犠牲者が出れば、民泊全体がイメージダウンとなる」と指摘する。 消防法令適合通知書 消防面の基準を満たす施設に消防が交付する。民泊の場合、家主が住みながら貸す「居住型」と「家主不在型」で基準は異なる。民泊では営業時に必要となる。 居住型は住宅用火災警報器(1万数千円)を取り付けるだけだが、家主不在型の場合、最低限必要な自動火災報知機と誘導灯の設置などで20万円弱の経費がかかるという。 |
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(全管連副会長 水島能裕) |
9月6日に発生した北海道・胆振東部地震から3カ月余たったが、北海道マンション管理組合連合会は、366の会員組合に対して、アンケート調査を実施、その結果を5日,まとめた。会員の9割近くは、札幌市内のマンション住民で、今回の震度6弱の地震の経験は過去になく、2日間にわたる全市停電、停電による断水、エレベーター停止等に見舞われた経験のほか、23組合が共用部分の柱、梁、壁の損傷、外壁タイルのひび割れ、敷地内の陥没等、建物、敷地の被害を明らかにしている。また、自由記入欄に82組合が回答、防災備品の不備、要支援者の名簿の必要性、緊急時の理事会の活動計画ができていなかった、災害時マニュアルの作成の必要性など反省を込めた記入があふれた。道管連理事会は、11日にアンケート結果を詳しく分析するが、日頃の準備がいかに大事かを改めて痛感している、とアンケート調査をまとめた水島能裕・道管連副会長は自戒を込めて指摘している。 |
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(全管連会長 川上湛永) | |
胆振東部地震による停電 緊急アンケート結果 | |
2018年12月5日 公益社団法人 北海道マンション管理組合連合会 電話 011-232-2381、FAX 011-232-3721 |
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会員366件に10月25日付けで連合会通信に同封してアンケート用紙を送付し、11月22日締め切りでファックス回答してもらう方式でおこないました。 返信は112件(30.6%)ありました。差し支えなければ住所・マンション名・記入者の記載をお願いしましたが、1件を除いて記載されていました。 質問1(築年月)、質問2(階数)、質問3(棟数・戸数)は、回答省略。 質問4.今回の地震で停電した時刻を記入ください。(大体でも結構です) 時 分または 停電しなかった 地震と同時(9月6日金曜日3時8分)・・・39件(33.9%) 地震から18分後頃(3時26分頃) ・・・62件(55.4%) わからない ・・・11件(10.7%) 停電しなかった ・・・ 0件 質問5.今回の地震で停電が回復した時刻を記入ください。 日 時 分または 停電しなかった 6日午前 ・・・ 6件(5.4%…旭川市内のみだった) 6日午後 ・・・44件(39.2%) 7日午前 ・・・18件(16.1%) 7日午後 ・・・34件(30.4%) 8日 ・・・ 8件( 7.1%) 記入なし ・・・ 2件( 1.8%) 質問6.停電でもエレベーターは動きましたか。〇で囲み記入ください。 動いた( 時間 分) 動かなかった 動いた ・・・ 3件( 2.7%) 6基のうち3基だけ動いた 8時間だけ動いた 自家発電の給油ができ動いた 動かなかった ・・・95件(84.8%) エレベーターがない ・・・14件(12.5%) 質問7.エレベーター用の非常時電源がありますか。〇で囲んでください。 あ る な い ある ・・・16件(14.3%) ない ・・・82件(73.2%) エレベータ―がない ・・・14件(12.5%) *非常用電源があると回答した16件のうち13件がエレベーターは動かなかったと回答している。 その理由はエレベーターを動かすほどの大きな非常用電源ではなかったものと推定される。 質問8.停電でも水は出ましたか。〇で囲み、さらに記入ください。 出た ( 時間 分) 出なかった 出た ・・・54件(48.2%) (8時間1件・10時間1件) (別棟平屋・1階のみ4件) (受水槽の水が2時間もった) 出なかった ・・・58件(51.8%) (市水道管破損1件) 質問9.水が出た場合、何階まで出ましたか。記入ください。 階 水が出た最上階(全館) ・・・40階(自家発電機があった) 自家発電機がなくとも水が出た最上階・・・15階 水は出たが、上階で出ない階もあった・・・13階中10階まで出た(北区) 15階中12階まで出た(東区) 14階中12階まで出た(厚別区) 質問10.給水用の非常時電源がありますか。〇で囲んでください。 あ る な い ある ・・・ 3件 ない ・・・108件 回答なし ・・・ 1件 質問11.給水方式は次のどれですか。〇で囲み、さらに記入ください。 直結方式 受水槽方式 その他( ) 直結方式 ・・・42件(37.5%) 受水槽方式 ・・・68件(60.7%) その他 ・・・ 2件( 1.8%) 質問12.管理組合として、災害時の要支援者名簿を作成していますか。 〇で囲み、さらに記入ください。 作成している( 名分) 作成していない 作成している ・・・39件(34.8%) 作成していない ・・・68件(60.7%) 回答なし ・・・ 5件( 4.5%) 質問13.管理組合として、どの防災用品を備えていますか。〇で囲んで、さらに記入ください。 複数回答が可能です。 手袋 ヘルメット 立ち入り禁止テープ 三角ポール 懐中電灯 バール 簡易トイレ袋 ハンドマイク 小型発電機 簡易リヤカー 入居者名簿 入居者緊急連絡先 ブルーシート 給水ポリタンク 上記以外を具体的に( ) 入居者名簿 ・・・94件(83.9%) 入居者緊急連絡先 ・・・89件(79.5%) 懐中電灯 ・・・54件(48.2%) ハンドマイク ・・・38件(33.9%) ヘルメット ・・・37件(33.0%) 三角ポール ・・・36件(32.1%) 手袋 ・・・31件(27.7%) ブルーシート ・・・27件(24.1%) バール ・・・25件(22.3%) 給水ポリタンク ・・・14件(12.5%) 簡易トイレ袋 ・・・13件(11.6%) 小型発電機 ・・・ 9件( 8.0%) 簡易リヤカー ・・・ 9件( 8.0%) 立ち入り禁止テープ ・・・ 8件( 7.1%) カセットコンロ ・・・ 6件( 5.4%) 担架 ・・・ 3件( 2.7%) 非常食・排水ポンプ・土のう・携帯ラジオ・・・ 各2件( 1.8%) 投光器・救急箱・避難用梯子 ・・・各1件( 0.9%) 質問14.