区分所有権
賃貸マンションは全体を1人のオーナーが所有するが、分譲マンションでは構造上区分された各住戸がそれぞれ所有権の対象となり、それを区分所有権と呼んでいる。
占有者
占有者に該当するものとして、具体的には賃借人のほか、区分所有者は親の名義になっているが、実際は息子が住んでいるというような使用借人がある。
専有部分
区分所有者が所有する対象は、自らが排他的に所有する専有部分と区分所有者全員で共有する共用部分とに分かれる。
規約共用部分
この全管連標準管理規約で共用部分と定めた部分を規約共用部分といい、具体的には建物躯体部分、玄関ホール、給排水設備、管理事務所、駐車場などがある。
法定共用部分
このほかに、区分所有法が定める法定共用部分としては、数個の専有部分に通じる廊下や階段などがある。
専用使用権
この規約では、共用部分を特定の区分所有者が専用使用することは認めているが、専用使用権という権利は認めていない。その理由は、法律上そのような権利は存在しないこと及び、専用使用の対象となる箇所が共用部分に設定されることから、使用者の権利を認めてしまうと、管理組合が行う管理に支障を来たす恐れが出てくるためである。以上のことから、専用使用権は2条の定義に含めていない。
組合管理部分
専有部分であっても管理組合が管理する方が合理的と判断される配管、配線等を含む。
附属施設の位置づけ
附属施設は、一般的に区分所有者の共有になっていることから区分所有法21条(共用部分に関する規定の準用)に基づき共用部分とする。したがって、国交省版マンション標準管理規約で用いられている「共用部分等」(共用部分及び附属施設をいう。)という用語は、この規約では用いない。
敷地利用権
区分所有法第2条第6項に示されているように専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利のことを「敷地利用権」と言い、敷地の共有持分として表されています。したがって、マンションにおいては、区分所有者は建物に対しては「区分所有権」を、敷地に対しては「敷地利用権」をそれぞれ有している。
法定敷地
区分所有法では、専有部分と敷地利用権の一体性を原則としているため、敷地利用権の目的である土地すなわち「建物の敷地」の範囲が明確でなければならない。また、建物の敷地は、管理組合の管理の対象となるが、「建物の敷地」以外の土地はその対象とはならない。「建物の敷地」とは、区分所有法第2条第5項により「建物が所在する土地及び区分所有法第5条第1項の規定により建物の敷地とされた土地をいう。」となっている。このうち「建物が所在する土地」とは、マンションの物理的な底地を指す。これは、法律上当然に建物の敷地とされるものであるところから、これを「法定敷地」と呼んでいる。
規約敷地
建物の底地となっていない別筆の土地であっても、庭、通路、駐車場、附属建物の敷地のように、建物及びその法定敷地と一体的に管理又は使用する関係にある土地は、区分所有法第5条第1項の規定に基づき、管理規約によって「建物の敷地」と定めることができる。この敷地を「規約敷地」と呼んでいる。この規約では、第5条で規約の対象として定められたものを規約敷地としている。
大規模修繕
大規模修繕の実施にあたって必要な総会決議要件は、区分所有法の改正に伴い、形状又は効用の著しい変更を伴わない工事は普通決議で可能となった。国交省版標準管理規約によれば、具体的には次のような工事が普通決議で可能となった。
  1. 外壁改修、鉄部塗装、屋上・バルコニー等防水工事、給水管更生・更新工事、照明設備、共聴設備、消防用設備、エレベーター設備の更新
  2. 窓枠、窓ガラス、玄関扉の一斉交換や、既に不要となったダストボックスや高置水槽等の撤去工事
  3. バリアフリー化工事で、建物の基本的構造部分を取り壊す等の加工を伴わずに、階段にスロープや手すりを設置する工事
再生
年数の古くなったマンションの選択肢を建替えだけに絞るのではなく、より現実的で有効な方法として、躯体を保存活用しながら、大規模な改善、改修を行うことによって、建物を甦らせる方法がある。欧米ではリノベーション(大規模改善)やコンバージョン(用途変更改善)としてすでに確立されており、建物の耐用年数を飛躍的に伸ばしている。この規約では、第8章で復旧及び建替えとともに、この再生という方法を取り入れている。