共用部分の地震保険に加入していますか。〇で囲んでください。 加入している 加入していない 加入している ・・・71件(63.4%) 加入していない ・・・32件(28.6%) 回答なし ・・・ 9件( 8.0%) 質問15.今回の地震で建物に損傷はありましたか。具体的に記入ください。 1.地震による損傷はなかったが、直前の台風によるベランダ隔壁版2枚の破損があった。(中央区南25条西8) 2.融雪パイプに亀裂が入ったかもしれない。不凍液が少しづつ減っている。地層のパイプを調査中。(中央区宮の森) 3.駐車場機器2か所に異常発生、保守業者の点検で回復(中央区北5西10) 4.排水管のつなぎ部分に亀裂があった。(中央区北4西7) 5.1階部分のタイルが3か所剥がれた。駐車スペースにひびが入った。(南区 真駒内) 6.中央ホールの床にひび割れができた。廊下の壁に小さいひび割れ1か所。前庭に4~10㎝の地盤沈下。(北区北37西9) 7.共用廊下の壁面に複数本の亀裂ができた。(北区北7西6) 8.専有部分(個人宅)の電気温水器の配管破損、復電通水後に漏水発生。(北区北7西6) 9.共用部分の柱・梁・壁に亀裂。(東区北13東2) 10.建物内部に微細なひび割れ(1~11階)、舗装箇所陥没、前庭・中庭のインターロッキング陥没(東区北24東21) 11.カバードウォーク天井破損、立体駐車場上部壁からモルタル片が落下、エキスパンジョイント緩衝材剥離、樹木倒れかけ。(東区北6東8) 12.共用部の一部損が認定されました。各戸の玄関部、エレベーター部の柱・梁にひび割れ、外壁タイルのひび割れ、インターロッキングの落ち込みがありました。(東区北13東7) 13.建物に接したコンクリート構造物や舗装に亀裂・段差が発生した。(東区北13東17) 14.ベランダ隔て版破損3か所、窓ガラス損傷1件、窓パッキング外れ2件、網戸破れ5件、駐車場車両損傷(その他に近隣賃貸マンションの駐車車両) (白石区本郷通9) 15.ルーム内の飾り物に多少の損傷はあった。(厚別区青葉町) 16.敷地内2か所で陥没。(厚別区中央) 17.地下室(機械室でポンプ4台ある)で常時、地下水が漏れている状態。いつも排水ポンプ(37W?)を不連続に稼働して排水している状態。排水ポンプを稼働させず放置すると床上冠水する。(6階56戸築41年) 停電になった3時から9時に異常発見。既に1階床上に10㎝冠水。急遽小型発電機を調達しようとしたが、ホーマック等の店が閉店。工事会社に依頼して発電機を借用し排水。その後も7時間毎に15分稼働して排水。この作業を一人で昼夜担当した。(西区二十四軒) 18.外構の塀に部分的な亀裂ひび割れ2㎜がありました。(西区八軒) 19.2~4階共用廊下壁に亀裂損傷。(西区二十四軒) 20.5階から9階の南側壁面が破損、補修改修工事が必要になりました。(豊平区豊平4-12) 21.ブロック塀の損傷(豊平区平岸) 22.給水ポンプ電気系統故障、メーカーに来てもらい修理。 壁タイル4枚とボイラー室防護壁緩衝タイル破損。 玄関及び出入口の床タイル4か所小損。 直結方式だが市の水道管破損のため断水。水道水が汚れていたため、マンション入口配管のバルブを9月7日午前10時に閉める。9月10日午後3時にバルブ開ける。やっと正常に戻る。 なお、前日の9月5日午前2時45分から午前9時30分まで台風で停電したが、その時は、水道は正常だった。 (清田区平岡) 23.共用部の照明器具(蓄電装置)が破損(旧型のせいかも?)(旭川市) 質問16.今回の地震で感じたことを自由に記入ください。 1.防災用品を準備していなかったことが悔やまれる。今後予算取りをして早急に取り揃えたいと計画中である。 2.冬期間であったら、灯油の供給がストップし暖房がアウト。(エレベーター)の復旧には点検に必要な時間がかかります。 3.入居者の安否情報の確認方法を早急に検討する必要がある。 4.震度4以上の場合には、役員が自動的に会議室に緊急集合する取り決めがあった。今回、集合した2名の役員で地震後すぐに建物の目視点検を行えた。しかし、震度4以上かどうかも確かめられず、分かったとしてもしばらくは動けない役員が多かった。停電以上に、対応が困難だったのは、水の供給、現在、直結式給水工事の見積取得中。 5.防災の不備を実感した。現在それを教訓に充実をはかっている。 6.施設の不備等(給水・エレベーター)は今後の修繕工事で即、対応を進めています。築40数年になると、高齢者の比率も多く、災害弱者の救助をどの様に実行できるかを考えさせられる2日間でした。 7.災害時の要支援者の名簿が必要。 8.停電により、エレベーター並びに水道が使えなかったことが大変でした。マンション入居者の高齢化が進んでおり、今後また停電発生した場合が心配されます。 9.停電時間は思ったより長かったが、水・ガスの供給が正常であったため、食事には支障はなかった。 10.管理組合、特に理事会の対応が不明、日頃の打合せ要。 11.懐中電灯・ラジオ・食料の買い置き、水の保管の必要性。 12.自分のマンションの設備の能力を知らなかったこと。 13.停電で、水の供給、エレベーターが止まり、入居者の不安があった。情報を伝えることがすぐにできない不便さもあった。電気に頼らない他の動力による給水ポンプ差動装置、マンション専有部分にも伝わる放送設備も検討している。 14.ブラックアウト、電力のライフラインの甚大さを痛感しました。 15.住民との連絡方法 16.給水系統が2系統(管理棟集会室は平屋戸建て住宅と同じ、住居棟4棟は受水槽方式)あるため、集会室のみ常時給水できたが、住居棟は断水した。 17.エレベ-ターの非常停止装置取付の検討。地下受水槽からの給水に供するため、フック付き延長梯子・専用ホースを設備し、供給水に利用するよう、今年の大規模修繕の際に取り付けたが、今回は使用することなく、近くの公園から給水しました。 18.短時間で早朝の停電でもあり、エレベーターの閉じ込めもなく、安心したが、同時に断水となったため、住民の一部が近くの公園に走り、給水していたので今後給水方法について、直結方式を検討したい。併せて防災備蓄品についても3日間くらいを確保することを検討していきたい。 19.まったく備えがなかったので、おおいに反省しています。理事会に諮り、検討します。 20.消防組織があるものの素早い起動ができなかった。要支援者への対応が十分できなかった。 21.緊急時の理事会の活動計画ができていなかった。 22.タワーマンションでエレベーターが動かなかったのは致命的。事後に保守会社と話し合い、迅速な対応を申し渡しました。 23.冬期間でなくて良かったと思う。 24.給水管交換の際、直圧化をおこなう。 25.情報収集の必要性、得た情報を居住者へ知らせる連絡手段の確保が必要と感じた。 26.普段からの備えが大切だと感じた。災害通報体制の整備を検討中。 27.停電時の情報に、携帯ラジオ・携帯電話などが必要。小型発電機が必要。管理組合として、ブルーシート・給水ポリタンク・簡易トイレ袋の備蓄が必要。 28.避難所(公設)との連携が不十分であった。 29.高齢者が増え、水の運搬が問題になった。幸い、若い人が運搬に協力してくれて助かった。 30.冬に停電になったら、北海道は大変なことになると思った。 31.電気の重要性を感じました。 32.震源地と同程度の余震が続いています。今のところ躯体への大きな問題はありませんが、長期化すると心配です。 33.班編成で連絡班長を決める予定。総会で名簿作成予定。受水槽から給水ができて、今後の練習となった。トイレ用の水等も各戸連携できた。 34.災害時、自助が基本と考えるが、住人の中には管理組合に非常に充実した防災対策を求める意見があったが、要員面および費用面で現実には無理と思われる。 35.被災やけが人がなく幸いだった。要支援者名簿を作っていたが、誰がどこのお宅を世話するかまで体制を作っていなかったので、機能できていない。備蓄用品は皆無に等しく、今後の検討課題である。 36.高齢一人暮らしの方への声掛けと要支援者リストの整備 37.平成18年に給水管を直結方式に変更したことで、今回の地震でも7階まで全く問題なく給水され、この方式のメリットが十分に享受された。 38.電気への比重の高さにはびっくりした。水・エレベーター・情報システムへの影響は大きい。停電が2日間で終了したので何とかクリアしたが、停電期間が長く、冬だったら大変。 39.停電のため、即座に各理事・行政機関に連絡が取れなかったこと。 40.エレベーターが動いていたら、最も近い階に非常停止するよう改良したい。今回は午前3時頃なので、エレベーターは使用されていなかったため、途中停止がなかったことが幸いでした。 41.暖房の問題あり。発電機で携帯の充電を行い喜ばれました。 42.災害時のマニュアルが必要である。 43.役員・自主防災委員・サポーターによる震災対策が上手く対応できた。 (1日目23人・2日目30人) 要支援者39人の安否がサポーターにより早く確認できた。 受水槽より居住者(14階まで)への給水蛇口4か所に24時まで行列が続いた。 携帯・スマホの充電者が24時間続いた。(7か所充電口10台) 発電機によりスマホの充電及び照明の確保ができた。 管理センター前掲示板で情報提供したが、掲示場所等の改善を検討する。 給水ボランティア5人の協力を受けたが、ボランティア募集も今後検討する。 発電機増設、防災用品の見直しを行う。 発電機によりパソコン・コピー機を使えるよう準備する。 44.今回の地震で停電となり、受水槽の給水ポンプが作動せず、各戸の水道が使えない状態になった。その為、水道の直圧化を検討している。 45.停電・断水・エレベーターの停止等、未体験の貴重な経験をしました。防災用品、入居者の安否確認、連絡体制の構築等、反省を活かしたいと思います。 46.当マンションは、地下鉄車両基地の上に建設されており、揺れも少なかったように思われる。停電の回復も周辺マンションよりも一日早く、水道も10階(10階建て)まで普段と変わらず使用できたことは幸いであった。 47.北海道電力の異常な停電で、インフラに多様な悪影響を与えたことは、重要な問題であり、北海道電力の今後の重要課題として取り組んでもらいたい。 48.長時間停電での給水のための発電機の検討。高齢者名簿の作成。 49.管理棟の水・トイレが使えるはずが、使用できなかったため、原因を調べる。 50.管理組合として、どのように指示・連絡してよいか分からない。 51.管理組合として地震対策を何もしていないことが良く分かりました。対応策を考えねば。 52.今後、水道の直結方式を考えていきたい。 53.停電により携帯電話が充電できない人が多数あり、ガスボンベ使用の発電機の購入を検討中です。 54.今回の地震で防災用品を購入しているが、冬期時の災害を想定して防災用品を補充することを検討している。 55.マンションが独自にできることは何か、今後検討する。 56.防災に対して意識を高める。 57.全道が一斉に停電になるなんて誰も想定していなかったと思われる。 照明を消費電力の少ないLEDに、今年7月1日~8月31日までの工事で切り替えて大変良かった。 58.停電のためエレベーターが使用できなかった。(11階建て61戸) 59.マンション内のコミュニケーションがなく、災害時の対応に苦慮しております。 60.マンション管理組合としての防災対策と、災害時におけるマニュアル等の作成の必要性。 道管連としての災害時の対応等に対する取り組み、情報提供。 61.停電のため、修理業者や管理会社と連絡取れず、対応に苦慮。 62.断水の対策を今後検討していきたいが、当マンションに最も良い方法は何か。今後、各方面に働きかけ、早めの対策を行いたい。 停電の対応についても検討してみたい。 63.入居者名簿・緊急連絡先を新しく作成・記入してもらった。 65.停電のため、エレベーターの停止、水道も揚水ポンプが動かず高架水槽に水が上がらないため、各戸の配水ができなくなった。冬期間の停電のことを思うとぞっとする。停電のおおよその復旧日や時刻も知らされず居住者の心配の度合いは計り知れない状態。情報を逐一欲しいもの。 66.幸いなことに、道内でほとんど被害をうけることがない地区(旭川市)の一つです。地震の後、停電。非常電灯・エレベーター内の利用者確認。とりあえず、睡眠をと。明日への体力温存。様々と対策シュミレーションが頭の中を巡っていました。まもなく通電。通常の朝を迎えることができました。 各地マンションでの対応等の具体例が知りたく思っていましたので、マンション連合会だより第112号、旭川支部通信92号が参考になりました。良い例がありましたら、何かの機会に公表していただきたいです。 エレベーター、受水槽等、管理組合役員をしておりながら設備・機能については詳細には把握していないのが現状です。 67.旭川でも大きな地震があるのだなーと感じました。 68.旭川ではこれ程大きな地震は起きないと思っていましたが、もうこの考え方は無理と判りました。いざというとき、入居者が協力してくれるか疑問です。 69.断水になり、トイレが最も困った。地震と同時にバケツに水を貯めておいたが、トイレの便器に水を流しても勢いがなく流れていかなかった。 旭川市の水道局に給水車の出動を要請したが、態勢がとれないとのことだった。 70.今、地震を教訓に災害備蓄品の購入を検討している。 