規約の公平性
区分所有法では「衡平」という用語が使用されているが、これは釣り合いがとれているという意味。しかし、一般にはこの用語はあまり馴染んでおらず、意味が理解しにくいと思われるので、この規約では、一般の人に理解しやすく、意味もあまり変わらない「公平」という用語を用いた。区分所有法では、形状、面積、位置関係、使用目的及び利用状況及び分譲価格などを総合的に考慮して、区分所有者間の利害の公平が図られるよう規約を定めることとしている。
規約の遵守義務
3項で占有者にも規約の遵守義務を課しており、そのマンションに居住する者は、区分所有者であるか否かにかかわらず、規約を遵守することしている。
規約の効力
ここでは規約の効力の及ぶ範囲を示している。現にマンションに居住する者のほかに、相続、売買、競売によって区分所有権を得た者に対してもこの規約は有効であることを明記している。したがって、これらの行為をするときは、必ずこの規約を承継人に説明しておかなければならない。
管理組合の法的性格
第7条によって、管理組合が管理の主体であることを明確にしている。この規約では管理組合法人とはしていない。この場合の管理組合は、民法上の組合とは区別されることが一般的でいわゆる「権利能力なき社団」に該当する。管理組合は区分所有者全員を構成員とし、区分所有建物の管理については集会という団体的機構による決定、規約の設定による自主的な規律、事務処理を行う管理者の選任という形態に集約される。
躯体部分
鉄筋コンクリート造の場合は鉄筋コンクリート部分、鉄骨造の場合は鉄骨+ALC版部分もしくはPC版部分、鉄骨鉄筋コンクリート造の場合は鉄骨+鉄筋コンクリート部分
内装材部分
下地材+ボード類・合板類+化粧材(クロスや化粧合板類)
玄関扉の区分
この規約で内部塗装部分を専有部分とした理由は、共用部分として一括に塗装したりすると、クロスなど内装の仕上げ材と調和しないなどの問題も起こるので、内部は各区分所有者が管理する方が合理的であると判断した。しかし、玄関扉の区分に関しては、地域によって事情が異なり、扉全体を共用部分としているところもある。
面格子、網戸など専用使用部分の用法
8条2項三号で規定されている面格子、網戸などは専用使用という扱いなので、これらの通常の使用については、専用使用する区分所有者がその責任と負担において行うものとする。
共用部分の範囲
ここでは例示的に共用部分の範囲を示しており、実際には各マンションによってその範囲は異なってくる。共用部分は、管理組合の管理対象となることを念頭において、各管理組合で合理性のある判断をして共用部分の範囲を定める必要がある。
内法計算と壁芯計算
分譲時の専有面積は、実際の建物ではなく、図面上で計算されるため壁芯計算で算出されている。しかし、登記簿面積は建物完成後に内法計算で算出されている。このため、壁芯計算で床面積が算出されている場合、内法計算に変更すると、床面積割合が変わってくる。しかし、登記簿面積が基準になるので、面倒でも内法計算に統一しておく方が望ましい。内法計算と壁芯計算
分割請求、単独処分禁止の理由
民法では、建物とその敷地である土地は別個独立の不動産とされている。しかし、マンションにおいて、建物と敷地の所有者が異なることは、マンションの一体的な管理にとっては大きな妨げとなる。また、建物敷地の登記が別々であると、登記業務が極めて複雑且つ膨大なものとなる。 こういった理由から、区分所有法22条において処分の禁止が定められている。
共有持分比は専有部分の内法計算による
共有持分割合は、11条から内法計算によることとなっている。分譲時には、多くの場合、壁芯計算によって面積が算出されているため、登記簿面積である内法計算に統一することが合理的であるが、壁芯計算の時と面積が変わるため、持分比も変化する。面倒な作業ではあるが、登記簿面積に統一しておくことが、今後の契約行為等にとっても、合理性を担保することになるので、内法計算に統一することを徹底する必要がある。
居住専用の意味
この規約では、専有部分の用途を住宅に限定している。そのため、専有部分は居住者が健康で文化的な生活をおくることのできる環境を有していなければならない。
専用使用部分の管理