71.要救助者、弱者、高齢者世帯の把握。停電時の生活支援が必要。 72.ハンドマイクの必要性を感じました。 73.給水用の臨時動力の確保が必要。 74.当マンションは、停電からの回復が当日朝の8時40分と早かったので、貯水槽からの給水に困りませんでした。停電時間が長ければ水不足となり対応しなければいけなくなると思いました。質問13の備品も以前から議題には出ていましたが、まだ準備していないので早急に対応したいと思います。 75.今回の地震による当マンションの直接の被害は無かったのですが、まる2日間の停電を経験したことで、電気の存在が生活するうえで全て支配している様にあらためて思い知らされた感があります。 当地区は2日間の停電で復旧しましたが、この2日間でもとても長い日数に感じられました。震源地やその周辺の方々においては、停電・断水に限らず、どれほど不便な生活を強いられたかと思うと、一刻も早い復興を願わざるを得ません。 76.ライフラインの大事さを痛感した。 77.1階の散水栓に水汲み用の蛇口を付けているので、各自で各戸に運びましたが、足の不自由な人には、他の住人が手分けして運んで、不自由は最小限にしました。 78.災害(停電)時の備えが全くされていないことがわかり、居住者名簿(緊急連絡先)の更新などから手を付け始めたばかりで、どこまで管理組合で出来るかどうかもまだ十分に話し合ってはいません。 79.エレベーターの停止により階段の利用しか出来ず、高齢者・障がい者が昇降に不自由した。また安否確認等の連携に苦労した。 ブラックアウトが長時間であり、敷地内が真暗闇となり、又全棟へのインターホンからの放送が不可能で情報提供が出来なかった。 電話の不通に困った。 管理等のみでよいから、自家発電設備の設置を検討したい。 80.最低24時間程度の給水を確保したい。 81.地下受水槽からの給水停止。帯広市は「通常の給水をしているので給水車は出さない、近所の知り合いか公園の水を利用するように」とのことだった。知り合いがいても全戸分の水を得られるのか? 公園の蛇口はホースが付けられず、高さも容器をもったままでないと無理だった。今後の冬季給水停止も不安。館内放送不可とコピー機が使えず困った。 82.電気が止まることにより、エレベーター、水道、灯油が使用不可。大変であったが、その中で感じたことは、居住している皆さんに情報連絡できる音響設備があれば良いなーと。水道は専有部分で駄目でしたが、1階共用部分は使用可、トイレも可。その情報を全戸にお知らせしたが、時間がかかった。 | |
(全管連会長 川上湛永) |
今回の北海道胆振東部地震で、全道で停電が発生し、エレベーターは全てで止まり、水が供給されない事例が多数見受けられました。約40時間の停電でへとへとに疲れたとの声が多く聞かれました。 建物の損傷では、札幌市北区のマンションで、壁のひび割れが見られましたが、幸い大きな損傷には至っていないマンションが大部分でした。 マンション地震対応箱(熊本県マンション管理組合連合会が2年間の震災の経験から作成した貴重なものです。 1箱9.800円(税別、送料着払い)。マンション管理組合に一つ備えておくと,震度6、震度7等大地震が起きたら、管理組合が何をやるべきかがわかる内容です。地震対応箱について、内容の一部を紹介します。 マンションで、地震に遭遇したら、管理組合はどうするか。その前に、まず自分の身を守ることが大事です。 次に、「地震対応箱」を開きます。53枚のA4版の厚紙カードがクリアケースに入っています。 地震当日 家族の安否確認、住居からの脱出、他の居住者の救助、マンションの危険個所の把握と立ち入り禁止措置、トイレの確保、炊き出し、情報収集と伝達を行う。 「今あなたがやるべきことが書いてあります。」「それを順番にやるだけです。」・・・以下のミッション(使命・任務)を実行していきます。 ミッション1「まず近くにいる人を安全な場所に5人以上集める」 ミッション2「その人たちで防災用具を集める」・・・防災グッズケースには「ハンドマイク」・「バール」・「ヘルメット」・「立ち入り禁止テープ」「三角ポール」「簡易トイレ袋」「懐中電灯」などが入っています。 *今回の北海道の地震では、小型発電機・水を運ぶ簡易リヤカー・水を入れるポリタンクなどを備えていたマンションもありました。 ミッション3「住民を救助する」・・・部屋から出られない人がいる場合にはバールで玄関ドアをこじ開ける。 ミッション4「二次被害を防止する」2人でヘルメットをかぶり、危険地域に立ち入り禁止テープを貼ってと三角ポールを設置する。 ミッション5「非常用トイレ袋」を配り使用方法を教える。しばらくは下水に障害が発生し使えないおそれがある。 ミッション6「実行したことを掲示する」例えば「停電で水が使えません。水は〇〇の給水口が使えます。」などを掲示。 これ以降は、「災害対策本部(理事会)」に引き継ぎます。 ミッション7「災害対策本部を設置する」「災害対策委員会組織図」に、総務・渉外・会計・広報などの役割に沿って人名を記入していく。 「災害対策委員の募集」の掲示を貼りだす。 ミッション8「情報コーナー」を設置する。 ミッション9「対応箱の中のあらかじめ作成していた連絡網の安否確認欄」にチェックを入れていく。地震後、マンションを離れる方が多くおられるので、携帯番号やメールアドレスを確認しておく。「避難場所」に避難する場合には、必ず避難先を知らせてから避難してもらう。点検調査が終わるまで「電気・水道・ガスの使用禁止」をお願いする。「ゴミ出しルールのお願い」で分別・大型ごみの集積所を案内する。支援物資の受け入れと配布について掲示する。夜間パトロールを実施する。 ミッション10「マンションの被害状況調査」の簡易マニュアルで「建物の傾き」など測定。専門家がいない場合、安全側(悪いほう)に判断する。 壁式構造以外は、廊下やバルコニーの壁のひび割れは構造部材ではないので無視してかまわない。 損傷度Ⅳ(ひび割れ幅が2mmを超える)以上の場合は、建築構造専門家に被災度区分判定をお願いする。(写真で具体的に示されている) 地震翌日から1週間 応急危険度の判定、建物の被災状況の把握、ライフライン復旧、被災状況説明と今後のスケジュールの説明会 地震から1週間以降 罹災証明の申請、地震保険の申請,被災度区分判定(日本建築構造技術者協会への依頼…有料)、随時住民説明会開催、危険個所の緊急工事の実施、復興への合意形成 地震から3か月以降 保険判定への対応、罹災証明への対応、建物調査診断・設計(設計事務所の専門家へ依頼)、工事費見積もり(設計図書をもとに施工業者へ依頼)、資金繰り検討(積立金・保険金・義援金・補助金など、組合員負担発生の場合の金融機関紹介)、臨時総会開催(あらかじめ組合方針を発表しアンケート調査などを行い、普通決議事項であってもできるだけ特別決議要件の3/4をめざす)、復旧工事実施(事前に工事説明会を数回に分けて実施するなど居住者全員の参加をはかる)。臨時総会開催の案内文書例 *地震保険・・・一部損(5%)、小半損(30%)、大半損(50%)、 全損(100%)・・・主要構造部分(柱・梁)で判定 *罹災証明・・・一部損壊、半壊、大規模半壊、全壊・・・生活に支障のある部分で判定 専有部分(屋内)被害状況の調査・・・ひび割れ・剥がれ箇所の調査票を各戸 にお願いする 補修工事実施後・・・工事進捗状況のお知らせ、各戸配布・掲示例 最後に、復旧工事方法のカードがあります。図示して、例えば廊下壁の「軽微」な補修であれば、「戸当たり7万円が目安」から「大破であれば168万円」と6段階にわたって具体的な金額が示されています。これは素人にもおおいに役にたちます。 別冊で、震災を受けた「鉄筋コンクリート増建築物の補修・補強に関する資料」がついており、これが「対応箱」の大きな特徴です。多くの写真と図でわかりやすく説明されています。 ぜひ、今回の震災を経験して、全てのマンションに、この「マンション震災対応箱」を備えておくことを強くお勧めします。 購入は、各地の全管連連合会(20連合会、全管連ホームぺージに表示しています)にご連絡ください。取りまとめて熊本連合会に取り次ぎお届けします。 あるいは、熊本県マンション管理組合連合会に直接申し込んでください。 熊本県マンション管理組合連合会 https://www.kumakanren.jp |
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(北海道マンション管理組合連合会旭川支部長 水島能裕) |
行政委員 水島能裕副会長、宮本勝市理事、高橋勲理事、蛯名眞人理事、高畠茂樹理事、 平川冨美雄会長、町田信一常務理事、瀬野尾嘉明相談役 (8人出席) 1.日時 2018年9月11日(火) 13:10~14:30 2.場所 エルプラザ 4階 特別会議室 3.議事 今回は、9月6日(木)の「北海道胆振東部地震」のマンション管理組合の対応について、検討した。 高畠委員、宮本委員、町田委員、蛯名委員から報告、意見があった。 A.544世帯1373人が住む14階建て5棟の大規模団地型マンション ① 自主防災協議会を設置し、要支援者約40人とその支援をするサポーター約30人を登録していた。 ② 9月6日午前3時30分頃から7日午後7時30分までの40時間の停電があった。停電に伴い、マンション内6階以上の断水、エレベーター停止、自動ドア停止、インターホン停止となった。 ③ 給水塔には2日間もちこたえる水があった。蛇口5本から水を出し、高校生と中学生5人が2日間、要支援者のところへ水を運んだ。5棟のマンションの間は備えてあった簡易リヤカーで運んだ。5階までは、電気がなくとも水が上がったので、6階・8階・10階に人を置いて、上へ運んだ。トイレは直接バケツの水を便器に流しても汚物は流れていかない。ロータンクに水を入れて使うようにした。 ④ マンションでは、もともと発電機を1台備えていたので、照明3本、のべ約100人分のスマホ・携帯電話の充電をした。 ⑤ 2日目の7日朝8時から北電に対し、情報提供を求め、通電状況を掲示板で2時間ごとに居住者に通知した。 ⑥ 15人の理事のうち、13人が参集し取り組んだ。居住者からは感謝の手紙がたくさん集まった。 ⑦ 後始末として、8日に建物の破損チェックをした。損壊はなかった。エレベーターは電気が来てもすぐ動かなかった。点検に1棟40分かかった。夜11時30分までかかった。役員やサポーターの動きは総務部長が全て把握していた。 B.9月1日の防災の日に訓練をしていたのが役にたった。インターホンで地震直後に全室に地震を知らせた。その直後の17・18分後に停電した。貯水槽の横に2本の蛇口がある。停電でインターホンが使用できなくなったので、備えてあったハンドマイクで外から情報を知らせた。これは有効だった。 このマンションでも中学・高校生が14階まで水を運んでくれた。停電が終わったのは、翌日夕方の15時40分だった。 C.停電で水が止まった。1階に蕎麦屋とイタリアンの店があり、トイレと水を使わせてくれた。地域で助け合うことができた。裏のマンションから備蓄の水2リットルのペットボトルを1人1本までもらうことができた。コカ・コーラ―の自動販売機の飲み物を非常時に使用してよいとの契約があり、カギを預かっていた。300本のペットボトルが入っていたので利用した。 D.停電が終わったのは2日目金曜日の夜11時で遅かった。うちも40人の要支援者がいるが、37人まで連絡が取れた。応答のなかった3人も後で連絡が取れた。当初管理組合の役員で実際に集まったのは3人だけだった。 たまたま病院が入っているビルの1階にパチンコ屋があるが、そこが近所より早く電気がついたため、近所から批判があった。 |
6日(水)深夜午前3時8分の地震で目が覚めました。旭川は地震のないところで、札幌の20分の1の確率と言われています。そこで震度4だったのですから驚きました。 30分くらいして停電に。単一乾電池4本の懐中電灯に新しい電池を入れたのですが点灯しません。壊れているようで、夜明けになるのを待ちました。 停電で水が出なくなり、トイレが使用できなくなりました。近所のセブンイレブンに水を買いに行きましたが、水は既になく、緑茶のペットボトルを3本買ってきました。ローソンはカギをかけ、閉店でした。 理事長をしている保育園をどうするか園長と電話で相談しました。昼食は用意できないが、とりあえず開園して、園児を受け入れることにしました。8時頃、保育所に行ってみると既に園児が20人くらい来ていました。120人在園しているので、やはり少ない感じでした。 16人の正規の保育士さんたちは、ほぼ全員が出勤していました。昼食ので用意ができないため、11時で園児を迎えにきてもらうことになりました。 明日も同じ運営で行うことで市役所の了承も得ました。 それから、ホーマック(北海道最大のホームセンター)に妻と別の店舗にそれぞれ分かれて、水、電池、カセットコンロ(我が家オール電化)、給水用のポリタンクなどを買いに走りました。 既に300mくらいお客さんが並んでいました。1時間ほど並びましたが、妻の方から先に買うことができたとスマホに連絡があったので、一度家に戻りました。途中のスーパーにも人がたくさん並んでいましたが、店も停電なので、中へ入れずに、入り口で限定された品物だけを販売していました。 「11時に水道もとまり、断水になる」とのうわさが流れました。