バルコニーなど共用部分を専用使用する場合の管理については、清掃等の日常管理については専用使用している区分所有者の負担と責任において行ない、外壁塗装や防水工事などの計画修繕は管理組合の負担と責任において行う。このように専用使用部分においては、日常管理と計画修繕とに区分して区分所有者と管理組合とがそれぞれ対応する(第25条参照)。ルーフバルコニーについては、管理上の問題から階下の専有部分に漏水等の生じる恐れがある。このため、専用使用部分にするかどうかについては、各管理組合において慎重な検討を要する。
占有者の駐車場使用
管理組合が賃借人と直接、駐車場使用契約を結ぶと、その契約によって得られる駐車場使用料が収益事業とみなされ税金の対象となる。このため賃借人との直接契約は管理上好ましいとは言えない。したがって、手続き上は、管理組合は組合員である区分所有者と駐車場使用契約を結び、その上で、当該区分所有者が自らの責任において占有者と契約を結ぶことになる。
変圧器設置箇所の電力会社使用
マンションでは電力消費にあたり、電気室等の建物内に変圧器を設置し、電力供給を行っている。一般には、電力会社はその高圧受変電設備設置箇所を「借室」とし管理組合から無償提供を受けている。無償提供の根拠になっているのは「電気供給約款」とされているが、希薄であるとも言われている。したがって、今後は有償提供も検討する必要がある。
共用部分の第三者使用に関する有償か無償かの判断
第三者使用に際して、有償か無償かの判断は難しいが、たとえば一般的には携帯電話用のアンテナ設置などその使用目的が業者の利益に片寄っており、設置に伴う管理組合の利益が希薄な場合は有償となっており、逆に大規模修繕工事中の資材置き場など、その使用目的が管理組合の利益にも合致するような場合は無償とする例が多い。
ガスガバナーとは
ガスガバナーはガス圧力調整器といわれ、ガスの供給圧力を一定に制御保持するための減圧弁のこと。ガスを安全に燃焼させるためにはガス機器への供給圧力を、それぞれの機器に適合したものとして、常に一定に供給しなければならない。つまりガスガバナーは変動する供給圧力を必要な圧力に調整するもの。
ガスガバナーとは
譲渡及び貸与に関わる届出制の目的
専有部分の適正な管理のために、譲渡、貸与に関しては必ず管理組合に届け出る制度となっている。また、暴力団やオウムに対する譲渡及び貸与は禁止している。さらに彼らの入居を未然に防止するために、不動産業者に暴力団、オウムへの斡旋を行わない旨の誓約書を提出させることも義務づけている。また、「準構成員」という用語に関する法的裏づけはないが、警察や暴追センター等でも一般的に使用されているので、敢えて用語として使用した。いずれにしても、本条項の取扱いについては、人権に対する十分な配慮が求められる。
ペット飼育を容認する場合の原則
  1. 飼育可能なペットの種類と大きさを限定する。
  2. 飼育ルールの確立と遵守
  3. 飼育委員会等飼育者全員で構成する組織を設置する。
  4. ルール違反があった場合の飼育者全体で負う連帯責任制度の確立
専有部分の修繕に関するルール
第21条の承認を受けずに専有部分の修繕工事を行った場合は、第86条の規定に基づき、理事長はその是正等のため必要な勧告又は指示もしくは警告を行うか、その差止め、排除又は原状回復のための必要な措置等をとることができる。
専有部分修繕工事判定基準の概要
  1. 施工業者が知事又は大臣認可の登録業者であること
  2. 工事内容が構造躯体の変更を伴わないものであること
  3. 施工後の荷重が設計強度内であること
  4. 設備工事の場合は、電気容量やガス容量等既存設備の容量内であること
  5. フローリング工事等の場合は、遮音基準(たとえばL-45等)を超えてはならない
 以上の判定基準概要のほか、理事会は詳細については専有部分改修工事施工細則に基づいて承認の可否を判断する。
組合管理部分
国交省版標準管理規約では、「管理組合が管理する敷地及び共用部分等」を組合管理部分と呼んでいる。しかし、この規約では、敷地及び共用部分のほか、専有部分であっても構造上、共用部分との一体的管理が合理的な配管・配線類、及び共用部分であっても専用使用されているバルコニーや網戸、窓枠及び玄関扉など、これまでグレーゾーン的で管理主体がはっきりしていなかった部分を管理組合が管理する組合管理部分とした。
住宅性能向上への誘導
共用部分のうち開口部に関する工事は、住宅の性能向上に資すると判断される防犯、防音、断熱等の工事については管理組合が行うこととする。
緊急時の専有部分等への立ち入り
第26条4項で災害、事故等の緊急時に専有部分への立ち入りは、国交省版標準管理委託契約書第13条第3項において、災害及び事項等の緊急時には、管理組合のために専有部分に立ち入ることができる、とされている。この契約内容の裏づけとしてこの条項を入れている。
管理組合が付保する保険の範囲
損害保険の範囲を、区分所有法が規定している共用部分に限らず、対象物件とした理由は、専有部分を対象とした個人賠償責任保険(漏水、ベランダからの落下物等の賠償)に管理組合として一括加入契約している例も多いからである。マンションに多い漏水事故対策としても望ましい。
管理費等に通信費を加えることについて
マンションに居住していない不在区分所有者の場合、郵送費など居住している区分所有者より余分に必要な経費がかかる。そのため、そうした費用を通信費として徴収する場合もある。
立替金を管理費等に含める理由
売買や競売によって区分所有者が代わる場合、前区分所有者が支払わなかった管理費や修繕積立金のほか、一般的には水道代なども管理組合が立て替えて水道局に支払っている。この場合、規約で管理費や修繕積立金は「管理費等」として規定されている場合は、管理組合がその区分所有者に対して有する債権として位置づけられるが、水道代などの立替金は規約に規定がない場合は、債権に含まれない。そうすると、水道代の支払いを承継人に対して債権として行使することができない。それを防ぐために水道代等の立替金を「管理費等」に含めている。
新しく加わった項目
管理費や修繕積立金の支出項目として新しく加わったものとして、専門家の活用、コミュニティ形成、福祉などがある。
組合員の資格と家族や賃借人の扱い
管理組合はいうまでもなく区分所有者の団体である。しかし、マンションの現状は必ずしも区分所有者が居住しているケースばかりではなく、投資用マンションのように最初から区分所有者が住まないことを前提に分譲しているマンションさえある。さらに近年に至って、一定の年数を経たマンションにおける賃貸化が進んでいる。そこで、区分所有法の原則を踏まえながら、管理組合活動を活性化させる方法として、賃借人や区分所有者の家族を区分所有者から委任を受けた代理人として管理組合の活動に参加できる道を設けた。
管理組合の運営
この規約では、独自にこの管理組合運営の節を設け、管理適正化指針の内容を反映させた。
数量表
新築工事の際に作成された各部位の面積等を示す書類。修繕工事の時などに正確な見積を行うのに必要なもの。
長期修繕計画の内容
管理組合の業務となっている長期修繕計画には、少なくとも次のような内容が含まれていなければならない。
  1. 計画期間は30年程度とする
  2. 建物各部位の劣化状況に関する調査結果
  3. 各部位の劣化状況に対応できる改修仕様の明示
  4. 明示されている改修仕様に基づく修繕工事に必要な工事費概算
  5. 各部位の工事実施時期に関する修繕周期
  6. 修繕積立金の残高と必要となる工事費の関係を示す表とグラフ
  7. 資金計画
専門的知識を有する団体及び個人
具体的には団体としては全管連に加盟する各地の管理組合団体、日本マンション学会、(財)マンション管理センターなどがある。また個人としては、全管連マンション管理アドバイザー(全管連が認定する公式アドバイザー)、全管連マンション管理組合事務管理者(全管連が認定する事務管理資格者)、マンション管理士、弁護士、建築士、司法書士、会計士などの資格者が対象となる。
マンションの専門家に求められる能力・・専門家の活用に際して
マンション管理の主体は管理組合である。主体であることの意味は、管理について、管理組合が自ら「判断し、決定し、責任を負う」ということである。しかし、マンション管理は極めて専門的な判断を必要とする。そこで、そのような専門的な判断を管理組合が適切に下すことができるようにするために、的確な助言と情報が求められる。その役割を担うのが専門家である。  マンション管理の専門家に求められることは、自らが判断し、決定するのではなく、管理組合が適切な判断、決定を下すのに最も有効な助言と情報を与えるという能力である。