マンションはもともと停電した時点で断水になったのですが、一軒家でも水が使えなくなるとの話でしたが、どうも根拠のないうわさのようでした。 水道局に「給水車に来てほしい」と、マンションの理事長だと名乗り電話しましたが、態勢がとれずに給水車を回すことはできないと断られました。 マンションの掲示板に「給水車は来てくれません。各戸で対策してください」と張り紙しましたが、何とかならないかと、知り合いの市議会議員に電話してみました。そうすると、夕方に水道局総務課名で、「現在、断水となっておりませんが、停電により、ポンプで水をくみ上げることができないため、水が出ない状況となっております。電気が復旧するまで、お待ちください。」とのチラシを入れていきました。 旭川市の南西側の一部で電気が使えるとの話を聞き、そちらのスーパーにトイレを使用するため、午後3時ころ行ってみると、確かに通常どおりに開店していて、混みあっていました。 スーパーの近所のラーメン屋がやっていたので、そこで醤油野菜ラーメン850円を食べ、ついでに風呂に入りたいと思い、金の湯(かねのゆ)に行きました。大きな銭湯で、ここも混んでいました。入浴中にスマホの充電を受付に頼んで、ゆっくりサウナにも入ることができました。 信号の点いていない暗い街を夜7時ころ家に戻りますと、何と私のマンションだけ電気がついているではありませんか。隣の2棟のマンションも、向かいの木造アパートも一軒家も真っ暗なのです。近所の人が「このマンションに電気が来たのに、ウチはつかないんだ」と息巻いていました。 全道が停電しているのに、なぜ旭川だけ一部でも電気がついたのか? これは忠別川の水力発電所(ユコマンベツ・江卸・新忠別川・忠別川・志比内の合計3万kW)の電気が別系統の送電線で送られているからだと思います。 もともと、北海道電力は泊原子力発電所が停止したときに、需給のバランスが崩れて大規模停電になると言っていました。原発最優先できたため、原発再稼働前提で電力系統を組み立ててきたからです。それで再生可能エネルギー、とりわけ風力発電所は供給が安定しないからと、接続を拒んできました。 石狩湾新港の天然ガス発電所の1号機57万kWは来年2月、2号機はその約8年後、3号機はさらにその4年後としています。同時に営業運転も可能だと思いますが原発再稼働最優先のため、2・3号機の完成を遅らせています。 今回の大地震の事故を教訓に、再生可能エネルギー最優先の電力系統を組み立てるよう路線転換をするよう望む限りです。 北海道は、風力はじめ、バイオマス、太陽光、地熱など、再生可能エネルギーの宝庫なのですから。そうなれば、北海道電力も道民に愛される会社になる?と思うのですが。 |
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(北海道マンション管理組合連合会旭川支部長 水島能裕) |
マンションは、一定の周期(12年~ 15年)おきに、大規模修繕工事を実施するが、外壁改修などでは、必ず足場を設置しなければならない。その際、外壁に足場つなぎ穴をあけ、足場を固定させるが、その穴あけで、以前の塗装剤にアスベストが混入されていれば、飛び散り作業員や住民に影響を与える恐れがある。
また、旧公団団地では、階段室があるが、その階段の天井(上裏)の塗装には、アスベストを混入させた塗料に安定剤のリシンを使用した例が多いが、アスベストが全階段から検出された団地もある。 アスベストは、40年前ごろから建築材料に広く使用されてきたが、その危険性も認識され、段階的に規制が強化されてきた。2004年には、含有率1%を超えるアスべスト含有建材10品目(接着材、成形セメント板など)が製造禁止にされ、さらに2006年にはアスベスト含有率0.1%を超える製品の製造が全面禁止になった。しかし、2006年以前に製造された建築材料や塗装剤にはアスベストが残されており、国、自治体が昨年からことしにかけ規制を厳しくした塗装剤、下地調整剤もそのひとつだ。専門機関に処分を委託するなど、2重、3重の防護措置が定められた。 7月にアスベスト処理作業を終えた神奈川県内のマンションは、550万円の費用が掛かった。また、同じ県内のマンションは、建築年次からアスベストが検出されるのは必至と判断、外壁改修工事を数年後に延期することにした。想定される検査、処理費用を当面負担できないので、と理由を明かす。マンションの規模にもよるが、処理費用は1千万~2千万円に上るところもある。 アスベストは、旧公団団地の外壁などから検出されることが多いが、専門家によると民間のタイル張りのマンションも、コンクリート外壁にタイルを貼る際、接着材にアス ベストを混入させる例があるので、安心できない、と指摘する。 すでに処理した神奈川県内のマンションの理事長は、10数年後に,塗膜を全面剥離する工事となれば、費用は億を超えるのではないか、負担が大きすぎると危惧する。国や自治体の補助金制度を整備してほしい、もともと国が海外からのアスベスト輸入を認可したのではないか、と指摘する。 さらに、昨年秋ごろから、自治体では施工業者、設計業者を対象に、アスベスト対策の説明会を開いてきたが、管理組合や住民を対象にした説明会はほとんど開かれていない。 費用を負担しなければならない管理組合、住民はないがしろにされている、といえる。 住宅金融支援機構はアスベスト処理費用を融資対象に拡大へ アスベスト処理費用が想定外に膨らむことで、借り入れをして処理する例が予測されるが、住宅金融支援機構は、大規模修繕工事の一環として行われる場合には、融資対象に含めたい、としている。 ただし、アスベスト処理単独の場合は、対象外となる。 |
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(全管連会長 川上湛永) |
国交省は、マンション管理組合の大規模修繕工事の発注の適正な実施の参考となる大規模修繕工事の金額、工事内訳、その設計コンサルタント業務の実施内容に関する全国実態調査を実施し、その内容を11日に公表した。昨年5月から7月にかけ全国の設計コンサル2352社にアンケートを配布、直近3年間に受注したマンション大規模修繕工事に関する設計業務の実績のある134社、944サンプルを集計した。㎡当たり工事金額がわかるようになっていることから、管理組合にとって納得できる工事金額かどうか判断する基準となる。国交省は、これまで管理組合は設計コンサルの言いなりだったが、納得できる工事金額かどうか自ら判断するのに役立たせてほしい、と強調している。 | |