賃借人の扱い
賃借人については、第34条第3項に基づき組合員の代理人として役員に選任することが可能であるものとする。
役員のモラル
マンションの管理組合は小さな自治体である。したがって、役員は公務員のような立場にあたる。管理組合では役所と同じように様々な事業が行われ契約が交わされる。当然大きなお金も動く。しかも役員は基本的にボランティアで働いている。誘惑にかられる条件は揃っている。まして、役員として担当している業務が、自身の本職と密接に関わっていて、自らの判断で契約がとれる状況であれば、公正な立場を堅持することは相当高い自覚が求められる。これらのことから、役員人事を決めるときに、その年度に予定されている事業等も考慮して役職を決定するような配慮が求められるし、また、公的な立場である役員としての高い倫理観を高める努力が管理組合として求められる。
理事長の訴訟追行権
47条2項は理事長の訴訟追行権を規約で認めていることを示している。訴訟追行権とは、当事者適格とも呼ばれ、その訴訟の判決を求めるのに適当な資格を有する者を指している。この規約では理事長に管理者としての訴訟追行権を授けている。
損害賠償や不当利得等への対応
47条3項三号で指摘されている不当利得とは、たとえば、分譲会社が分譲完了後も不法に駐車場使用料を徴収していたような問題を指している。こうした問題は、これまでも繰り返し各地の管理組合が訴訟を起こして勝訴してきた経緯がある。その結果として、今回の区分所有法改正において、管理者に代理権と訴訟追行権が認められるようになった。
総会における合意形成の条件
管理組合の意思決定はすべて多数決によって行われる。したがって、最高意思決定機関である総会において、組合員が議案を十分に審議したうえ採決が行われ、決議した結果に全員が納得のいくものでなければならない。総会において、議論を通じて全体の意思を形成していくとき、必要なことは、規約や区分所有法を組合員の共通認識としていること、総会に提出されている資料等の情報が的確で正しいこと、そして理事長はじめ管理組合役員のリーダーシップが優れていることなどの条件が整っていることがあげられる。
総会議長を総会出席者から選任する理由
総会議長は区分所有法では、管理者又は集会招集者としている。また、国交省版標準管理規約でも理事長としている。しかし、この規約では総会に出席した組合員の中から選ぶこととした。その理由は、理事長は議案の提出者であり、客観的にみて公平な運営を期待できないためである。
特別決議事項
総会の決議事項のうち区分所有法でその決議の多数決要件について特別の定めをしているものを特別決議事項という。その決議要件は建替えが区分所有者及び議決権の各5分の4以上、団地の一括建替えにおける各棟の賛成が区分所有者及び議決権の各3分の2以上、それ以外は区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数決となっている。
普通決議事項
総会の決議事項のうち、区分所有法で単に「集会の決議で決する」とのみ定めているものを普通決議事項という。普通決議事項は原則として区分所有者及び議決権の各過半数で決することになっているが、規約で別段の定めをすることもできる。
普通決議事項にも議案の要領を示す
区分所有法では、「共用部分の変更」や「規約の変更」あるいは「復旧」、「建替え」などに関するいくつかの特別決議事項については、議案の要領も示さなければならないとしているが、普通決議事項については、それは求められていない。しかし、この規約では、54条1項で、普通決議事項も含めて、総会に提出されるすべての議案にその要領を示すこととした。その理由は、出来るだけ事前に組合員に議案の内容を知ってほしいためである。 ここでいう「議案」とは決議内容についての案であり、「要領」とはそれを要約したものである。「規約変更」が議題であれば、「規約第○○条第○項を××に改める」というのが議案の要領である。
電磁的方法による場合の54条の内容
54条において電磁的方法が可能である場合、その条文の変わる箇所と内容は次のようになる。

4.第1項及び第3項により招集された臨時総会においては、議長は総会に出席した組合員〔書面、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって次項に定めるものを言う。以下同じ。)又は代理人によって議決権を行使する者を含む。〕の議決権の過半数をもって組合員の中から選任する。

5.前項の電磁的方法は、次に掲げる方法によるものとする。

  1. 送信者の使用に係る電子計算機と受信者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用する方法であって、当該電気通信回線を通じて情報が送信され、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報が記録されるもの
  2. 磁気ディスクその他これに準ずる方法により一定の情報を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに情報を記録したもの(以下「電磁的記録」という。)を交付する方法
占有者の総会出席
占有者が総会に出席できるのは、従来、その占有者が「会議の目的につき利害関係を有する場合」に限定されてきたが、この規約ではその条件を撤廃して、占有者がいつでも総会に出席して意見を述べることができるようにした。
区分所有者数と議決権数の数え方
1.1人の区分所有者が複数戸所有している場合
1人の区分所有者が複数の住戸(専有部分)を所有している場合も、区分所有者の数が1人であることに変わりはない。たとえば1人で5戸の住戸を所有している場合は、区分所有者数は1、議決権数は5となる。★1人で5戸の住戸を所有している場合 → 区分所有者数は1、議決権数は5。
2.複数人で1戸を共有している場合
区分所有者は管理組合の構成員となるが、1戸を数人で共有しているときは、1つの所有権を数人で共同して持っているのであるから、その数人で1人の構成員とみなす。このように1戸を数人で共有しているときは、共有者全員で1人の区分所有者として取扱う。★3人で1戸を共有している場合 → 区分所有者数は1、議決権数も1。
3.複数の共有者が複数戸所有している場合   
3戸を3人で共有している場合の数え方は、区分所有者の数は3人で1人と数える。そして、この1人が有する議決権は3となる。★3人で3戸を共有している場合 → 区分所有者数は1、議決権数は3。
普通決議は議決権数のみ
区分所有者数を省くのは、総会運営の簡素化のため
電磁的方法による場合の56条の内容
9.組合員は、第5項の書面による議決権の行使に代えて、電磁的方法によって議決権を行使することができる。
議決権総数の過半数
国交省版標準管理規約では普通決議事項は「出席組合員の議決権の過半数で決する」となっているが、その前提として総会の定足数が議決権総数の過半数となっているため、それの過半数ということは実質的に議決権総数の4分の1以上の多数決となってしまう。本規約では、このような少数の賛成をもって管理組合の合意とする立場はとらず、実質的な過半数での決議としている。
決議要件と区分所有者数
25頁の脚注でも説明しているとおり、区分所有法が定める決議要件は、特別決議及び普通決議とも区分所有者及び議決権の各4分の3以上とか各過半数という表現になっている。この場合、議決権行使書や委任状などの書面は議決権の行使を示すものでしかなく区分所有者数にはカウントされない。そのため、この規約では第57条第4項において「書面又は代理人によって議決権を行使する者は、出席組合員とみなす。」という条項を入れている。
復旧、再生及び建替えに関する事項は第8章にまとめた
総会の議事に関することのうち、復旧、再生及び建替えに関する事項はすべて第8章にまとめた。その理由は、これらに関する議事は採決方法が記名投票であることや、議事録の作成方法も異なることなど、一般の議事と同じに扱うと整理しにくく、誤解する恐れがあるためである。
電磁的方法による場合の57条の内容
4.前3項の場合において、書面、電磁的方法又は代理人によって議決権を行使する者は、出席組合員とみなす。
58条第三号の管理費が不足した時の負担割合
本規約71条第2項は、管理費に不足が生じたときは、各組合員が共有持分に応じて負担することを定めている。
管理組合資金の保管・運用が総会決議事項になっている理由
これはペイオフ解禁をはじめとする金融自由化への対応である。従来は、管理組合資金の保管や運用は、一般的に理事会の決議で対応してきた。しかし、ペイオフ解禁をはじめ金融自由化によって、預金保護が制限され、そのリスクを管理組合が自ら背負うこととなった。したがって、もし運用に失敗して、管理組合が損失を被る事態となれば、組合員は全員で共有持分に応じて損失を負担することになる。このような場合、もしこうした運用方法を理事会だけで決定して、一般組合員が決定に参加できないばかりか、そうした運用方法をとっていたことさえ知らされていなかったら、応分の負担を受け入れられるだろうか。自分たちの共有資金である管理組合資金について、総会で十分議論し、その決定に参加することによって、応分の負担を了承することができる。
電磁的方法による場合の59条の内容

第59条 総会の議事については、議長は、書面又は電磁的記録により議事録を作成しなければならない。

2.議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、又は記録しなければならない。

3.前項の場合において、議事録が書面で作成されているときは、議長及び議長の指名する2名の総会に出席した組合員がこれに署名押印しなければならない。

4.第2項の場合において、議事録が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報については、議長及び議長の指名する2名の総会に出席した組合員が電子署名(電子署名及び認証業務に関する法律第2条第1項の「電子署名」をいう。以下同じ。)をしなければならない。