公表では、まず1昨年11月に、マンションリフォーム技術協会(marta)が会報で訴えた不適切コンサルタント問題に触れ、利益相反の事例として、設計コンサルタントが、自社にバックマージンを支払う施工会社が受注できるように不適切は工作を行い、割高な工事費や過剰な工事項目、仕様の設定等に基づく発注を誘導するため、格安コンサルタント料金で受託し、結果として管理組合に経済的な損失を及ぼす事態、と定義している。 さらに、今回の調査で得られたコンサルタント業務の業務内訳、業務量の分布を統計的に整理したとしている。そのうえで、大規模修繕工事を実施しようとする管理組合が設計コンサルタントや施工会社から提出される見積り内容と本調査結果と比較して、事前に検討することにより、適正な工事発注等に活用されることが期待されます、としている。 集計結果は、まずコンサルタントの業務内容について、その内訳を分析。調査診断が15.2%.設計31.8%、施工会社選定への協力8.1%、さらに主要業務である工事監理が40.3%,長期修繕計画の見直しが3.6%としている。 また、業務の実施期間は1年~1年半が29.5%、1年半~2年18.8%、6か月~1年16.2%だった。 大規模修繕工事の回数と築年数では、1回目は築13年~16年前後。2回目は築26年~33年前後、3回目以上は築37年~ 45年前後の時期に実施されている。その工事内訳は外壁関係が24.0%,防水関係が22.0%、仮設工事19.2%となっている。 注目される工事金額では、1回目の戸当たり金額は、平均で100万円、2回目は97万9千円、3回目以上は、90万9千円となっている、一般的に1回目より築年数が高くなると工事金額も高くなるといわれるが、国交省は、「同一マンションの経年変化は出せないので、アンケートから、回数ごとの工事金額を出したことで、そうなったと理解してほしい」としている。 大規模修繕工事回数と床面積(㎡)当たりの工事金額については、㎡当たり10.000円~15.000円は41.1%,㎡当たり5.000円~10.000円は、31.8%、 ㎡当たり15.000円~20.000円は、10.0%となっている。大規模修繕の回数での戸当たり金額は、1回目平均は13.095.0円、2回目平均は、14,639.9円、3回目は11.931.0円だった。 一方、マンションの戸数規模別の集計がまとめられている。20戸以下~301戸以上と戸数別に、大規修繕工事金額、工事対象範囲、設計コンサルタント業務量、設計コンサルタント業務実施期間をまとめている。 アンケート調査をまとめた国交省住宅局市街地建築課マンション政策室では、「アンケート配布から調査結果をまとめるのに1年余もかかったが、回答の一部の無回答なものを除外するなど慎重に分析を進めたこともあって時間がかかった。管理組合さんは、この調査結果から適正は工事量、工事費用などを読み取っていただいて、適切な大規模修繕工事の実現に生かしてほしい」と話している。 |
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国交省報道発表 http://www.mlit.go.jp/report/press/house06_hh_000154.html http://www.mlit.go.jp/common/001234289.pdf http://www.mlit.go.jp/common/001234283.pdf |
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(全管連会長 川上湛永) |
全管連は、昨年11月から今年2月にかけて国交省の補助事業として民泊を中心とするアンケート調査を実施し、2月に「住宅宿泊事業法の施行に伴う自主管理組合を主対象とするマンションアンケート調査報告書」をまとめた。その中で、民泊について管理組合として禁止か容認かなど12の設問に回答していただいたが、その中の自由記入欄の記述は、報告書に紹介できなかった。今回、自由記入欄をピックアップしてみた。民泊新法は日本のンマンションの実情にそぐわない、違法民泊を助長することにつながる、など管理組合の本音、懸念などが正直に現れている。6月15日の民泊新法施行を前にして全国の管理組合は、5,6月に総会を開く準備に忙殺されるが、管理組合の本音を参考にしてはいかがでしょうか。 | |
・民泊アンケート用紙(1~12問) ・アンケート結果(北海道) ・アンケート結果(中部管協-名古屋) ・アンケート結果(関住協) ・アンケート結果(日住協-東京) ・アンケート結果(奈良管連・沖縄管連) ・アンケート結果(東北管連) |
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(全管連会長 川上湛永) |
7階建てのマンションが大きく傾き、全壊した熊本市中央区の第2京町台ハイツ(44戸)は、昨年10月公費解体が適用され、解体工事が進められていたが、4月末、解体工事が完了する予定だ。 マンションの解体工事はほぼ最終段階になったが、部屋の中の家財道具ごと解体せざるを得ず、工期はやや遅れている。搬出したコンクリート、鉄筋などのほか、半分は家財道具だった。冷蔵庫、テレビ、パソコン、ピアノ、布団、タンス、化粧台、などだ。マンションのエレベーター、通路が損傷し、立ち入れなくなったことから。家財は一切持ち出せなかった、と管理組合解散後に設立した社団法人地権者の会の松本一・代表理事(82)。松本さんは、「このマンションに15年ほど住んだが、通路がなくなったので荷物は出せなかったのが残念だ。テレビなどは買い替えたばかりだった、住民みんなそうでした」と話す。近隣には 病院、商店も整っていて、熊本大学付属小中学校もあって文教地区でもあった。 残された敷地は1220㎡で、地権者の会は売却の方針。不動産大手など30社ほどから引き合いがある、という、ただ、10年以上管理費などの滞納者がいて、権利関係の整理で4件ほどの裁判が予想されており、裁判が決着しないと、売却もスムースにいかないのではと松本さんは、懸念する。 第2京町台ハイツは、2年前の熊本地震本震の4月16日に被災した。住民によると、14日の前震ではほとんど被害はなかったという。以来、建物が大きく傾き、階段、廊下などもゆがみ、駐車場に5,6台の車が閉じ込められるなどで、熊本地震の被害を象徴とする建物として、見学者が押しかけ、観光地化していた。 |
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(全管連会長 川上湛永) | |
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2018年2月解体作業中 大和ライフネクスト(株)提供 | |