5.理事長は、議事録を保管し、組合員又は利害関係人の書面又は電磁的方法による請求があったときは、議事録の閲覧(議事録が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的に記録された情報の内容を紙面又は出力装置の映像面に表示する方法により表示したものの当該議事録の保管場所における閲覧をいう。)をさせなければならない。この場所において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。

6.理事長は、所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示しなければならない。

総会を開催せずに多数決による書面決議が可能に

60条は、今回の区分所有法改正(第45条)により、総会を開催せずに総会と同じ効力を持つ決議をすることができるという内容である。すなわち、第1項は組合員全員が書面による決議を承諾すれば、全員同意でなくても総会と同様の多数決によって決議することが可能になった。第2項は、旧法と同様に、全員の書面による合意があったときは、総会と同様の効力を持つ決議ができるという内容である。整理すると次のようになる。

1項 → 書面決議することに組合員全員が承諾すれば、議案は多数決で決することができる。
2項 → 書面決議することの賛否は問わず、議案を直接、書面決議で決する場合は、全員同意でなければならない。

電磁的方法による場合の60条の内容

(書面又は電磁的方法による決議)

第60条 規約により総会において決議をすべき場合において、組合員全員の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議をすることができる。ただし、電磁的方法による決議に係る組合員の承諾については、あらかじめ、組合員に対し、その用いる電磁的方法の種類及び内容を示し、書面又は電磁的方法による承諾を得なければならない。

2.前項の電磁的方法の種類及び内容は、次に掲げる事項とする。

  1. 第54条第5項(電磁的方法可能条項)各号に定める電磁的方法のうち、送信者が使用するもの
  2. ファイルへの記録の方式

3.規約により総会において決議すべきものとされた事項については、組合員の全員の書面又は電磁的方法による合意があったときは、書面又は電磁的方法による決議があったものとみなす。

4.規約により総会において決議すべきものとされた事項についての書面又は電磁的方法による決議は、総会の決議と同一の効力を有する。

5.前条第5項及び第6項の規定は、書面又は電磁的方法による決議に係る書面並びに第1項及び第3項の電磁的方法が行われた場合に当該電磁的方法により作成される電磁的記録に準用する。

6.総会に関する規定は、書面又は電磁的方法による決議に準用する。

電磁的方法による場合の63条の内容
2.議事録については第59条の規定を準用する。ただし、第59条第2項中「総会に出席した組合員」とあるのは「理事会に出席した理事」と読み替えるものとする。
補正予算
68条3項に基づき補正予算を組む基準は、概ね予算総額の10%を超える額の修正が必要な場合とする。
専門委員会の役割
管理組合の業務を効果的に進める要因は、管理組合が継続性、専門性、責任性を兼ね備えるところにある。管理組合がこのような資質を習得していくために必要なのが、専門委員会である。特定の課題を担って活動する専門委員会は、理事会と異なり、煩雑な日常管理や雑用に追われることなく、自らの課題に集中して活動を行っていくことができる。したがって、専門委員会は、単に理事会の諮問に答えるだけではなく、このような管理組合が必要とする能力と体制を形成していく担い手として大きな役割を負っている。
資金管理計画
資金管理計画は、マネジメントが今後の管理組合運営にとってきわめて重要であるという認識のもとに、この規約で定められている総会決議事項及び理事会決議事項の「管理組合資金の保管及び運用に関する事項」の一環として独立した条項で示した。
利害関係人
一定の事実・行為・法律関係などについて当事者ではないが、法律上利害関係を有する者。その範囲は、場合によって必ずしも同一ではない。たとえば、飛び込みで入ってきた工事業者は利害関係人ではないが、管理組合が依頼して見積に参加している工事業者は利害関係人となる。
帳票類の保管
帳票類の保管は、この規約の第40条に示している履歴情報の整理及び管理に関わる条項でもある。すなわち、保管されている履歴情報の開示に当るのがこの条項である。したがって、可能な限り情報開示することが望ましいが、業者など利害関係人への開示の必要もあり、プライバシーの保護及び管理組合の利害という点で扱いは難しい。そこで、開示にあたっては、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿以外のものについては、組合員と利害関係人とで対応を分けることとした。
記名投票を行う理由
大規模滅失の場合の総会決議を記名投票で行う理由は、区分所有法第61条7項によって、決議賛成者が賛成しなかった組合員(区分所有者)に対して、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取ることを請求できるとされており、組合員間で権利の移動が発生するために記名投票にする必要がある。第83条2項の建替えの場合の総会決議も同様に、売渡請求権に基づき権利の移動が発生するため、記名投票としている。
小規模滅失か大規模滅失かの判定
滅失が小規模か大規模かによって、区分所有法は対応を分けている。すなわち、建物価格の2分の1以下の滅失を小規模、以上を大規模としている。しかし、実際の場面ではどのようにしてこれを判断するのであろうか。多くの解説書は、この根本的な問題にほとんど触れていない。しかし、前回の区分所有法改正時に法務省民事局が執筆した「新しいマンション法」には、次のように記されている。「大規模滅失と小規模滅失の区分は、滅失の時を基準として、滅失前の状態における建物の価格と滅失後の状態におけるそれとを比較して、後者が前者の2分の1以上であるかどうかで決定されます。」  それではこの方法を具体的には、どのように行うかということになるが、「建物の価格」とは、建築工事費によって求めるのではなく、不動産鑑定士に依頼して鑑定評価することとされている。 すなわち、滅失前の不動産鑑定評価額と滅失後の不動産鑑定評価額を比較して滅失後の価格が滅失前の価格の2分の1以下であれば小規模滅失、以上であれば大規模滅失となる。
再生と大規模修繕の違い
再生の本質は、躯体を保存してそれを活用するという点にある。長い年数を経たマンションが、建物の多くの部材が劣化し、住宅としても社会の変化に対応できず陳腐化している、という状況に至ったとき、管理組合は建替えをするか、このまま維持管理し続けるかという判断を迫られる。しかしこの時、たとえば30年、40年を経過したマンションが、その躯体まで含めて耐用年数を超えている状況は実はほとんどない。むしろ、生活様式の変化に対応できない社会的劣化が問題なのである。  そこで、そうした社会的劣化の解決を主目的にし、設備など物理的劣化部の改善も合わせて行なうことを「再生」という。欧米では、リノベーションやコンバージョンという手法で伝統的に再生が進められてきた。大規模修繕は、建物の維持管理を目的に行われるのに対して、再生は維持管理という側面も勿論あるが、建物・設備を改善することによって、住宅としての性能を向上させるところに主眼が置かれている。
分譲会社が締結した協定
分譲会社が締結した協定がある場合は、管理組合が再協定するか、附則で承認する旨の規定をするか、いずれかとする。なお、協定書は規約に添付することとする。
規約原本
規約原本とは分譲時最初に作成する管理規約(原始規約)をいう。管理組合総会を開かずに、区分所有者全員が記名押印することによって、規約を制定することが多い。  91条3項で示されているのは、新築マンションではなく、既存のマンションで既にある管理規約を変更する場合である。
電磁的方法による場合の91条の内容

(規約原本等)

第91条 この規約を証するため、組合員全員が書面に記名押印又は電磁的記録に電子署名した規約を1通作成し、これを規約原本とする。

2.規約原本は、理事長が保管し組合員又は利害関係人の書面又は電磁的方法による請求があったときは、規約原本の閲覧をさせなければならない。

3.規約が規約原本の内容から総会決議により変更されているときは、理事長は、1通の書面又は電磁的記録に、現に有効な規約の内容と、その内容が規約原本及び規約変更を決議した総会の議事録の内容と相違ないことを記載又は記録し、署名押印又は電子署名した上で、この書面又は電磁的記録を保管する。

4.組合員又は利害関係人の書面又は電磁的方法による請求があったときは、理事長は、規約原本、規約変更を決議した総会の議事録及び現に有効な規約の内容を記載した書面又は記録した電磁的記録(以下「規約原本等」という。)の閲覧をさせなければならない。

5.第2項及び前項の場合において、理事長は、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。

6.理事長は、所定の掲示場所に、規約原本等の保管場所を掲示しなければならない。

7.電磁的記録により作成された規約原本等の閲覧については、第58条台5項(電磁的方法可能条項)に定める議事録の閲覧に関する規定を準用する。