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2016年4月14日 熊本大震災発生時の写真 |
熊本地震は、4月16日、震度7の本震発生から2年を迎えた。益城町など木造家屋の倒壊などで267人が犠牲になり、仮設住宅などにはなお、3万8千人が身を寄せる。 熊本県マンション管理組合連合会(熊管連)によると、市内754棟のマンションのうち、半壊以上が201棟、そのうち60%は復旧工事に着手しているが、433棟の一部損マンションの改修は2割程度で、ほとんど復旧工事に着手していない。工事費用の調達、工事業者不足などが原因で、これら、取り残されたマンションが、今後の課題だ。 16日、熊本市は、救援活動などに尽力した200団体・個人に大西市長が感謝状を贈呈した。熊管連にも贈呈された。 熊管連は、16年5月に全管連、マンション学会、マンションン問題研究会などの共催で、被災マンションを対象に、2日間に亘り相談会を開いたが、これが支援活動のスタートとなった。以後、被災マンション管理組合を対象に、改修工法、地震保険のありかた、税務問題、復旧工事現場の見学会など被災マンションに寄り添いながら、精力的に開催してきた。また、被災直後から損傷を受けたマンションの改修に詳しい福岡大学の古賀一八教授に専門の立場から、熊管連の支援・復旧活動に積極的に加わっていただいた。 一部損マンションの復旧 外見からは大きな被害は受けていないが、廊下の壁、専有部室内のひび割れ、外壁タイルの部分剥落などが目立つマンションが熊本地震の特徴といわれる。地震保険に入っていても、一部損は5%の保険金しか下りないため、改修費用の足しにならない。一方,大規模修繕の積立金を取り崩すか、借入で費用調達の選択肢があるが、先送りして数年後の大規模修繕に合わせて補修するとしたところもある。工事単価が下がり、職人不足解消が期待できる2020東京オリンピック後まで待つというマンションと様々だが、「専有部の改修を含め、管理組合には、深刻な問題だ。室内はじめ、傷だらけの生活を何年我慢するかでもある。どうサポートするか考えてゆきたい」と堀会長。 熊本地震のマンション被災は、東日本大震災で被災した仙台市の被災より深刻な面もあるとみる調査機関のデータもあるほどで、復旧から取り残された被災マンションをどうするか、大きな課題だ。 |
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復旧等、工事の進め方について話し合う熊管連のセミナー=平成30年3月24日、熊本市内で | |
(全管連会長 川上湛永) |
全管連は昨年11月から、国交省29年度住宅市場整備推進事業の補助金を受けて
住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行に伴う管理組合の対応などについて全国18連合会(2851組合)を対象に、アンケート調査を実施した。 全管連は比較的、自主管理組合が多く、これら自主性の強い管理組合が民泊をどう考えているか関心が持たれていた。 アンケ―ト結果は2月にまとまった。それによると、民泊禁止の可否については、91.5%が、今後民泊を禁止する、としている。民泊禁止の理由として、騒音・ごみ出し等の迷惑行為の懸念73.7%、不特定の人の出入り・暗証番号の流失等の懸念が77.8% ,共用部分の管理・維持修繕のコスト増加の懸念16.4%で、これが3大理由だった。 民泊の禁止で、どのような手続きで禁止,するかは、管理規約の改正が71.2%で、総会による禁止の決議が9.9%、理事会による禁止の決議が9.2%だった。アンケートの時期が昨年11月~12月中旬であることの結果といえる。その後、民泊禁止に関する情報があふれてきた現在では、違った結果になったかもしれないが、規約改正を総会で決議しようという姿勢は確実に見える。 一方、アンケートでは、民泊に関して自由意見の設問があるが、少数だが民泊容認の声もあり、①民泊そのものは有りだと思いますが、必要とするか否かは、そのマンションの意思表示で決まることです②ワンルームが半数以上あり、多くが資産活用目的。民泊利用者が他の居住者に迷惑をかけることが問題なので、これを解決するには禁止では無理と考えた③ワンルームでは、入居者が退去してから次の入居者が入るまで、管理費の支払い義務が継続する。この期間に民泊で収入を得ようとすることは否定しないが、常時、業として民泊を行うことは、認めていない④民泊はオリンピックに対してのことと思いますが、オリンピックが終われば、あまり必要ないのではないか、などの意見があった。 一方、いくつかの設問で、自主管理組合らしさを示す質問をしているが、理事会・総会の議案書・議事録作成を住民自ら作成することは自主性の判断基準とされるが、理事自らが41.2%、ボランティア1.9%だった。管理会社に委託が51.7%はあるが、43.1%が理事などで作成している。管理会社にお任せでは、マンションの大事な情報(経理、積立金)が守れないことになるが、必死に情報流失を防いでいる姿勢が見える。 10数年ごとに実施され、管理組合の一大事業とされる大規模修繕工事の企画立案は、管理組合の生命線ともいえるが、理事会・専門委員会が担当したが62.6% あった。また、管理会社が担当したは、10.2 % しかなかった。 一方、工事については設計コンサルタントがついて、設計、工事監理まで担当する設計監理方式が54.2%,を占めた、施工会社が、設計から施工まで一貫して担当する責任施工方式は32.2%だった。管理組合がどちらの方式を選択しているかは、これまでほとんど調査が行われなかった。今回の調査は、貴重なデータといえる。 |
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最終報告書はこちら | ![]() |
(全管連会長 川上湛永) |
民泊について規定する住宅宿泊事業法が、平成29年6月に成立,今年6月15日に施行されるが、民泊を実施する場合の届け出等の準備行為が3月15日からスタートする。これらに関し、住宅宿泊事業法及び関係の政省令に関する規定の解釈、留意事項等について12月末、国交省、厚労省、観光庁が、集大成ともいえるガイドラインを策定した。これまで各省庁が断片的に標準管理規約改正案、規定などを公表してきたが、ガイドラインでは民泊を実施する場合、禁止する場合などに即して、59ページにわたって届け出様式などを含め体系的に示している。 ⇒民泊事業法施行要領(ガイドライン) | |
(全管連会長 川上湛永) | |
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